37話目 最前線の向こう側にある荒野の弩真ん中にて、いざ初陣へ 三交点 その1
編集時のミスで前回公開の155部分に今回公開の156部分の文章が入っていたようです。
申し訳ありません。
155部分を本来のものに編集し直しました。
ご確認をよろしくお願い致します。
「ちっ、何やってんだあいつら。
あそこで止まって風と水属性魔法を放って、黒い霧を取っ払うんだろ。
素通りしやがった。」
手をかざして、飼い犬である火力バカ共の動向を監視していた魔牛乳帝様が舌打ちするようにつぶやく。
しかし、1km先のことなんて良く見えるな。
"魔牛だから目が良いのよ。"
「シュリちゃん、あいつらは黒い霧の方に突撃して行ったというより、巨大ファイヤーボールから逃げているだけだと思うんだけど。
追尾型にしたんだから駆けるのをやめて止まれば、ファイヤーボールも一緒に止まるのにね。」
「エリカちゃん、それを知らないから逃げ回るしかないんじゃないの。
あっ、もしかして、黒い霧の力でファヤーボールを消し去ろうとしてるかもね。」
奴らがそんなことに頭が回るほど賢いはずはない。
まぁ、あの間隔でついてくるんじぁ、黒い霧にたどり着く前に放射熱で背中とケツがこんがりだと思うけど。
"だから走り続けて少しでも冷まそうとしてるんじゃないの。"
流石、駄犬。生き残ることに関してはしぶといな。
「おばちゃん、作戦その2の、エンの挑発に乗ってのこのこ出てきた標的に火力バカ共が突撃して、水と風属性魔法を浴びせて黒い霧を消し去り、はだかにするが失敗だよ。どうする。」
"全く血液が乳にしか言っていない魔牛はこれだから。
考えなしに駄犬共を督促して。
ペットもペットならその飼い主も所詮はお察しね。"
隣にいるおばちゃんは首を少し傾げて、う~んとちょっと考え込んでいる。
「弩スケベ君が挑発して標的の魔族偵察部隊が出てきたけど、このまま放置するとせっかくおびき寄せたのが無駄になるわよ、ジェンカちゃん。
まぁ、弩スケベ君がどうなってもあまり気にしないけどね。
せっかく標的が捉えられそうなのにそれを見逃す手はないと思うな。」
「エリカ、うちの駄犬共が突っ込んで行ったから、ついでに標的も巻き込んでファイヤーボールで相打ちすんじゃねぇのか。」
おばちゃんは魔牛乳帝様の言葉を聞いてさらに難しい顔になった。
"黒い霧の中じゃ人類や魔牛の放ったファイヤーボールは効かないと言うことが分からないのかしら。
それにファイヤーボールが消えたからと言って改めて攻撃しようとしても、黒い霧の中からじゃ転写してもらっておいた水と風属性魔法も使えないし。"
「シュリちゃん、黒い霧に向かって行った火力バカ共のファイヤーボールはその中で消失してしまうんじゃないの。
ついでに転写した魔法も使えなくて、まぁ、竹槍一本、実際は身に着けた転写用の魔道具ナイフで特攻して、なすすべもなく返り討ち会うが関の山ね。」
「がぁぁぁぁ、そうだったぁ。
黒い霧の中じゃぁ、雷属性魔法以外使えなかったんだぁ。
最も、あいつらの微魔力じゃぁ、転写雷属性魔法何て使えないしな。」
「このままじゃぁ、エンはともかく駄犬共まで殲滅されちゃうなぁ。」
俺のつぶやきに心底驚いた様子の魔牛乳帝様。
「えっ、リュウそうなのか。
まぁ、運用幅があまりない奴らだけど、さすがに自分のペットを見殺しにするのは心が痛むなぁ。
今回の作戦だと弩スケベのエンだけ犠牲になるかもって言う感じだったよな。
弩スケベ一人の犠牲で標的を殲滅できれば儲けが大きいと思ったんだけどな。
ジェンカ、うちの駄犬共を救う良い手立てはないのか。」
えっとぉ、エンの奴は敵にやられてもいいような。
いや、やられることがデホの雰囲気なんですけど。
「しょうがいないなぁ。
確かに旅団での私たちの初任務で弩スケベのエン君と火力バカ共を一緒に失うのは痛いわね。」
"ちょっとぉ、そんなことになったら指揮官の私の夏のボーナスの査定がぼろぼろじゃないの。
ボーナスはリュウ君のと合わせて全額「愛の駄菓子屋設立基金」に入れるはずだったのにぃ。
もう、この魔牛は何ていうことをしてくれちゃっているの。
もしそうなったら、部隊の宿舎から郊外の牛舎に引っ越しさせて、毎日魔牛乳しぼり体験教室と魔牛乳販売で弁償させてやるからね。"
おばちゃんは、さらにため息をついた。
まぁ、魔牛乳しぼり体験は子供ではなく、大人♂に人気が出そうだけどな。
「はぁ、仕方ない、救助に向かいますか。」
助けに行くんだ。
"ポチが魔牛乳しぼりにはまっちゃったら大変でしょうがぁ。
う~ん。
火力バカ共を助けるのと標的の魔族部隊を殲滅するのとで、どちらがボーナスの査定にが上がると思う、リュウ君。"
う~ん、軍の人事査定については詳しくないからなぁ。
でも、戦いには犠牲が付き物だからな。
駄犬共を救って、魔族を取り逃がしたら作戦失敗だけど。
駄犬共を犠牲に、魔族を殲滅したら作戦は成功と言うことじゃないのか。
"じゃぁ、決まりね。
エン君と火力駄犬共を囮に魔族偵察部隊を殲滅するわよ。
これはチャンスね。
その上、駄犬の1匹か2匹でも救えればさらにボーナスアップね。"
「あっ、黒い霧が二つに分離して、第27師団の左翼の方向に移動を始めたぜ。」
お淑やかな大男さんの背中で黒い霧の動きを監視していたおしめの凶暴幼女が報告してきた。
お淑やかな大男さんの背中に乗ると遠くまで見通せるからな、監視には丁度良いのだ。
「駄犬共とファイヤーボールが近づいてきたのに気が付いて、慌てて逃げたのかな。」
「ジャンカちゃん、弩スケベの周りの黒い霧はそのまんまだから、標的の敵偵察部隊が分離したんじゃねえのか。」
「敵が近づいて来てもエン君から離れない奴がいるっていうの。
あの弩スケベ君から離れないなんて、きっと♂魔族ね。
♀魔族だったら5秒でいなくなるはずだし。」
「と言うことは、分離して左翼に向かったのが♀魔族で、弩スケベ君の周りに残ったのが♂魔族って言うことなの。
♂魔族が弩スケベ君の周りに残る理由って・・・・・・・。」
腐女帝様が何やら真剣な表情で考え込んだと思ったら、装備品を詰め込んだ背嚢から例のメモ帳を出してぱらぱらとめくり始めた。
「・・・・・・そう言うことね。
イリーナは実は美少女と見間違う♂魔族だった。
どうこれならすべての辻褄が会うわね。
ちょっとう、これて最高のシチュエーションじゃないの。
こんなたいそうなものを殺伐とした戦場の荒野で見れるなんて・・・・・、でへ♥」
何か黒いハートマーク♥を全身から噴出させてぶつぶつ言い始めた、腐女帝様。
例のノートを取り出した時点でこうなることはわかっておりました。
黒い瞳をハート型にした腐女帝様がおばちゃんの胸倉を掴む勢いで詰め寄ってきた。
「ジェンカ中隊長、弩スケベ君の様子を見に行きましょう。
今すぐにです。
このままほっとくなんてできません。」
助けに行くんじゃなくて、様子を観察するだけね。
「そして、私の同行者には弩阿呆君を強く推薦します。」
うぁぁぁぁ、俺を絡めて何をやらかすつもりだぁ、引っ張り込むんじゃねぇ。
腐女帝様の勢いに押されたおばちゃんは首を縦にカクンカクン。
「さっ、弩阿呆君、中隊長の許可をもらったわ。
弩スケベ君の下に飛んで行ってね。
早くしないとイリーナ"♂"魔族に弩スケベ君が取られちゃうわよ。」
腐女帝様がそう言って、俺の腕を脇に抱えるようにしてひっばった。
あっ、隠れた網掛けメロンがぷにゅ~んと潰れた感触。
あっ、こら、御子息様、ここは我慢するんだ。
ここで起き出したらさらにややこしくなるぞ。
まぁ、御子息様が俺の言う事なんて聞くわけないわな。
"こらっ、ポチィィィィの御子息様めぇぇぇぇ。
所かまわず元気になるんじゃないの。
私のプニョン以外で元気になるなんて許しません。"
「ちょっと待ってよ。エリカちゃん。
二人だけでエン君の下になんて行かせられないわ。
リュウ君は責任をもって私が連れて行きます。」
といって、俺の反対の腕を引っ張るおばちゃん。
あっ、わざとぷにゅ~んを押し付けて。
あぁぁぁ、両腕から伝わるぷにょ~ンの感触は心地良く、気持ちは天国に、御子息様はギンギンに・・・・・
ぐるしぃぃぃぃぃぃ。
俺の首をひっぱる奴がいたぁ。
ちょっと待て、そのまま引っ張ると首が取れるぞぉ。
「リュウ、ちょっと待ってくれぇ、弩スケベの様子を見に行くよりも俺の駄犬共を助ける方が先だよな。
さっき、そう決まったよな。」
火に油を注ぐ、魔牛乳帝様。
流石は炎の魔法術士様。
炎上させるのが得意ですね。
じゃなくて、どうすんだ、おばちゃん。
俺はここで逝っちゃいそうなんですけど。
あっ、御子息様もイッチャいそうですけど。
ここまでの成果
魔力回復: 5% + 20%(ボーナス♡) + 35%(ボーナス♥)
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 28時間06分
(おばちゃん、早くどうするか決めてくれぇ。首が取れそうだぁ。)
(乳でしかものを考えられない魔牛はこれだから困るのよね。
自分で突撃して助ければいいんじゃない。
あっ、赤い布がないと突進できませんか、闘魔牛だから。(おばちゃんターン))
(まじで早くしないと弩スケベ君がイリーナ(実は♂雄)に取られちゃうわよ。(腐女帝様ターン))
(もうエンは魔族にくれやることで良いよな。
それよりも首が取れる前に駄犬共を助ける方法を考えてくれぇ、おばちゃん。)
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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