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10話目 第104独立旅団の実態 俺たちに求められていること

腐女帝様の質問に今度は旅団司令官が相変わらずにこやかに応じた。


「そうですね。

本質的には無理かもしれませんね。

参謀本部旗下の君たちの指示は軍本部の考えということで、平時や戦いが優勢時にはおとなしく指示に従ってくれるでしょう。

しかし、不測の事態が生じた場合にはどこまで指示に従ってくれるか。

そういう事態に陥ってみないとどうなるかはわかりませんね。

まぁ、編成した部隊がバラバラになった時には全部隊を何とか一軍として動かそうとしないで、君たちが生き残ることを最優先してくれれば良いですよ。」


腐女帝様は司令官の言葉が予想外だったのか、一瞬言葉を飲み込んだ後に詰め寄るような口調で再び質問を口にした。


「・・・・その失礼ですが、それって招集した部隊を囮に使っても、犠牲にしてでもなんとか無事に戻って来いという意味にも聞こえますが。」


やり取りを黙って聞いていた、確か第102独立旅団の指揮官だったはず。

彼が少し厳しい顔をして話に割って入ってきた。


「配属早々に生臭い話になってしまったようだが、今の話題は重要なことなので曖昧にしない方が良いだろうと思う。

参謀総長、旅団司令官、如何か。」


横に居た第101独立旅団指揮官もつられるように口を開いた。


「私もこの点ははっきり告げた方が良いと思う。

彼女たちがこのチームを、この中隊を組むという我儘を軍に認めさせた段階でこうなること、そして、後戻りできないことが決まっていたようなものだろう。

そこを曖昧にしてはいけないんじゃないのか。」


改めて渋い顔をしながら今度は参謀総長が話すようだ。

そのガタイでそんな顔をされるとなんかやばいんですけど。


「そうだな。

次世代を担うと期待された戦力を一か所に集めてしまったのだからな。

先ほども話したが、将来の君たちは軍の中核戦力として活躍することを期待されている。

近い将来には人類の盛運を決めるような戦いにも中心戦力として参加することになるだろう。

もちろん、その時に軍籍があることが前提だがな。

繰り返すが、君たちは一方面軍の一翼を担うような戦力となることを期待されているわけではない。

これからいろいろな戦場を経験してもらい、それを糧として大きな戦いで中心戦力として活躍できる能力を身に着けてもらうことが求められている。

経験を積むためには当面は一局地戦にも派遣されるだろう。

そして、そのような小さな戦いでも戦いの行方を左右するような中心的な役割を追ってもらうつもりだ。

君たちが赴くどのような戦場でもその中心的な戦力として働くことになるだろう。

そうやって貴重な経験を積んでもらうのだが、途中の小さな戦いで君たちを失うわけにはいかない。

一局地戦で将来の中心戦力を失うことは絶対にあってはいかん。

何が何でも無事に帰って来い。

他の部隊が全滅したとしても君たちは帰ってなければならない。

一局地戦の勝敗に君たちを犠牲にしてはいけないのだ。」


念話すらすることなく黙って腐女帝様と独立旅団幹部とのやり取りを聞いていたおばちゃんがやっと口を開いた。


「私たちの当面の役割は与えられた戦場で作戦を立案し、部隊を招集、その部隊を指揮して戦う。

戦闘時には勝敗にこだわらずに無事に帰還することを優先した戦いを目指すということで間違いないでしょうか。」


おばちゃんの答えを聞いた旅団司令官は顔をほこらばせた。


「その通りです。

当面は実戦部隊というより参謀としての役割が大きくなるかもしれませんで。

兎に角、無事に帰ってくることを最優先して、そして可能なら勝って、招集した部隊の被害も少なくなるような戦地での活躍をお願いします。」


「それは何かさっきの話と矛盾しないでしょうか。」


俺は旅団司令官の話に少し違和感を覚えたので質問することにした。


「先ほどの話は進退窮まったような場合のことです。

出来れば小さな勝利と最小の犠牲に留める戦い方をまずは目指してほしいと思います。」

「司令官、最小の犠牲というのはわかりますが、小さな勝利というのはどういうことでしょうか。」

「君はリュウ君だったね。

優秀な魔法術士とそれ支える君のような多大な魔力を持った兵士は大きな勝利、相手に完全に止めを刺すような戦いを求めがちです。

しかし、大きな勝利には大きな犠牲を伴うことが往々にしてあります。

先ほども言ったように、君たちに希望するのは犠牲を出さずに戦いの経験を積んでもらうことにありますから、大きな勝利を掴むことは軍の司令部としては望んでいません。

一方、負けるということはそれに伴う犠牲は自然と大きくなってしまいます。

そこで、小さな勝利を最小な犠牲でもぎ取ることを目指してほしいと思います。

それにですね。」


「司令官、それに何でしょうか。」

「犠牲の少ない常勝の指揮官は皆に慕われ、尊敬されるものですよ。

将来に大きな戦いをするときに招集した部隊はそんな指揮隊の指示は喜んで聞いてくれるのではないかと思いますが。」


"そっかぁ、私たちの軍人の成長を望むとともに、無敗部隊としてのカリスマ性を付けてほしいということね。

私たちと一緒に戦えば勝利、少なくても無事に帰ってこれるという伝説を方面軍の将兵に持ってもらいたいと。"


でも、おばちゃん、小さな勝利を積み重ねてもカリスマ性なんてのは付かないんじゃない。


"そんなことはないわよ。

私たちの中隊と一緒に戦えばたとえ戦闘に負けても多くは無事に帰還できる、命あってのなんとやら・・・・、やはり生きて帰ってきたいというのが軍人の心の奥にある一番の願望だと思うわよ。

表立っては言わないだけで心の底では誰もが望んでいることね。"


そっかぁ。

あっ、でも小さな勝利じゃぁ、特別報奨金なんて望めないんじゃないのか。


"まぁ、小さな勝利を目指せというのは無事に帰還するための方便みたいなものね、

私の解釈としては。

要は圧倒的な勝利をすればいいのよ。

そうすれば自然と損害は小さくなるわよ。

私たちの中隊は3帝の力だけで成り立っているわけじゃないわよ。

その力を生かすリュウ君の魔力。

火力バカ共の突破力。

土壁の皆の堅牢さ。

小者小隊と合わせた時の索敵能力。

私たちの中隊を招集した部隊の中心に据えて戦えば、圧倒的な勝利も夢じゃないわよね。"


何といっても、そこにおばちゃん、そして、姉御とグロイギャルさんの指揮隊が加わると確かにそうなるかも。

実際に去年の第17師団での魔族の例の偵察部隊との戦いでは、第17師団が手も足も出なかった連戦連敗の相手なのに俺たちは圧勝したからな。


"そういう戦いをしていきたいわよね。"


ここまでの成果

魔力回復: 30% + 25%(ボーナス♡) + 10%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 18時間11分

(これからの俺たちに求められていることが分かって良かったよ。)

(さぁ、ガンガン稼ぐわよぉ。(おばちゃんターン))

(稼ぐ? 今の話の中で、そんなおいしい所なんてあったかしら。(腐女帝様ターン))


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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