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17話目 第104独立旅団の初任務 地獄の一丁目から引き返してきてぇ

姉御に退出命令を受けたエンの方を振り返ると、何やらよだれを垂らさんばかりに嬉しそうに笑いながら身を乗り出しているところだった。


「漸く俺の出番が来たようだな。」


まぁ、出番かというか出て行けと言われているんだけとな。

配属初日から職場のお局様を敵に回してしまったような状況か。

エン、お前ここでやっていけるんか。


"エン君なら大丈夫よ。

どんなに酷い仕打ちを受けても、相手が若い女の人だったら喜んで甘受するはずよ。

例えば、さっき姉御が突き付けた「部屋に帰れ」だって、先に部屋に戻って私の行くのを布団を敷いてパンツ一丁で待っててと脳内変換済みだから。

あっ、リュウ君も先に部屋に戻るぅ♡。"


なるほど確かにあの涎が今にも垂れて来そうなだらしない顔はそういう妄想をしているかもな。

えっと、何でおばちゃんも涎が垂れそうになってんだ。


「弩スケベぇ、お前、姉御に何をしやがったんだぁ。

今日配属されたばかりなのに、もう謹慎処分を食らってんぞ。

そのいやらしくだらしない顔と態度を今すぐ改めて、姉御に土下座して謝れ。

もしかしたら、いばらの鞭で百叩きの刑ぐらいで許してもらえるかもしんねぇぞ。」


あっ、待て凶暴幼女。

それって、今のエンの思考ではとてつもない御褒美になるから。


「妖艶な美女の姉御に個室に閉じ込められて鞭打たれる。

ばしっ、ばしっ。

これだぁ、俺はこれを求めて旅団に入ったと言っても過言じゃないぞぉぉぉぉ。」


今度は恍惚な表情をしながら立ち上がり、両手の拳を握り締めガッツポーズを取るエン。


「は~ぁっ、こうなったエン君を止められるのはボルバーナちゃんだけね。

何時もの奴をやっちゃって、お願いよ。」


おばちゃん、旅団の実行部隊長の指示を受けた凶暴な幼女隊員が例のロープを何処からともなく出してきて、エンの首に巻き付けた。

そして、エンを引きずりなら官舎の外壁に取り付けられた屋上に通じる非常階段がある方に歩いて行く。

あんなちっちゃな体で良く大の男を引き摺れるよな。

流石は凶暴な野生児だ。

クマさんとの相撲で鍛えた金太郎パワーだな。


のしのしとエンを引き摺って行く凶暴幼女の後ろ姿に視線を向けながらそんなことを考えていると、外見だけはかわいらしい幼児が振り返って、今度は俺にすごんできた。


「てめぇ、リュウ、余計な事を考えているとてめえもこいつと仲良く並べてに官舎の屋上から吊るすぞぉ、わかってんのか。

役立たずは干物にしてやんぜぇ。」

「まぁまぁ、ボルバーナちゃん。

リュウ君はうちの旅団の攻撃の要なんだから許してあげて。

昨日までは唯一の斥候職なために何となく私たちの中隊に汚物君としてその存在を許されたいたんだけど、本日からはマスクマンさんとゾンビ先輩がいるからね。

その存在意義を失って完全な汚物と化したエン君とは違うんだから。」

「ジェンカちゃんがそう言うのなら仕方ねぇ、今日のところは見逃してやんよ。

でも、リュウ、覚えてろよ。

お前も弩スケベの様に役に立たなくなったら、速攻で官舎の屋上で干物だからな。」


そう捨て台詞を吐いた凶暴幼女はエンを、きっきよりもさらに乱暴に引き摺って会議室から出て行った。


「ふぅ、これで邪魔者が消えたわね。

もちろん、ボルバーナちゃんのことじゃなくて汚物君のことよ。

それじゃあ姉御、話の続きをしましようか。

どうやって、隠れた魔族の偵察部隊を炙り出すかを相談してたんだっけ。

もう、ここは干物になった汚物君を戦場の真ん中に張り付けて、魔族が香ばしい臭いに魅かれて寄ってくるのを待つっていうのはどう。

汚物君には最後に役に立ってもらおうじゃないの。」

「エリカ、汚物の干物になんてのには蠅しか寄ってこねぇんじゃないか。

囮にも使えねぇよ。」

「シュリちゃん、そういうことかぁ。

エン君って汚物度が高すぎて囮にさえ使えないのかぁ。」


まだ、エンの汚物度を測りかねているグロいギャルさん。


「まぁ、蠅以外に魔物ぐれぇは釣れるかも知れねぇな。

ゴブリンとか。

やつらも汚物度がすっげぇ高いからな。」

「ゴブリンを釣ってもねぇ。魔族が釣れなきゃぁ意味ないよね。

は~ぁっ、簡単に目標を釣れないかな。

エン君だったらそのまま飲み込まれても損失はないも同然なのに。

むしろ役目を終えたら飲み込まれてほしいわ。」


エン、お前はゴブリンに毛の生えた程度の価値しかなかったんだな。


"例の魔族偵察部隊、目標を如何に釣って、白日の下に姿を現させるか。"


まぁ、ゴブリン+の価値しかないエンには所詮、無理な話だな。

もっと価値のあるモノで釣らないとな。


「例の魔族の偵察部隊にとって価値のあるモノかぁ。」

「ジェンカちゃん、どうしたの。」

「エリカちゃん、例の目標がどうしても欲しいモノ、それを目の前に吊るしたら我を忘れて飛びついてくるモノがないのかなぁって思って。」

「なるほどそれを餌にして釣れば簡単に目標を捕捉できるかもね。

捉まえてしまえば、後は煮るなり焼くなりこちらの思い通りね。」

「でもなぁ、奴らが我を忘れて食いつくモノってなんだ。」


グロいギャルさんは俺の方をちらりと見た。


「ジェンカちゃんだったら、リュウ君を吊るせばすぐに釣れるんだけど。」

「ちょっと、グローさん。

そんなうちのリュウ君を囮になんて差し出せません。

グローさんもゾンビ先輩を囮になんてできないでしょ。

あっ、エン君ならいくらでも何回でも、擦り切れても、原形を留めなくなっても良いわよ。」


「私だったら、リュウ君とエン君が抱き合うように縛り付けられて官舎の屋上から吊るされていたら・・・・・・、ハンカチで鼻を押さえながらダッシュで駆けつけるわね。」


何を妄想してんだ腐女帝様は。


「うちの旅団から差し出しても全然問題ないのはエンの弩スケベ野郎だけか。

まぁ、魔族だってあんなゴブリン並みの精力と価値しかない奴なんていらねぇか。」


「エン君が囮に使えれば、すべて丸く収まるのになぁ・・・・・・・。

エン君と魔族の偵察部隊かぁ・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・

んっ、・・・・・・・


あぁぁぁぁぁぁぁっ、忘れてたぁぁぁぁぁぁ。」


どうしたおばちゃん、突然叫んでボケたか。

朝ごはんを食べたかどうかを忘れたなんて。

昼はさっき一緒にくったから食べたのは間違いないぞ。


"誰がぼけ老人じゃ。

まだ、今晩も初めても経験していないのにボケてられるかぁ。"


「ジェンカちゃん、どうしたの。突然叫んで。」


おばちゃんの突然の老化に皆が戸惑っている表情を見せていた。

あっ、あのゾンビさんまで反応しておばちゃんの方を見ている。

次にそっち側に行くのはおばちゃんだと誘っているのかもしれない。


「エン君を連れ戻さなきゃぁ、官舎の屋上で干物になっている場合じゃないのよ。」


んっ、エンをここに連れ戻す。

ゴブリン並みの精力と価値しかないって皆に認識されているあいつをわざわざここに連れ戻して何をさせるんだ。

干物じゃなければ塩辛からか。

わかったぁ、保存食にするんだな。

それを魔族の手下の魔物に与えてこっち側に引き抜くつもりなんだろ。

おぉっ、エンの奴もついに消極的に役に立つ作戦が来たかぁ。

まぁ、どっちにしてもエンはもう直ぐち~ンだと思うけどな。


「エン君なら例の魔族の偵察部隊、そう、あの目標を白日の下に引き摺り出すことが出来るのよ。」


「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇっ。」」」」」」」


ここまでの成果

魔力回復: 15% + 20%(ボーナス♡) + 25%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 17時間27分

(まさか、エンが俺たちの初任務の成功のカギを握る重要人物だっというのかぁ。)

(そうなのよう、信じられないでしようけど。

あまりにも信じられないから私も思い出さないように思考をセルフブロックしていたのかもね。

けっして、ボケたわけじゃないのよ。(おばちゃんターン))

(弩阿呆君、良かったわね。

事情はいまいち理解できてないけど、君の大事な汚物君がゴブリン仕様の干物にならなくて。(腐女帝様ターン))。


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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