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5話目 就職しました 初仕事はあっちの方のお世話ですか

「俺たちの配属先は新設する遊撃部隊、第104独立旅団だというんですか。」

「そうよ。

指示系統は実戦部隊の方面軍、いわゆる各軍団ではなくて、軍の総司令部、直接は参謀本部直属になるらしいわよ。

詳しいことは参謀本部で説明があると思うわ。

参謀長と直接の上司の旅団司令官が参謀本部でお待ちになっています。

それでは行きましょうか、私の後に付いて来て下さい。」


そう言うとエレン教官はプルンと一振りして後ろを向き、軍総司令部の建物の玄関の方に足を踏み出した。


意外な配属先を告げられて、一瞬何のことだがわからなかった俺たちはぽか~んと、あっ、6人ほどはブルンブルンを見せつけられてまた土下座体勢に逆戻りだが。

どちらにせよ、だれもエレン教官に直ぐには付いて行くことが出来なかった。


「あっ、ちょっと待ってください、教官。」


一番先に我に返ったおばちゃんがとっとと建物の中に入って行くエレン教官に声を掛けた。

それを耳にしたエレン教官が勢いよく振り返ったためにブルンブルンプルン、えっと、刺激的過ぎて鼻血が出そうです。

あっ、鼻血が出たら血が減って御子息様の暴れ具合が小さくならないかな。


"ちょっとぉ、リュウ君も土下座や鼻血の噴射をするつもりなの、軍総司令部の玄関先で。"


鼻血はまだしも下半身を手で押さえての土下座はまずいよな。

エンと火力バカ共はもうなっちまったからしょうがないけど。


「どうしたの、ジャンカちゃん。」

「第104独立師団の本部はまさか軍の総司令部の建物の中に有るんですか。

それとも、この建物を突き抜けた裏にあるとか。

そうですよね。

一部隊の事務所が軍の総司令部にあるなんてことはないわよね。」

「さっきも言ったんだけどね、君たちの配属先の第104独立旅団は参謀本部直属なのよ。

参謀本部がある軍総司令部の中に事務所があるのは当然じゃなの。」


こちらを振り向いたエレン教官が何をいまさら言っているのよと言うような、逆に驚いたような顔でおばちゃんを見た。


「軍の総司令部の中にある参謀本部、さらに独立旅団司令部なんて言うところがどこにあるかわからないだろうから、私が君たちを案内するように参謀本部より指示を受けたのよ。

わかった?

じゃぁ、行くわよ。

あっ、そこでズボンを手で押さえながら土下座している君たち。

前かがみのままで良いから私に遅れないで付いてきて。

参謀本部の中では土下座してても良いから。

兎に角、遅れないで。」


エレン教官、まずは前を向いてください。

土下座の原因を取り除いてください。

こいつらはこれでも必死に自らの御子息様を鎮めようと躍起になっているんです。

兎に角、そのブルンブルンを奴らの前から隠してください。


"くやしぃぃぃぃぃ。

この乳牛、絶対にわざとよ。

そうやって、垂れた乳を見せびらかしているのよ。"


俺もそんな気がする。


"リュウ君は惑わされちゃだめだからね。

火力バカ共なんて、魔牛♀で慣れていたと思ったのに。"


あっ、あいつらは常に突撃したがって魔牛乳帝様の前にいるから、もしかして思ったほどは見慣れてないのかもしれないな。


俺たちは軍総司令部の玄関の中に入って、大きなホールの中を突き進むエレン教官の後を追った。

ホールは天井が高くアーチ状の梁がある石造りの立派な建物だ。

床もピカピカに磨き上げられている。


軍関係者と思われる人々が多く行き交っているが、家具などの余計な物は一切ないために人出のわりにスムーズに移動しているように思う。

壁際ではいくつかのグループが談笑していが、ホールが広いためか特に通行の邪魔になるようなことはないようだ。

ここが人類軍の中枢、総司令部か。

こんなところに配属されちゃうとはなぁ、何かちょっとビビッてしまうな。


"何言ってるの、リュウ君。

軍中枢に配属なんて超ラッキーじゃない。

ここなら金を持っていそうね。

ちょっと活躍すれば特別報奨金がガッポガッポ。

駄菓子屋開店資金どころか、駄菓子屋チェーンの設立資金が溜まるんじゃない。

頑張ってよ、リュウ君、私たちの明るい家族計画のために。"


雰囲気にビビった他に、さらに、おばちゃんにこき使われそうな雰囲気に俺の心は重くなってきた。

ちょっと重たい気持ちになったため、俺は下を向きながら、おばちゃんにグイグイ手を引かれるままにエレン教官の後を付いて行く。


ふと前を向くとエレン教官がホールの奥の受付で、受付嬢と何か話をしていた。

おおっ、流石軍の中核施設の顔となる受付嬢だ。

これはまた美しい。

人類領一の繁華街である門前町でもなかなかお目にかかれないほどの美人さんだ。


ドガッ。


おばちゃんにケツを蹴られた。


"ぶぅぅぅぅっ。"


「久しぶりだな、皆。元気だったか。」


えっ、あの美しい受付嬢が男のようなだみ声。

うぁぁぁぁぁ、もしかして前にナニが付いている方、男の娘の方でしたか。


"何を言っているのよ、リュウ君は。"


だって、エレン教官と話をしているあの美しい女性がひげ面のおやじ声を出しているんだぞ。

絶対に下半身に御子息様が付いてるんだぞ。

これが絶望せずに居られようか。


"リュウ君、その前にナニが付いているかもしれない女狐の横を見ようよ。

見たくない気持ちはわかるけど、ちゃんと横だけを見るとすべて解決するから。"


えっ、受付嬢(男の娘の疑惑あり)の横?

もう一人、美しい受付嬢がいるなぁ。

もしかして、あの方も前にナニが付いている疑惑の方なの。

なんなのこのやるせない絶望感は。

俺はこれから毎日、美しい受付嬢を見て絶望感に浸るのかぁ。


"なんで現実の直視を避けてるの。

左じゃなくて、右隣りの方よ。

まぁ、更なる絶望感に浸りたくない深層心理がそうさせているのかもしれないけど。

そこはあえて右隣りを直視して。"


右隣りって、壁しか見えないんだけど。


"そっかぁ、リュウ君にとってあいつは目に見えないもの、存在が認識できない程度の扱いなんだ。"


えっ、おばちゃんは見えているのか。

でっ、俺は見えない。

もしかして、あっちの世界の方ですか。

おばちゃんにばっちゃの形見で首チョンにされたストーカーの霊が復讐のために化けて出てきたんですね。

それはさすがに俺には見えないと思います。

てか、祟るならおばちゃんだけにお願いします。

俺は無関係ですので、そこんとこよろしくお願い申し上げます。


"ちょっとぉ、リュウ君。

私一人にあいつを押し付ける気なの。"


いゃぁ、俺に見えないってことは、俺は無関係だよね。

おばちゃんの関係者でしょ。

見えないんだから、そこはおばちゃんが担当してよ。


"えぇぇぇぇっ、あいつのお守りを私にやれっていうの。

それ無理、絶対無理だから。

その役目はリュウ君に謹んでご進呈いたしますわ。"


そんな見えもしないあっちの世界の方のお守りなんてできないでしょ。


"見えないんじゃなくて、見ようとしてないだけだから。"


あっちの世界の方なんて見たくないぞ。


「リュウ君、久しぶりだねぇ。元気にしていた?

これからよろしくね。」


うぁぁぁぁぁぁ、俺を名指しでお世話を要求してきたよ。

祟るならおばちゃんにしてよ。

俺は何もしてないよね。

俺に祟るなんて筋違いもいいとこだから。


"リュウ君がご指名の様だから、あいつのお世話の方をよ・ろ・し・く♥。"


ここまでの成果

魔力回復: 12% + 47%(ボーナス♡) + 17%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 18時間29分

(配属先での初めてのお仕事がおばちゃんに首チョンされたあっちの世界の方のお世話ですかぁぁぁ。

あまりの衝撃にスキルdown。)

(あいつのお世話をよろしくね。ボーナスUPしておくから。(おばちゃんターン))

(私も関わりたくないから、リュウ君、お世話係をお願い。

私もボーナスを上げとくからね。

私は柱の陰からじっくりと観察♥・・・・・・・(腐女帝様ターン))

(えっ、腐女帝様も見えるの、あそこにいるというあっちの方を。 )


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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