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49話目 最前線の向こう側にある荒野の弩真ん中にて、いざ初陣へ 三交点 その13

"まずはしっかりとイリーナ♂を確保しないとね。

これが手元からいなくなったら有利な状況が一気にひっくり返るから。

転写サンダーシールドでイリーナ♂の全身を覆って。

目を覚まして、脱走しようと移動したら電撃にやられるようにして。

これで、脱走も彼女さん♂の救出もできなくなるから。"


俺は手に持ったナイフに魔力を流して転写サンダーシールド・レベル7を発動した。


"ちょっとぉ、リュウ君、シールドのレベル上げすぎよ。

このシールド、いつになったら消えるかわからないわよ。

避雷針の10本や20本じゃ電撃を逃がせないわよ。

私たちもイリーナ♂を移動させられないわよ。"


しまったぁ。

どうしよう。


"もう、旅団の皆をここに呼んで旅団の仮設陣地とするしかないわね。

シールドが切れるまで皆で監視。

それにみんなが来てくれた方が事態が動くように思うし。

よし、姉御に連絡するから適当にエン君と彼女さん♂らの相手をしてやっていてよ、リュウ君。"


わかった、おばちゃん。


「こちらの要望としてはエンを魔族軍にのしを付けて御進呈するので、その代わりにそこの彼女さん♂をこちらに下さい。

悪いけどおじさんの類は絶対に要らないのでエンを連れて魔族陣地にお引き取り下さい。」


俺の言葉を聞いたエンと彼氏さんはそろって叫ぶように返答をしてきた。


「お嬢を敵軍に引き渡して、こんな汚物を連れて俺だけ逃げ帰る訳にはいかんぞ。

お嬢だけは何としてでも自軍に帰ってもらう。」

「リュウ、マイ・ハニーと魔族軍に行くのならまだしも、こんなむさいおっさんと二人だけで荒野を進み、魔族軍の陣地に行くのは絶対に嫌だぁ。」


我儘だなこいつら。

こんな奴らを人類軍に持って帰ったらマジで扱いに困る。

特に腐女帝様は俺が見掛けは♀を捨てて、見掛けも♂ばっかり連れて帰ってきた♥と、うざすぎることになるのは目に見えている。

だから、お前らは魔族軍の陣地に行けって言ってんだよ。

まぁ、おばちゃんの時間稼ぎに彼女さん♂の意向も聞いてみるか。


「彼女さん♂としては俺の要求はどうなんですか。」


彼女さん♂がエンに剣を向けたまま、顔はこちらに向けて来て口を開いた。


「私がそちらに行けばじいは見逃してもらえるのか。

それにできればそちらで倒れている仲間を開放してもらいたい。」


イリーナ♂は解放できないな。

こいつの確保が俺たちが有利に交渉を進められている条件の様だからな。


彼女さん♂の要望を俺が吟味していると、彼氏さんが彼女さん♂の言葉に顔を赤らめて激高したように反応してきた。


「何を言っているんだ、お嬢。

それだけはできん。

儂やアーラがここで屍となろうとも、お嬢を自軍に無事に返すことが儂たちの部隊の最優先事項だ。

去年もそうだったろう。

自らを犠牲にすることでお嬢の安全を計ったんだ。

このままお嬢を人類軍に行かせたら、去年死んでいった息子、仲間たちに儂は顔向けができん。」


"ほっほ~っ。標的の魔族偵察部隊の弱点を自らさらけ出したわね。

敵の目の前でそんな機密を漏らすなんてね。

ベテラン兵と思われる彼氏さん♂が冷静でいられないほどに彼女さん♂が大事なのね。"


たしかに彼女さんは自分は公家のお嬢様(♂だよな)だって言ってたもんな。

彼氏さんにとって彼女さん♂は自分の剣と愛情のすべてを捧げるに値する人なんだ。

あぁ、こいつらこそ腐女帝様♥に愛されるべき奴らだよな。


"やったね。

彼女さん♂を確保することを今回の作戦の目標に変更するわよ。

彼女さん♂さえこちらに確保できればねエン君や彼氏さん、イリーナ♂はいらないわよね。

むしろ、あれもこれもいっぱいいた方が行動の足かせになるから、とっとと魔族軍の陣地に帰ってほしいわよね。

あっ、イリーナ♂はリュウ君のサンダーシールドから出せないからここで放置で良いわね。

なんだぁ、そうするとここでサンダーシールドを解けるのをみんなでボーッと待っている必要もなくなると言うことじゃない。

ほんと、良いこと尽くめね。

よし、私はこの状況を旅団に報告して、彼女さん♂の身柄を拘束することを今回の最重要任務に変更したことを伝えるわ。

リュウ君にはその線で交渉を続けてくれるかなぁ。"


うまくできるかわからないけど、頑張ってみるよ。


"彼女さん♂を第27師団に持ち帰れば、金一封とボーナスS査定よ。

これで結婚式と新婚生活、そして、駄菓子屋開店への道筋が見えてくるってもんよ。

ダーリン、いえ、未来のお父さん、家族のために頑張って交渉してね♡。"


えっ、ダーリン? 未来のお父さん? ・・・・・、頑張って交渉すると、人生の墓場に一直線ということですか・・・・・・


"ポチは余計なことを考えてはだめよ。

目の前のことと御子息様に集中して。


いつも言ってるでしょ、私の言う通りにしていればポチはすべてが手に入るんだから。

兎に角、ここは彼女さん♂だけを確保できるように交渉してね。"


おばちゃんの言う通りに頑張って良いのだろうか・・・・・・


「じい。よく考えてみて。

私が犠牲になればこの汚物、我々魔族軍の天敵である雷属性魔法術士が手に入る。

恐らく人類軍にも何人もいないだろう雷属性魔法術士の一人を排除できるチャンスなのだぞ。

こいつ一人を人類軍から奪うことでこの先どれだけの魔族兵の命が救われることになるのか考えてみてくれ。

私一人が魔族軍に帰還したとしても我が公家の部隊が安堵するだけの事。

しかし、この汚物を捕縛したとなると魔族軍の全体の士気が上がることだろう。

魔族軍における私とこの汚物の価値を冷静に図ってほしい。

何時もじいは言っているよな、軍事に私事を持ち込んではならんと。

破滅への第一歩だと。」


その言葉を聞いたおじさんはハッとしたような顔になり、そして、苦虫をつぶしたような顔になった。


えっとぉ、何かエンが雷属性魔法術士として祭り上げられているんだけど。


"まぁ、エン君も肉壁ちゃんの肉片ぐらいの力はあるから、お隠れ様に雷属性魔法を転写してもらえば。

サンダーシールド・レベル1を1分ぐらいだったら発動できるんじゃないの。

彼女さん♂をこちらに手に入れるために向こうさんには勘違いしてもらったままにしておこうよ。"


でも、エンが自分でばらさないかな。

このまま話が進むと彼女さん♂とは離れ離れ、おじさんと二人きりで魔族軍に行くことになるんだよな。

さっき、それだけはどうしてもいやだと言っていたよね。


"それはイリーナ♂を付けてやれば納得するんじゃないの。"


でも、イリーナ♂は動かせないよね。

サンダーシールド・レベル7が思いっきり発動中だから、下手すりゃここで野宿だぞ。


"どこまでも世話を焼かせる汚物だわねぇ。

もちろん、リュウ君は悪くないわよ。"


「マイ・ハニー、君をここにおいて俺だけ魔族軍に行くなんてできないよ。

それに俺の雷属性魔法・・・・・・・」


"あつ、汚物のヤツが何か余計なことを口走ろうとしているんじゃないの。

リュウ君、エン君を黙らせて。

汚物君の頭をぶったたいて。

アイスランスを叩き込んで。"


俺はおばちゃんに言われた通り、ブーツに刺してる魔道具から転写アイスランス・レベル1を発動。

エンの顎先を狙って、発射した。

アイスランスは寸分の狂いもなくエンの顎先にヒット。

脳が激しく揺さぶられて脳震盪を起したのか、そのまま動かなくなった。


"まさに口封じ。

汚物君が余計なことを言う前で良かったわ。"


ここまでの成果

魔力回復: 20% + 30%(ボーナス♡) + 10%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 17時間31分

(彼女さん♂を連れ帰ったとして誰が面倒を見るんだ。エンは魔族軍にご厄介になるわけだし。)

(そんなの決まっているじゃない、いるでしょ、最適な人が。

何の役にも立っていなくて、ただ付いて来るだけの人が。(おばちゃんターン))

(小者隊長かぁ。確かに、本職の子分だもんな。)

(それって、情報を絞るだけ絞り取った後に、女衒の元締め大隊長の手でオークションにかけられるってことよね。。(おばちゃんターン))

(是非、リュウ君が競り落としてね。

魔族軍のオークションで、エン君を♥。(腐女帝様ターン))

(俺はそんなのに鐚銭一文も出す気はないぞ。

だいたい魔族軍のオークションにどうやって参加するんだか。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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