15話目 第104独立旅団の初任務 雷が鳴ったらどうするの?
また、あのお嬢さんと言われていた魔族と再戦なのか。
んっ、でもあの部隊はお嬢さんと言われた魔族の女一人を除いて自爆して全壊したはずたよな。
あの子が一人で頑張っているということなのか。
"数カ月たっているから新たに訓練して偵察部隊を再編成したか、或いは、自爆した魔族部隊は偵察部隊全体の一部だったのか。
まぁ、数カ月で第27師団を翻弄するほどの戦力を新たに再編するのは難しいわね。"
おばちゃん、ということはだ。
自爆した偵察部隊は全部隊の一部にすぎなかったって言うことになるのか。
"そうねぇ。
交代で第17師団の後方を攪乱していたということじゃないの。
当時は第17師団が魔族軍本隊を攻撃するために前進すると必ず後方を攪乱されていたみたいだから。
小さな偵察部隊がいくつか編成されていて、交代で第17師団の後方を毎回確実に攪乱していたと考える方が良いんじゃないの。"
「姉御、そろそろ質問しても良いですか。
今の説明で私たち第104独立旅団の初任務の目標がはっきりしたし。
それにその目標とかなり近いと思える敵戦力と昨年に実際に戦った者たちだけがここにはいるんだし。
目標の具体的な情報も欲しいです。」
おばちゃんの発言に姉御は頷くことで質問することを認めたようだ。
「第27師団は去年の第17師団と同じような状況、つまり、正面の魔族軍を攻めると後方に魔族の偵察隊がどこからともなく現れて攪乱している。
挟撃に曝された第27師団は動揺して攻撃を中止し、陣地に後退、これを何度か繰り返すって状況に陥っているということですか。」
おばちゃんの質問を肯定するように姉御は頷き、説明を加えた。
「昨年の第17師団で戦闘の情報が各方面軍で共有されているので、第27師団は挟撃されて戦闘は中止するけどズルズルと戦線を大きく後退させることなく何とか元々の戦線に近いところを維持しているとのことよ。
だだし、こういうことがあと1~2回続くと戦線を大きく後退するかもというところまで追いつめられているらしいわ。
特に精神的にね。」
「それで例の魔族の後方攪乱部隊を殲滅したことのある私たちに何とかしてくれって第27師団が、いえ、第9軍団が泣きついて来たっていう事ですか。」
腕を組んでその隠れた〇乳を乗せて話を聞いたいた腐女帝様が口を開いた。
「独立旅団司令部や参謀本部に第9軍団が実際に泣きついて来たかはさておき、軍総司令部での各軍団の戦況報告の場でそのような話があったことは確かみたい。
それを聞いた参謀総長がその対応を新設の第104独立旅団に任せたいみたいなことを提案し、受け入れられたということなのよ。」
お淑やかな大男さんの肩から生えている凶暴そうな幼女の生首が次に口をきいた。
反対側の生首は本体の首と同様に静かに遠くを見つめているような眼差しだ。
「第17師団でコテンパンにやられたから他の場所で暴れているってこったな。
よし、去年と同じように俺たち行って懲らしめてやろうじゃねぇか。」
ちなみに、もうすぐ19歳だと自称する割には体形が小学生低学年のまんまだな。
まぁ、さすがに幼稚園児とは言わんが。
びゅっ
「ぐぇっ。」
何処から飛んできたんだか俺の首に太いロープが巻かれ、引っ張られた。
「てめぇ、リュウ。
弩阿保のくせに余計なことに気を回すんじゃねるぇ。
お前は晩飯のおかずでも心配してろ。」
"また、二人で念話してるぅぅぅぅ。怒"
「ボルバーナちゃん、向こうの魔族偵察隊には昨年の戦闘の生き残りのお嬢がいる可能性が高いんでしょ。
このまま私たちが乗り込んで行ったとしても、前回と同じ戦法が通じるとは思えないんだけど。
向こうも証拠にもなくのこのこ出てきた限りは、私の雷属性魔法のスタンに対抗する見通しが立ったと言うことじゃないの。」
「なるほどなぁ、そう言うことか。
で、あいつらはどういう対策を取ったんだろうな、エリカ。」
流れが戦いの話になってきたので巨〇をゆさゆさしながら前のめりに話に加わる魔牛乳帝様。
スタン、雷属性魔法の対抗策かぁ。
避雷針でも立てんじゃないのか。
"でも、リュウ君の転写スタンはほとんど範囲攻撃のように何本もの魔法が地表を這うように発生させるのよね。
数本の避雷針じゃ、すべてを受け切れないと思うけど。"
じゃぁ、部隊全員で数本の避雷針を持ってんじゃないの。
そうすれば放射状に展開したスタンをすべて拾い切れるかもよ。
てか、そんな方法だと雷属性魔法がすべて効かなくなるんじゃないのか。
まずくない、おばちゃん。
"高密度の範囲雷属性魔法を百本程度の避雷針では避けられないと思うけど
第一避雷針は強制的にそこに雷を落とすのよね。
高密度の雷属性魔法を放って、すべて避雷針で受け切れてたとしても、結局は避雷針の周囲で魔法は発動してしまうんじゃないのかな。
それに隠密行動をとっている例の偵察部隊がそんな避雷針を何本も持って移動だなんて、その機動性を損なうんじゃないのかな。"
なるほどね。
雷属性魔法術士の腐女帝様はどう思っているんだろう。
俺がそう思って彼女の方を見ると、話を促されたと思ったのか小さなため息を一つついてから口を開いた。
「弩阿呆君に何のアイデアもないと思われるのは嫌だから、あまり良い方法ではないとは思うけど一つ。」
おぉっ、さすが雷帝と言われるだけあるな。
ちゃんと自分の属性魔法の対抗策もご存じでいらっしゃる。
「エリカ、雷属性魔法の対抗策ってなんだ。」
「まぁ、避雷針かなぁ。」
なんだ、避雷針なんだ。
でも、おばちゃんによるとスタンなどの雷属性魔法対策には今一だという話だったよな。
"あっ、それはリュウ君が転写魔法を使った場合ね。
あんなに広範囲に高密度に魔法をばら撒けるのはリュウ君の魔力量があって初めてできること。
普通の肉壁ちゃんだったら何本か避雷針を離して立てれば、雷属性魔法を避けられるかも。"
でも、俺の転写スタンの対策を魔族の偵察部隊が取ってくるということを仮定しての議論だよな。
やっぱり、おばちゃんの最初の話のように俺の転写スタンに対しては避雷針はあまり効果がないように思うけど。
"避雷針はリュウ君の低レベルだけど広範囲、高密度の転写スタンには効果がないか・・・・・、あっ。"
どうしたおばちゃん。
花摘みか。
「避雷針、あるかも。
リュウ君が去年のあの戦闘で発動した転写スタンを低レベル、広範囲、高密度じゃなくて、一発で魔力が枯渇することを覚悟で何人かで高レベルスタンをいっせい別々の方向に放ったと勘違いした場合には。」
「ジェンカちゃんどういうこと。」
「エリカちゃん、リュウ君の放った転写スタンは低レベル、広範囲、高密度だったじゃない。
それを避雷針で地面に逃がそうとしてもどんどん避雷針に集まってくるために避雷針が飽和して受け切れなくなるか、逃がした地面が魔法で飽和して逃がしきれなくなると考えられるけど。
これが数本の高レベルのスタンだとすると見掛け上のスタンの威力は実際のシュウ君が放った転写魔法とそう変わらないけど、何本かの避雷針を立てればすべて受け切れる上に、地面に逃がしても後から続いて来るスタンがないために地面が飽和することがないんじゃないの。」
「魔族はスタン、雷属性魔法というのはわかったけど、威力ばかりに目が奪われてどういうスタンだったのか魔法の本質を見誤ったんじゃないということか。
それで俺たちへのスタン対策として魔族の偵察部隊は避雷針の用意があると考えられっていうのか、エリカが言った通りに。」
魔牛乳帝様の言葉におばちゃんは頷いた。
ここまでの成果
魔力回復: 8% + 35%(ボーナス♡) + 25%(ボーナス♥)
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 18時間29分
(なるほど避雷針か。それって、雷属性魔法の対策の定番なのか。)
(さぁ、大きな教会の落雷対策は避雷針が定番だけど。
まぁ、私の落雷対策は避雷針のある建物の中でリュウ君にぎゅっと抱きしめてもらって、雷が通り過ぎるのを待つことかな。
そして、いつの間にか二人は燃え上がり・・・・・、朝まで♡・・・・・、でへへへへへってね。(おばちゃんターン))
(私は弩阿呆君と弩スケベ君が抱きしめ合って、雷が通り過ぎるのを待つのをじっくり観察することかな♥、でへへへへへへへ。(腐女帝様ターン))。
(雷が鳴ったら腐女帝様はそんなありえもしないことを期待してたんだ。)
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
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