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50話目 最前線の向こう側にある荒野の弩真ん中にて、いざ初陣へ 三交点 その14

「あ~っ、こいつの意見をいちいち聞いていたのでは建設的な話ができないと思い、こうさせていただきました。

まったく、希少な雷属性魔法術士だからといって周りが甘やかすもんだから、頭が年中、四六時中ピンク色なもので、はぁ~っ。

論理的な考えが出来ずにすべてエロい方向に考えが行ってしまうんですよ。

人類軍でも表立っては蝶や花やと持ち上げられていますが、お察しかとは思いますけど、陰では汚物と罵られいますです、はい。

それでは余計な奴の邪魔がなくなったところで、交渉を本格的に続けましょうか。」


彼女さん♂は剣でエンの体を軽くつついてエンが気絶して動かなくなったことを確認してから、剣を下げてこちらを向いて口を開いた。


「貴重な雷属性魔法術士を簡単に切るとはどうしたものかと思ったが、それはこの汚物を人類軍がとうとう見限ったということか? 」


"彼女さんはこちらの都合の良い様に解釈してくれているみたいね。

リュウ君、その調子よ、このまま交渉を続けて。

このまま彼女さん♂とエン君の交換。

出来ればイリーナ♂もこちらの人質にほしい所よね。"


魔族の3人をすべて捉えなくても良いのか。


"今の状況じゃぁ、無理ね。

動かないイリーナ♂はまだしも、彼女さん♂と彼氏さんには雷属性魔法フィールドがいまいち効いているように見えないから。

まずは確実に目標の最重要人物である彼女さん♂をこちらに確保することを最優先にしていこうよ。"


わかった、おばちゃん。


"それにリュウ君がエン君を黙らした隙にお隠れ様と姉御に連絡して、彼氏さんがエン君を連れて魔族の陣地に戻る途中を押さえてもらうように頼んだから。

その際エン君も可能だったら、無理にとは言わないけど生きたまま回収してねと一応は頼んどいたわよ。

まぁ、この中では小者隊長の次に生死を問われないからね、エン君は。"


おぉっ、おばちゃん、エンを完全に見限ったわけじゃなかったんだな。


"私はね。

でも、お隠れ様とボルバーナちゃんはわからないわよ。

特にお隠れ様はエン君の代わりとなるうっすい本の代役の彼女さん♂が手に入るわけだから、彼氏さんの殲滅時にエン君の扱いはかなり雑になっても不思議じゃないわね。

チャンスとばかりにまとめて地獄行の急行列車に乗せちゃうかも。

もちろん、ボルバーナちゃんなんかエン君の生死を全く考慮しないと思うわよ。"


まぁ、俺はエンが生き延びていられるようには精いっぱい努力した、例えそこが魔族軍のど真ん中だとしてもだ。

彼女さん♂の身柄を確保することで魔族軍に捕獲されたエンが首チョンされないように努力した、と言うことで良いよね。


"その点は私も同じかな。

ここでのことは責任があるけど、その後のことまでは責任を負えないわよ。"


じゃっぁ、交渉を続けますか。


俺は漸くこの場の終着点が見えてきたように思えた。

もう少しだ。

俺が気合を入れ直していると今度は彼氏さんが口を出した来た。


「いくら人類軍で厄介者扱いされているこの汚物でも貴重な雷属性魔法術士をこうもあっさりと手放すのは何か釈然としないものを感じるのだが。

我々からすればお嬢の価値はそれほどでもあると理解しているが、今日であったばかりの貴様たち人類兵がそこまでお嬢の価値を理解しているとは思えんのだが。」


うるせぇぞオヤジ。

せっかく納得しかけている彼女さん♂にさっきからいろいろ吹き込みやがって。

黙ってろ。

お前もエンと同じように鎮めてやろうか、えぇぇっ。


"リュウ君、落ち着いて。

彼氏さんだって彼女さん♂が人類軍にしょっ引かれようとしているのだから、必死に抵抗するのも仕方ないわよ。

ここは理を持って、情を制するように説得しないと、彼女さん♂を。"


でも、彼氏さんが言うように彼女さん♂の真の価値ってなんなんだ。

その価値と人類の雷属性魔法術士の価値が釣り合わないといけないんだよな。

彼女さん♂の価値を理解しないで交渉するって、結構難しいんだけど。


"少なくても彼氏さんはそういう価値、恋愛感情以外の客観的な価値を彼女さん♂に見出しているってことよね。

さっき、彼女さんの部隊の皆が彼女さんの帰還を待っているようなことを言っていたし。

彼女さんの価値。

例えば、公家のお嬢様(♂なのに)なのだから、人類軍の将軍クラスが捕縛された場合に交換要員とするとか。

今後、この部隊が人類軍の後方を荒らさないと約束させるためだとか。

うんっ、これは大きいわね。"


彼女さん♂の命が惜しかったら連戦連敗の第27師団の後方での破壊活動はやめろと言うのか。

なるほど、それなら彼女さん♂にかなりの価値が俺たち人類軍にも見出せるな。

でも、標的の後方での破壊活動に第27師団がほとほと困っているということを彼氏さんに教えるようなものじゃないのか。

彼氏さんがそれを魔族軍に報告して、魔族軍の上層部が彼女さん♂を切って、更なる目標の後方破壊活動が激しくなることも考えられるよな。


"まぁ、第27師団が目標の活動で困っているなんてのは今更だし。

彼女さん♂が切られて、標的の後方破壊活動が再開されるのもないとは言えないわね。

彼女さん♂からある程度の魔族軍情報が得られれば、今回の取引では私たちの方が勝ちってことになると思うし。

その情報を基に改めて標的を殲滅させれば何も問題ないわよね。"


わかった。

そのところは彼氏さんに伝えても良いと言うことだな。


念話でのおばちゃんとの作戦会議で方針が決まったので、改めて彼女さん♂と彼氏さんの方に声を掛けた。


「先ほどからのやり取りで彼女さん♂が我が軍の後方で活動する魔族部隊の最重要人物であることを確信しました。

正直、あなた方の部隊は我が軍にとってうるさい存在です。

彼女さん♂を我が軍が確保すればあなた方の部隊の活動を抑制できると踏んでいます。

また、そこにいるエン、雷属性魔法術士はぶっちゃけ別の意味で我が軍にとってウザい存在なので、二人の交換は妥当なものだと考えています。

また、彼女さん♂が公家のお嬢様(♂)ということで普通の軍人では持っていない情報をお持ちかと思いますが。」

「私は捕虜となることはいとわないが、魔族軍の重要な機密など話すつもりはないぞ。」

「なるほど、やはりいろいろと物知りというわけですね。

ますます、彼女さん♂の価値が確認できました。

そろそろ、決断してもらえませんかねぇ。」


おばちゃん、もう結論を出しても良いか。


"良いわよ。

今、姉御から報告があったわ。

彼女さん♂とイリーナ♂の捕縛は私たちに任せるとのこと。

彼氏さんの捕縛は任せろと言ってきたわ。"


よし。お膳立ては揃ったな。


「それじゃぁ、彼女さん♂は剣を捨てて、両手を頭に乗せてゆっくりとこちらに来てくれるか。

彼女さん♂がこちらに来たら、おじさんの方はエンを連れて去ってもいいよ。

"俺たち"は約束通り攻撃はしない。

エンを連れて行くのも邪魔をしない。」


彼女さん♂は腹を決めたのか剣を捨てて、俺の言った通り両手を頭に乗せた。

そして、彼氏さんの方を向いて告げた。


「じい、これは部隊長としての命令。

この汚物とアーラを連れて部隊に戻って。

奴らの考えが変わらない内に。」


そう言い終わると彼女さん♂は俺たちの方にゆっくりと近づいて来た。


ここまでの成果

魔力回復: 20% + 30%(ボーナス♡) + 10%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 16時間51分

(漸くこの戦いに決着がつきそうだな。)

(まぁ、エン君は残念なことをしたけど、標的の最重要人物を手に入れることができたし、作戦は大成功と言うところね。(おばちゃんターン))

(ところで、アーラって誰なの。(腐女帝様ターン))

((さぁ? ))


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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