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42話目 最前線の向こう側にある荒野の弩真ん中にて、いざ初陣へ 三交点 その6

「いろいろなパターンが考えられるけど、真実は一つ。

おばちゃん、それを確かめに行こう。」

「わかったわ、イリーナが♂でも♀でも、その彼女さん♂がエン君とで三角関係になっていても、イリーナたち魔族の偵察部隊を叩けば良いんだからね。

何をいろいろ思い悩んでいたのかしらね。」

「まぁ、それで良いんじゃない。

相手の戦力と現状を分析して戦いに臨むのは。」

「そうね、様々な状況を予測してその対処法を考えておくのは大切な事よね。

特に戦場ではどんなことが起こるかわからないし。

少しでも予測と対策が立っているのなら、不測な出来事であっても冷静に対応できるというものよね。」


俺とおばちゃんは手を握り直して、エンたちのいる雷属性フィールドが働いている方向に目を向けた。

そうして周りを警戒しながら更に近づき、エンたちの100m手前にまでやって来た。

この80m先、エンたちのいるところの20m手前から雷属性フィールドを発動させている。

雷属性フィールドはまだ有効に働いており、その中では時々放電が起こり、バチバチッという音と焦げた臭い、そして白や黒の煙がうっすらと立ち込めていた。


"あっ。リュウ君、見てみてよ。"


おばちゃんの言葉に思わず立ち止まって、雷属性フィールドの中を覗いた。

意識がなさそうな者を別の者が抱きかかえて運んで、大きな岩を背もたれ代わりに座らせた。

その者は落ちていた剣を拾って、別の手を伸ばして何か叫んでいる者の側にゆら~っと近づいて行く。


"これはやはり倒れたのはイリーナ♂か♀で、三角関係を清算するために彼女さん♂がエン君をたたっ切るという構図じゃない。"


エン、まずいな。

もう魔族兵と人類兵の戦いというより、愛する者の奪い合い、お互いに譲れない生死をかけた戦いと言うことか。

そして、エンは雷属性フィールド魔法にやられて思う通りに動けないようだ。


"弩スケベはチ~ンと言うことね。

まぁ、想定の範囲内だけど・・・・・・。

えっと、ちょっと待って。

あぁぁっ、あれは何なの。"


おばちゃんの心の叫びに応じて、再度俺は雷フィールドの中に目を凝らした。

あぁぁ、確かにごついおっさんがちょっと足を引きずりながら、倒れているイリーナ♂か♀に近づいているな。


"リュウ君、あのおじさんは誰なの。

多分魔族だと思うけど、誰だろ。 "


俺に聞かれても。

エンと違って、魔族に知り合いなんていないし。

イリーナに近づいているから、彼女(♂かもしれない)の関係者じゃないのか。


"この場にいるイリーナ♂か♀の関係者・・・、おっさん・・・・・。

う~ん、気になるわね。"


偵察隊のメンバーじゃねぇの。


"リュウ君、よく考えて。

あの場にいるメンバーを。"


弩スケベのエンとその恋人(意訳: エンが一方的に慕っている可能性大)のイリーナ♂か♀、イリーナの彼女さん♂・・・・・・

ある意味で濃い、濃すぎるぞぉぉぉぉぉ。


"でしょ。

その関係者がただの偵察部隊メンバーということはありえないよね。

ザビエル君に誓って、あり得ない。"


何でザビエル様がここで登場してくるんだかわからないけど。

じゃぁ、あのおっさんは誰なんだ。


"ずばり、彼女さん♂の彼氏さん♂。"


えっ、そうなの。

・・・・・・・・

・・・・・・・・

そうなのかなぁ。

おばちゃん、腐女帝様のうっすい本の読み過ぎじゃねぇ。


"失礼な。私はリュウ君に一筋よ。

うっすいほんのシチュエーションなんてのには全く興味がないの。

私の目下の関心事はリュウ君との子作りと駄菓子屋開店資金をかき集める事よ。"


えっとぉ、恥ずかしそうに上目遣いで俺を見た後に目をギランと獲物をロックしたような顔を向けるのはちょっとやめていただきたい、ここは戦場のど真ん中なんだし。

しかし、雷属性フィールドの中のシチュエーションがおばちゃんの言う通りだったら、まさに真の戦場だな。


"そうねぇ、これが修羅の住む地、修羅場ってことね。"


良かったなエン。

地獄に旅立つ前に修羅のいる場を経験できて。

地獄の鬼さんに恋人はいたのかと聞かれた時に、右手だけが恋人でしたなんて報告しなくても済むもんな。


"リュウ君の恋人、近未来の妻は私、私が全力で満足させてあげるね。

右手なんて絶対に使わせないからね。

じゅるり♡。"


えっ? 。


"さてとっ。

彼女さん♂の彼氏さん♂の参戦であのフィールドの混沌度合いが増したわね。"


これからどうなるんだ。


"イリーナ♂か♀が倒れたことで、彼女さん♂の彼氏さん♂は既に目的を達したわね。

イリーナと彼女さん♂を取り合うはずだったのが、イリーナが戦線離脱状態だから。"


そうすると後は彼女さん♂がエンを叩きつぶせばイリーナは自分のものということだよな。


"待って、彼女さん♂がイリーナを自分のものにした途端に、彼氏さん♂が彼女さんに俺とイリーナのどっちを取るんだと騒ぎ出すから、新たな痴話げんかの勃発ね。

そして、彼女さん♂の彼氏さん♂の彼女さん♀が新たに登場。

今度は彼氏さん♂を取り合う、彼女さん♂と彼女さん♀・・・・・・・。

リュウ君、終わりのない痴話げんかを防ぐためにも雷属性フィールドを強化してくれない。

もうこれ以上余計な者が入り込めないようにした方が良いんじゃないのかなぁ。"


あの雷属性フィールドに外から魔族兵が入り込めるとは思えないけど。

流石に打ち止めなんじゃないのか。♂、♂、♂の三角関係がうざすぎ。

それに雷属性フィールドをこれ以上強化すると俺たちも近づけなくなるぞ。


"そうかぁ。リュウ君がサンダーシールドを展開したとしても雷属性フィールドの中和が難しくなると言うことね。"


そう言う事。


"あっ、彼女さん♂がエン君を剣で切ろうと横に構えたわよ。"


うっ、まずいな。

あそこにいるイリーナとその彼女さん♂、そして、彼女さんの彼氏さん♂をつぶすのが俺たちの今回のミッション。

その目的を達するためにはエンの奴が犠牲になってもしようがないとは言われているけれど。

仲間を助けられるなら助けたい。

しかし、今からあそこに飛び込んでも間に合いそうにないな。

どうしたら良いんだ、おばちゃん。


"まぁ、リュウ君がどうしてもエン君を助けたいというなら手はあるわよ。

それに、私も3年も一緒のチームでやって来た彼を・・・・・・

だぁぁぁぁ、よく3年も私は我慢したわよね。

あの弩スケベと同じ空気を吸っていたなんて。

やっぱこのまま様子見で。

エン君が地獄に旅立ったら突撃する方向で良いんじゃねぇ。"


おばちゃんの言いたいことは物凄くわかるけどな。

一応、部隊の犠牲は少ない方がボーナス査定が上がるって、おばちゃん言ってなかったか。


"あぁぁぁ、そうだった。

よし、ポチ、彼女さん♂とエン君の間にアイスランスをぶち込んで。

エン君が切られるのを取り敢えずは邪魔して。

エン君をぶった切ろうとしている彼女さん♂が驚いている間に雷属性フィールドを回り込んで倒れ込んでいるイリーナの背後に行くわよ。

そうして、背後から、彼女さん♂とその彼氏さん♂をアイスランスで殲滅。

イリーナはう~ん、あっ、捕虜にして敵の情報を得るとかエン君に当てがって弩スケベ根性をおとなしくさせるとかすればいいわね。

よし、急ぐわよ、リュウ君。

これでボーナス査定が最高レベル、それに特別報奨金ケットね。"


俺とおばちゃんは雷属性フィールドの左側面に向けて走り出し、エンたちの50mまで接近。

そして、エンと彼女さん♂の姿をはっきりと捉えたところで転写アイスランス・レベル4を二人の間にぶち込んだ。


ここまでの成果

魔力回復: 20% + 35%(ボーナス♡) + 5%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 17時間11分

(よし、取り敢えずエンを救ったぞ。)

(エン君を救うより、魔族たちを何とかしなきゃ。

ボーナス査定と特別報奨金が掛かっているんだからね。

わかったらとっとと動くの、ポチ。(おばちゃんターン))

(あぁぁぁぁ、私も一緒に行け良かったぁぁぁぁぁ。

イリーナ♂の彼女さん♂、さらにその彼氏さん♂も登場したんでしょ。

♂、♂、♂もうパラダイスね、弩阿呆君。(腐女帝様ターン))


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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