肉壁の戦い 肉壁ちゃん新兵になる 1話目 就職しました 配属先はどこが良い?
新章が始まりました。
第4章 肉壁の戦い 肉壁ちゃん新兵になる
引き続き、お楽しみください。
また、この季節が巡ってきた。
頬をなでる風が眠気を誘う心地よさとピンクの花弁を運んでくる。
私たちの中隊は無事に、一人も欠けることなく、肉壁の穴と魔法学校を卒業することが出来た。
まぁ、言わずと知れた弩スケベと火力バカ共は追試、追試の荒しで、肉壁の穴の修了証書、巷で言う肉壁ちゃん検定済み合格書をもらえたのは、学校の卒業式もとうに終わって、その1週間後だった。
私たちがヅラの校長の祝辞を1時間以上も我慢して聞いている時に、あいつらは元の教室で再々追試を受けていたのだ。
まぁ、ヅラの話を聞くより追試を受けていた方がどれだけ楽かわからないけどね。
リュウ君は例の第2スキル爆発動で、入場して気が付いたら講堂から退場していたと言っていた。
私は卒試の2カ月前の12月の中旬に、ヅラの話を1時間寒い講堂で立ったまま聞くのと延々と追試を受けるのがどっちが好きかって、私はリュウ君に聞いたのだ。
そのときにばっちゃの形見を水平に抜いて迫ったことは私とリュウ君だけの秘密だ。
そう、相変わらずリュウ君は私が補習を手取り足取り、出来れば終わった後に"今晩"に付きやってあげないと肉壁の穴の卒業が危ない状態だったのだ。
もう、年末年始にクリスマス、何だクリスマスって? なんて世間様に合わせて浮かれて盛り上がっている状況になかったのだ、私のリュウ君は。
授業と演習、そして、寝る以外は食事の時も含めて補習を行いましたとも。
ここで脱落されてはリュウ君と私の駄菓子屋開店計画に支障が出ちゃうもんね。
まぁ、軍を追放されたリュウ君だけ先に駄菓子問屋に丁稚奉公に入って店長の修行をするっていうのもありって言えばありだったんだけど、修行先に魔牛乳のような同期生や乳牛教官のような先輩が乳を餌にリュウ君を我が物にしようとする不届き者がいないとも限らないしね。
ここはがっちり、お淑やかな大男さんチームにホールドしておかなきゃね。
あっ、エン君はどうでも良いかな。
卒業できなかったら修道院に永久就職すれば良いんだし。
ばっちゃの形見で二度と毛根の一部が復活しないように就職祝いを差し上げても良いんだけどね。
火力バカ共は・・・・、全員が卒業できなくてチームが解散するのはまずいわね。
せっかく奴らに魔牛乳をペットとして押し付けることに成功したのに。
まぁ、普段はどっちがペットだかわからない様子だけど。
チームが無くなったら新しいチームを作る、新しい飼い主が現れるまでお淑やかな大男さんチームで魔牛乳のお世話をしてくれなんて言われて、そのままズルズルと居座られたら大変だわ。
よし、火力バカ共が全員落第すると困るので、奴らにはリュウ君との補習で使った資料を横流ししておく他かないわね。
これで追試は何とかなるでしょ。
何てことを卒業前は考えていたけど、結局は全員無事に肉壁の穴を卒業し軍に正式に入ることになったわ。
ピンクの花弁が風に舞う中、リュウ君と一緒に教会本山の軍総司令部に出頭するところだ。
これから二人でバンバン稼いで、愛のスイート駄菓子屋、なんか甘いものばっかり売っていそうなお店だけどね、ちゃんとソース煎餅の様なしょっぱいものも仕入れるつもりよ。
駄菓子屋の開店資金をドンッと稼がなきゃね。
それにしても、初めての実戦訓練で例の魔族偵察部隊を取り逃がしたり、自爆されたりしたのは痛かったわね。
身代金をがっぽりせしめるどころか、結局は特別な報奨金すら出なかったし。
ヅラの第17師団長からはよくやったの一言で済まされたもんね。
あいつは校長の親戚か。
あ~ぁっ、惜しかったなぁ。
特別報奨金については私だけでなくエリカちゃんもかなり期待していたみたい。
例の自費出版のうっすい本の増刷を目論んでいたんだけど、駄目になったとぼやいていたわね。
エリカちゃん一見冷静に見えて、うっすい本の出版については並々ならぬ情熱を燃やしているからね。
かなり頭に来ていたのね。
年末に漸く出版にこぎつけたうっすい本vol.Xの最後の方に、ヅラを魔族に奪われて涙目になったパンツ一丁の第17師団長の似顔絵を載せてたもんね。
かなり頭に来たのはわかるけど。
そのイラストのせいでうっすい本の売り上げがさらに落ちたんじゃないのかな。
次の出版費用を稼ぐためだと思うけど、エン君を第17師団の最前線に磔にできないかボルバーナちゃんに相談していたようだし。
なんでも、エン君を囮にして例の女魔族兵、イリーナ隊長を誘い出し、エン君をいたぶるのに夢中になっている彼女を捕獲して身代金を魔族軍からせしめる算段をしていたし。
身代金が無理でも、エン君がいたぶられるのをスケッチした資料を別のうっすい本出版仲間に買い取ってもらえるからと張り切っていたのよね。
ついでにヅラ師団長も一緒に磔にして、エン君との絡みの方は自分の方のネタにするとも言ってたわね。
いやぁ、怖いわ。
まじで、腐女帝様を怒らせたわね、ヅラ師団長。
というわけで、エリカちゃんは第17師団に配属されることを望んでいたけども。
私はヅラ師団長のことは放って置いて、特別報奨金を出し渋る部隊じゃなくて、気前の良い部隊に配属された方が良いんじゃないのかと思うんだけどな。
復讐は第17師団に入らなくても、別にいつでもできるんじゃないかな。
ピンクの花弁が風に舞う中、私は手をつないだリュウ君と、前を歩くお淑やかな大男さんチームの他のメンバーと一緒に教会本山の軍司令部に出頭するところだ。
一昨年、肉壁の穴2年生への進級式で結ばれた3帝と軍との約束が守られるなら、お淑やかな大男さん、火力バカ共、土壁の不落城の3チームは中隊を構成したまま同じ部隊に配属されることになるのよね。
そこで、卒業前に火力バカ共と魔牛乳にそれとなく配属先の希望を聞いてみた。
まぁ、予想通りの答えが返って来た訳だけど。
"最前線だ。就職先は最前線の一択だ。
例えこの身が魔族領の大地の露と消えても、魔法をぶっ放し放題の最前線以外の就職先は認めん。"
火力バカ共と魔牛乳の6匹が声をそろえてわめき出した。
認めるも何も所詮私たちは年季奉公なんだから、あそこの部隊に行けと言われたら輸送部隊だろうが調理部隊だろうが、食品加工部隊だろうが、枝肉だろうが拒否することはできないと思うんだけど。
まぁ、魔牛乳はとっとと食品加工部隊に入って枝肉に、それが無理なら毎日乳出しの任務に就けば良いのにね。
その後にそれとなく、リンダちゃんと土壁のメンバーに行きたい就職先を聞いたんだ。
一応だけど。
・・・・・・・×6
そして、リンダちゃんはお淑やかな大男さんの背中に突撃。
やっぱりそこに就職希望ですか。色々揉めそうですね。
お淑やかな大男さんもどっちを選ぶのかはっきりしないし。
まさか、両方選ぶのぉぉぉ、そういう趣味の方なのぉぉぉ。
知らなかったぁ。
まぁ、人はそれぞれだから構わないけど。
スナイパーさんには両手で握手されてて、ニコッとされた。
それを見た残りのメンバーはうんうんと頷いていた。
あぁ、お淑やかな大男さんチームと一緒の配属であればどこでも構わないという意味でしようか。
ピンクの花弁が風に舞う中、私は手をつないだリュウ君と前を歩くお淑やかな大男さんチームのメンバー + 背中のリンダちゃん、後ろに火力バカ共と土壁のメンバーを従えて、教会本山の軍司令部に出頭するところだ。
私たちの就職先、そして、次の戦場はどこになるのかしら。
私はリュウ君と一緒ならどこでも良いわよ♡。
ここまでの成果
魔力回復: 30% + 20%(ボーナス♡) + 5%(ボーナス♥)
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 15時間0分
(もう、卒業したのか。)
(いよいよ、私たちの愛のスイート駄菓子屋の開店もカウントダウンね♡。(おばちゃんターン))
(許せん、ヅラぁぁぁぁぁ♥。 (腐女帝様ターン))
さぁ、プロローグは終わりだぁ。ガンガン行くぜぇ。
(えっ、まだ、本編じゃなかったの? (著者ターン))
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
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本作品は前作「聖戦士のため息」シリーズのパラレルワールドの位置付けとしています。
本「聖戦士のめまい」とともに「聖戦士のため息」シリーズも合わせてお楽しみいただけたら幸いです。
"聖戦士のため息シリーズ "
シュウとエリナ、イリーナ、輪廻の会合に集いし面々が活躍するサーガをお楽しみください。
・本編 : 聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます
・別伝1 : 死神さんが死を迎えるとき
・別伝2 : 優しさの陽だまり
・別伝3 : 陽だまりからの贈り物 優しさの陽だまりから
・外伝 : アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記
・別伝4 : 炎の誓い