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18話目 第104独立旅団の初任務 戦場といて、無情非情がまかり通る所と読む

「エン君なら例の魔族の偵察部隊、そう、あの目標を白日の下に引き摺り出すことが出来るのよ。」


おばちゃんの言葉にその場にいた一同は呆然。


「おばちゃん、エンが囮になれば今回の任務、初仕事のターゲットである例の魔族の偵察部隊を釣り出せるってことなのか。

いったいどういう事なんだ。

さっきまでの話し合いの流れから言っても全く理解できないんだけど。」


俺の疑問に腐女帝様をはじめ、周りにいる旅団メンバーは皆が頷いている。


「去年、一人だけ自爆せずに逃げ遂せた魔族、お嬢様と呼ばれていたイリーナがスタンでマヒして動かなくなった仲間を置いて一人で戦場から脱出する前にエン君に向かって投げつけたと思われる言葉を覚えているかな、リュウ君。」


魔族のお嬢様がエンに向かって投げつけた言葉かぁ。

覚えてないな、全くもって。

一年前の今日に喰った夕飯のおかずなんて絶体に覚えていらんないとおんなじだよな。


「まぁ、弩阿呆のリュウ君にそんな知的なことを期待するのは無理だと思うわよ。

それでイリーナが放ったことばねぇ、確か・・・・・・・」


えっ、腐女帝様は覚えているってのか。

一年前の夕飯のメニューだぞ。

パンとお茶なんていう絶対に食べた、ほとんど毎日食べているメニューだけの回答じゃだめだぞ。

ちゃんとおかずも言うんだぞ。


"あの晩は結局は野営したから軍の携帯食だったはず。"


げぇっ、あれを食ってたのか。

記憶から消したい事項の堂々の第一位に輝く負の思い出じゃないのか。

まぁ、あの日のことを俺が覚えていなくても致し方がないということだな。

記憶を抹殺したはずだから。

でっ、例の魔族のお嬢様は何と言ってたんだっけか。


俺の思考を読んだかのように腐女帝様は去年の実戦訓練の記憶を絞り出すように眉間にしわを寄せてつぶやいた。


「確かイリーナとかいう例の魔族の偵察部隊の生き残りはこんな言葉を汚物君に投げつけたのよね。

汚物君をちゃんと人として扱うなんて良く出来た魔族だわよね。

私には一生できそうにないわ、もちろん来世でも。

まぁ、それは置いといて。

えっとぉ、こんな言葉だったと聞いたわよ。


"貴様だけは許さん。

逆恨みかもしれんが貴様だけは許さん。

貴様を亡き者にしないと私の身を案じて付いて来た者たちをむざむざ戦場の塵にしてしまう。

私の慢心が起こしたことかもしれないが、それでもみんなの命の代償を貴様にも払ってもらう。

首を洗って待ってろ。

早く殺してくれと懇願するほどじっくりと殺ってやる。"


だったかしら。

この貴様というのがエン君のことだったよね。」


「エン、めっちゃその魔族さんに好かれてる。

あいつにも漸く春が来そうだな。」

「リュウ君、それってあの時のエン君と同じ反応だから。

まぁ、殺したいほどに懐かれているってのは言えなくもないけどね。」


「ここは幼馴染としてエンに春が来るように応援してやるしかないよな。」

「えっ、応援しちゃうの、恋のライバルに。

まぁ、そう言う展開も良いかも。

う~んっ、ちょっとストーリーを書き換えないといけないわねぇ・・・・・亅

「エリカさん、誰が誰の恋のライバルだって言うんだ。」

「・・・・・エン君とリュウ君の間に現れた、熱烈なエン君ファンの女の子。

このいびつな三角関係の行方は・・・・・・」


腐女帝様が最後にボソとそう言い放つと、一人妄想界の扉の中に入って行ったのかぶつぶつと下を向きながらつぶやくき始めた。


「えっと、リュウ君、しっかりして。

イリーナ言葉はどう考えても恋のつぶやきじゃないら。

イリーナの心の底からの憎悪をエン君にぶつけた言葉だから。」


「そっかぁ、漸くわかったぜ。」


魔牛乳帝様は何を悟ったんだ。


「エン君を第27師団の後方で何気なく散歩させれば、もれなくそのイリーナって言う今回の目標ブツが攻撃をしてくる、しかも、感情にまかせた無茶苦茶な攻撃をしてくる可能性が高いってことね。」


グロいギャルさんもおばちゃんの意図するところを悟ったようで興奮気味に口を挟んできた。


「そう言うこと。

まぁ、エン君がうろうろしているところを遠方から狙撃、結局イリーナは姿を現さずというパターンも考えられるから、エン君に対する遠距離攻撃を防ぐってことが必要だけどね。

その長距離攻撃の一発目を凌のげれば、仕留めきれなかったイリーナが頭にさらに血を上らせてほいほい姿を現すんじゃないかと思うの。」


っと、腰に手を当てて自信満々に言い放つおばちゃん。


「なるほどなぁ。

でも、そのイリーナだけがのこのこ出て来ても残りの魔族が隠れてたんじゃ、目標の殲滅とまではいかなんじゃないのか。」

「去年の状況を良く思い出して。」

「去年の状況ってなんだ、ジェンカ? 」


「「「「「ぐえっ。」」」」」


魔牛乳帝様が話にのめり込んできたためリードを無意識にぐいぐい引っ張るもんだから火力バカ共がぐえって声を上げて白目を剥き始めたぞ。

エンの前に火力バカ共が生贄とされそうです。


「イリーナは魔族軍ではなんか重要人物の様なのよね。

軍での身分が上そうな隊長がお嬢様と言っていたし、そのお嬢様を逃がす時間稼ぎをするためにイリーナ以外のスタンで動けなくなった魔族偵察部隊が自爆したようなのよね。

イリーナ一人だけスタンが効かかったというのも実は他の魔族兵がかばったのかも。」

「なるほど、汚物君を狙撃し損ねたイリーナが頭に血を上らせてのこのこ現れたら、それを守るために周りの魔族も一緒に表に出て来るっていうわけね。」

「姉御の言う通りです。」


姉御は少し考えて、言葉を続けた。


「大事なお嬢様がのこのこ人類軍の前に出て行くのを周りのお守りの者たちが黙って見過ごすかな。

何が何でも止めるんじゃ。」

「確かにな。」


姉御の意見に同意する魔牛乳帝様。


「クリスの姉御、汚物君が一人で散歩している風に、魔族部隊を索敵している感じじゃなくて、油断しきっている風体を装うのだったら。」


「グローちゃん、それだったら良いかもね。

周りで待機している私たちもできるだけ見つからないように隠れているか、全く魔族軍のことを警戒していないようなそぶりをしているというのも必要ね。」

「それとエン君には去年自爆した魔族たちを愚弄するような言葉を発してもらえば絶対にイリーナは我を忘れて姿を見せると思うの。」


さすがおばちゃんだ、えげつない作戦だな。


「ジェンカちゃん、散歩に出てきた汚物君が叫ぶように魔族を愚弄するっていうのはなんか不自然のような感じがするんだけど。」

「姉御、イリーナは優秀な魔族の偵察部隊の一員ですよ。

エン君が叫ばなくても呟くように自爆した魔族を愚弄すれば、イリーナは確実にそれを捉えると思いますが。」

「なるほど、そうね。

相手の琴線を利用しない手はないわね。

敵とは言え戦闘で逝ってしまった者たちを辱めるのは考えちゃうけどね。」

「姉御、それだから余計に効果が上がるんじゃないんですか。

戦場では無情非情なモノでしょ。

それにエンは既にとことんイリーナ嬢に恨まれているんでいまさら紳士振っても遅いですし。」


俺の言葉に姉御とおばちゃんがうなずいた。


ここまでの成果

魔力回復: 12% + 18%(ボーナス♡) + 30%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 17時間43分

(でっ、どうやって愚弄するんだ。

まさか、エンにイリーナ嬢のパンツの色や形を聞きに行かせんのか。

それともババパンと揶揄させるのか。)

(愚弄する対象が違うと思うけど。(おばちゃんターン))

(弩阿呆君と弩スケベ君がイリーナの前で抱き合うってのはどうかなぁ♥。(腐女帝様ターン))

(イリーナがうっすい本を愛読していたら逆効果じゃねぇのか。)

(はぁはぁ♥言いながら寄ってくるかも。

それはそれで作戦としては成功よねぇ。(おばちゃんターン))

(却下で。愚弄する方向の一択で、おばちゃん。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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