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48話目 最前線の向こう側にある荒野の弩真ん中にて、いざ初陣へ 三交点 その12

「でっ、エン、お前の最後の望みとはなんだ。

そこの彼氏さんとの対決か。

二人とも結構なケガをしているから戦うならほぼ互角の条件だと思うけど。

まぁ、戦って満足したら勝敗に関わらず素直に逝ってくれよ。

それ以上はこの世に未練を残さずに素直にあの世に旅立ってくれよなぁ。」


俺はエンの最後の望みを聞くべく、声を張り上げた。


「俺の望みはイリーナとそこにいる新しい愛人と一緒に幸せに生きることだぁ。」


「「あっ、怒。」」


俺とおばちゃんは同時に怒気を含んだ声を挙げた。

こいつはこの期に及んで生きたいとかぬかしやがった。

未練をなくしてあの世に旅立つ予定じゃねぇのか、そういう話の流れだったよな。

よりによって、今更生きたいとかぬかしやがった。


"だから、汚物君の最後の望みなんてのは聞かずにここで仲良くなった彼女さん♂と一緒にとっとと引導を渡せば良かったのよ。"


「何で私がこんな汚物と共に生き恥をさらさなきゃならないのだ。

生きたいのなら一人で勝手に台所の隅やゴミ箱の後ろで大人しくごそごそやってろ。

私を巻き込むな。

というか、私が引導を渡してやる。

そこに首を差し出せ。」


彼女さん♂が激おこです。

俺もおばちゃんも激おこです。

多分、彼氏さん♂もそうです。


俺はイリーナ♂にナイフを突きつけたのとは反対の手でエンを指差して言ってやった。


「エン、お前はもう一人で逝け。

今すぐに逝け。

彼女さん♂、よろしくお願いします。」


俺の言葉に励まされたのか彼女さん♂は一度落とした剣を拾い直した。


「皆の総意だ。

魔族軍も人類軍もお前を首チョンにすることに同意した。

覚悟しろ。」


剣を構えた彼女さん♂、ひと思いにやっちゃってください。


「ちょっ、ちょっと待ってくれぇ。マイ・ハニー。

俺をやったら君も後を追ってくれるのか。

それとできれば向こうの新しい愛人も一緒に頼む。」


「お前一人で逝けぇぇ。」


皆の怒りを剣に乗せて、彼女さん♂がエンを突こうとしたときに隣から待ったの声が掛かった。

えっ、彼氏さんここで止めるのぉ。

怒、それも激怒なのじゃなかったの。


「お嬢、待った、待ってくれぇ。

人類のゴミ兵ごときの言葉に乗せられてはまずい。

ここの汚物とかいう足かせが無くなったら奴らの思う壺だ。

アーラを人質にして、お嬢を脅しに来るぞ。

お嬢はそれを無視できまい。

この汚物をやった後にお嬢がこのまま逃げてくれれば良いが、人質に取られたアーラをそのまま捨て置いてはいけないだろ。

だったら、こいつをやるのは待っただ。

生ゴミ兵共は汚物を亡き者にしても良いと言っているが、あれはハッタリだ。

仲間を打ち捨てて於くことなんて出来まい。

こいつとアーラを交換して、お互いに痛み分けでこの場を退去するという風に持って行くんだ。」


あぁ、まだ、わかっちゃいないねぇな、彼氏さん。

俺は同等な立場にいないことを再度丁寧に説明することにした。


「えっとぉ、彼氏さん。

さっきも言ったけどエンを人質に取っても意味ないから。

むしろさっき皆で同意したよね。

逝っちゃっても良いって。」

「私たちにとってはエン君もこの人も、そして、あなた方も逝っちゃってもいい奴らと言うことなのよ。」


おばちゃんが止めを刺した。


「それにエン本人も3人一緒であればこの世に未練を残すことなく逝っても良いと言っているしな。

ついでに彼氏さんも地獄への露払いとして首チョンでいいか、おばちゃん。」

「それで良いんじゃない。

私とリュウ君だけが無事であれば問題なし!! 」

「と言うことで、良いよなエン。」


俺は再び、エンに確認するように叫んだ。


「えっ、えぇぇと。

地獄っすかぁ。

まぁ、本当にみんなが一緒に逝けるんだったらそれも致し方なしかな。

あっ、でもこのおじさんは別枠で頼むぞ。

一緒に来ないでほしいんだけど。」


エンが叫び返す。


「じゃぁ、この彼氏さんだけが天国行きで良いのかぁ。

それでいいんだな。」


俺の問いかけに応えるエン。


「出来れば俺とイリーナ、新しい愛人さんは天国で、このおじさんは地獄にしてほしい。」


「「「「それ無理、お前が天国なんて行けるわけがない。」」」」


4人がハモった。

だいぶ魔族軍と人類軍という天敵の垣根を越えて、みんながなじんできたみたいだ。


「えぇ、俺が地獄でこのおじさんが天国なのぉ。

じゃぁ、やっぱり逝くのは止めて3人は生き残る方向で、おじさんは地獄と言うことでLAかな。」


なんだかんだ言って、生きることにしがみつきたいんだな。

まぁ、それでなきゃ肉壁ちゃんじゃないよな。

戦場を這いずり回り、泥水を啜ってでも自分だけは生き残る。

それが正しい肉壁ちゃんの生き様だ。

逝くときはできるだけ道連れに、もちろん敵味方関係なくだ。


「とっ、人質の人類兵が叫んでいますが。

人類軍としてはどっちでも良いんで、魔族軍のお二人で彼の処遇を決めていただくことで良いすよ。

ねっ、おばちゃん。」


もう、エンがぐちぐちうるさいから彼女さん♂と彼氏さん♂にその処遇は丸投げだぁ。


"取り敢えず魔族側としてはどうしたいのかもう一度希望を聞いて見るのは良いかもね。

決定権はこちらにあるわけだしね。"


俺の言葉に反応して彼氏さんが答える。


「我々魔族側としては、お互いに人質を交換し、それぞれ自軍に引き上げるという提案したい。良いな、お嬢。」

「まぁ、それが飲んでもらえるなら。」


"それって、私たちが有利な状況なのに痛み分けにしろって言うことよね。

それは認められないわよ。

詳しい状況までは見えないにしても、お隠れ様やボルバーナちゃんをはじめ旅団の皆が遠目で見ているし。

それにさっきからずっと姉御から、どうなったぁ、どうなったぁとうるさいほど念話が来るのよ。

ただいま、目標の魔族兵を拘束し、尋問中。

火力バカ共救出隊以外の隊員はしばし待機せよと旅団メンバーに連絡するように頼んじゃったよ。

もう、手ぶらじゃ帰れないのよ。"


そっかぁ、俺とおばちゃんが皆から離れてしばらく経つからな。

そういえば火力バカ共とお付きのファイヤーボールはどうなった。


"姉御によるとまだ追いかけっこをしているみたいよ。

このまま魔族軍の本体に突っ込んでくれれば良かったんだけど。

第17師団の後方をファイヤーボールを引き連れてうろうろ徘徊しているしているらしいわよ。"


そうなんだ、向こうは鬼ごっこで楽しんでいるのかぁ。


"全く、駄犬どもは気楽でいいわよね。

さて、こちらはどうしようか。

まじめにお仕事をしなくっちゃならないようだから。"


取り敢えずは手ぶらじゃ帰れない、俺たちの立場も考えろやぁ、言ってやるかぁ。


"そうねぇ、言うだけなら問題ないんじゃない。

兎に角、適当に話を引き延ばしておいて、リュウ君。

その間にこの睨み合いの解決策を考えるから。"


了解、適当に話を進めて於くよ。


「おっほん、えぇ。

人質を交換して、お互いに痛み分けって話には乗れないな。

そっちの人質は地獄に行っても構わないと言っているし、俺たちもそっちの人質は最後は尊い犠牲となってしまうことも致し方ないと思っている。

でも、こちらの人質は違うだろ。

君たちは絶体に無事に奪還したいと思っている。

その差を埋めるような成果を俺たちに寄こしてもらいたいんですけど。」


俺の返答におじさんが答える。


「では、儂が人質として残ろう。

この汚物は返す。

そっちの倒れている女性兵は返してくれ。

これでどうだ。

儂もケガをしてあまり動けないので、抵抗することできないぞ。」


その時、エンが叫んだ。


「リュウ、そんな条件は飲むんじゃねぇ。

こんなおやじと一緒に基地に帰りたくねぇ。

帰るならイリーナと新しい愛人さんと一緒に。

親父は勝手に魔族軍に帰れぇ。」


彼氏さん♂がエンを連れて魔族軍に帰ってくれるのが一番だな。

おばちゃん、そうしよう。

その方が絶対、人類軍のためになるぞ。


ここまでの成果

魔力回復: 15% + 25%(ボーナス♡) + 20%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 18時間48分

(最初からエンを魔族軍に捧げて、イリーナ♂と彼女さん♂をもらえば良かったんだよ。)

(そうよねぇ。エン君を合法的に厄介払い、こちらは目標の魔族偵察隊のメンバーを二人も拘束。完全勝利じゃない。(おばちゃんターン))

(イリーナ♂と彼女さん♂の尋問は是非、リュウ君で。

その記録が係は私でおねぇ、ジュルリ♥。(腐女帝様ターン))

(ようやく解決の目途がついたよな。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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