35話目 作戦終了 このまま終われないおばちゃん 前編
おばちゃん、こんなこと言っちゃ悪い、いや俺の言っていることが理解できるかすら怪しいけど、まじボケたな。
まだ、若いのに、ち~ん。
"ボケた?
そうよねぇ、突っ込むのは男の子のリュウ君の役割だもんね。
「今晩」には期待しているわよ。
どんどん突っ込んで、最後は血がにじむまで頑張ってもらうからね。"
おばちゃん、何げに18禁の方に誘導しているのか。
ボケてもあっちの方は元気いっぱいってか。
まぁ、ある意味生存本能に関わる部分だから。
ボケてもお盛ん・・・・・・
じゃなくてだ。
俺が言いたいのは。
目標を捉えて、そして、捕らえたらどうのこうのという話を一話分も使ってしていたのに、実際は目標が自爆しちゃったために生きたまま捕獲するどころか、見られるような形で回収できないかもしれないんだろ。
「ジェンカちゃん、せっかく麻痺させてその実態を捉えた目標が自爆して粉々になったといっているの?
ちょっと待って、麻痺していたのに良く自爆なんて出来たわよね。」
流石は腐女帝様だ。
腐ったある部分以外は実は一番まともなだよな。
ただ、その腐っている部分が俺とは相性が最悪だというだけで。
"そっ、そう。相性が悪いわよね。
わかっているわよね、リュウ君が夜な夜な突っ込んで良い女の子は私だけなのよ。
いいわね、ポチ。"
おばちゃん、18禁の話は置いといて、まずは目標の話をおね。
「斥候班が目撃したのはそういう事みたい。
マスクマンさんとエン君がスタンに掛かってから自爆するまでの目標の様子を捉えていたんだけど、二人とも同じ話をしているので間違いないと思うわよ。
ちなみにゾンビ先輩は爆発音がした後に目標が居た付近を索敵する形になっちゃったから、実際には目標を捉えていないそうよ。
エン君が目標の一番近くで索敵していたようなんだけど、目標の様子は口の動きまで良く見えていたようなの。」
「すげえなエンの野郎は。ただの弩スケベの汚物だと思っていたぜ。
口の動きなんてところまで良く見えていたな。
確かリュウの指示で、俺たちより左側には行くなということだったよな。
つまり、1800m以上も先から相手の顔の動きを捉えていたってことだろ。」
「そうなんだよ、シュリちゃん。
まぁ、所謂、弩スケベのなせる業ってやつだ。」
「ボルバーナ、弩スケベのなせる業って? 」
「山の上から女湯を覗くために鍛えたんだと。」
「うげぇぇぇ、そうなのか。
うっかり窓を開けて風呂なんて入れねぇよな。
覗き放題されるぜ。」
「だから、ボルバーナちゃんとペーター君は夕食が終わると朝日が昇るまでは男子宿舎に汚物君を吊るして於くことを日課にしているんでしょ。
今日も無事に殉教しましたって。」
エンが夜いないのは夜這いに行ってたんじゃなくて、吊るされていたのか。
"リュウ君は私を遠くから覗くなんてしないで、毎晩でも夜這いに来てね♡
ちゃんと毎晩勝負パンツで準備万端だから。"
毎晩、"今晩"という・・・・・・・
「と言うことで、スタンした魔族の一人の口の動きを読むことに成功したらしいわ。
何の因果かその魔族は雄♂だったようなんだけどね。」
エンの奴が男の口元をじっとのぞき見したのか、あり得ねぇ。
まぁ、腐女帝様だけは喜びそうな案件だが。
んっ、その魔族は麻痺しても口は動かせたんだ。
「それと一人だけ自由に動けた魔族の女性兵士が居たらしいわ。
リュウ君の転写スタン・レベル4を防ぐなんてただもんじゃないわね。
流石、目標と言われる魔族部隊の兵士だわ。
えっと、その動ける女性魔族兵と口だけきけるスタンした男性魔族兵とがしばらく、厳しい感じでやり取りをしていたそうよ。
やがて、その女性魔族兵士だけがどこかに飛ぶように走り去り、彼女が逃げるのを確認したかのようなタイミングで自爆したという事みたい。」
おばちゃん以外の中隊メンバーは残された魔族兵たちの最後の瞬間が見えたよう気分になり、しばし沈黙の時間が流れた。
その間は風の流れる音と遠くで聞こえる師団本隊が戦う爆音だけが俺たちの陣地に響いていた。
重い空気の中で口を開き難いが、もっと状況を確認したい。
俺は心配そうにみんなを見つめるおばちゃんに問いかけた。
「目標とした部隊は一人を除いて全滅ということで良いんだよな。
まぁ、逃げた女性魔族兵もスタン・レベル4を掻い潜るほどの実力者だから、目標の中でもエース格なんだろうな。
でも、一人だけでは今までの様に第17師団の後方をかく乱することは無理だろうな。
そういう意味では、敵の偵察部隊を捕捉し壊滅するという今回の俺たちの任務は達成できたと言っても良いと思うんだけど。
どう、おばちゃん。」
おばちゃんは俺の言葉に即反応して、答える。
重苦しい雰囲気が少し破られたことにほっとしたような表情を顔に浮かべた。
「リュウ君の言う通りね。
今回のミッションはクリアーと考えて良いと思う。
まぁ、その逃げた女性魔族兵については凄く気になるけどね。」
そう言うとおばちゃんは今度は少し不安そうな顔をして、目標がスタンした場所の方を望んでいた。
「おばちゃん、どうかしたのか。
目標は殲滅したんだよね。
まぁ、おばちゃんとしては身代金を取り損ねて悔しい気持ちがふつふつと湧き上がっているのはわかるけど。
なんで、そんな顔をしてるんだ。
なんなら今からその逃げた女性魔族兵をとっ捉まえて捕虜とするか。
恐らく相手のエース格だから、捕まえれば身代金は3倍、3億バートは固いんじゃないのか。」
向こうを見ていたおばちゃんが俺の言葉で再びこちらを向いた。
しかし、その顔から不安気なものが取り除かれてはいなかった。
「ジェンカちゃん、何か不安なことがあるの。
だったら、話してみて。
指揮官がそんな顔をしては部隊の士気に関わるわ。
私たちのミッションは終了したけど、第17師団の戦いはこれからが本番でしょ。
ここはまだ戦場の真っただ中。
敵がいつ現れてもおかしくない状況には変わりはないわ。
士気が低いと警戒心が鈍って、とっさの対応が一歩も二歩も遅れてしまうわよ。」
「エリカちゃんの言う通りね。
ちょっと気になることがあって。」
「ジャンカちゃん、気になる事ってなんだ。
取り敢えず話してみなよ。」
「ボルバーナちゃん、わかったわ。
今話した女性魔族兵の逃走とそれに続く残された目標の自爆の経緯については、マスクマンさんからの情報を話したの。
実はエン君はもっと詳しくスタンした魔族兵と逃走した女性魔族兵のやり取りを観察していたのよ。」
「汚物の野郎がマスクマンさんよりも詳しい情報を知らせてきたのか。
どうせ、その逃走した女性魔族兵がすっごい美人とか、エロい体をしていたんでガン見というか女風呂を覗くときと同等な力を発揮したんだよなきっと。」
「そうみたいなんだけど。」
「なるほど、弩阿呆と弩スケベ、以心伝心、身も心も一つっていった関係よね♥ 」
うぁぁぁぁ、いつの間にかお腐れ様モード♥ になってたぁ。
「エン君は逃走した女性魔族兵士の口の動きから何を話しているか読み解こうしてたんだって。
ちなみに、スタンした口だけの動く魔族兵♂の口には全く興味がないと言っていたわ。
まぁ、逃走した女性魔族兵の口の動きから何を話しているか想像してみたというのが本当の所なんだけどね。
初めは私の口から言えないようなエロい解読を逐一念話で報告してたんだけどね。
あんまりこの場にふさわしくないスケベな事を私に言ってくるようなら、二度とそういうスケベな気持ちに心が捕らわれないように、汚物君の汚物と今生の別れにしてあげようか、スパッとね、って言ったらおとなしくなって、一応はまともな事を報告してくるようになったわけ。
まぁ、あくまでもエン君の想像が多々入っている報告だからさっきは言わなかったけれどね。
その報告の中に気になることがいくつかあって、それが私には引っ掛かっているというわけなのよ。」
ここまでの成果
魔力回復: 1% + 15%(ボーナス♡) + 24%(ボーナス♥)
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 29時間51分
(おばちゃんがこの頃18禁♡を連発すんのは、エンの念話に毒されていたからなんだな。)
(うっ、まさか、あんな汚物に毒されていたというの、この私がぁぁぁ。(おばちゃんターン))
(ジャンカちゃんは地が出てきただけだと思うわよ。
それよりも弩阿呆。
もっと汚物君のことも、ジェンカちゃんの1/10で良いので気に掛けてあげてよ♥ (腐女帝様ターン))
うわぁぁぁぁ、俺の方がお腐れ様に毒されそうだぁ。スキルがさらにダウン。
おばちゃんはエンに毒されていた疑惑にショックを受けてボーナス♡大幅ダウン。
腐女帝様は今後に胸を弾ませてボーナス♥大幅アップ
俺のスキルがボーナス、それもお腐れ様ボーナス♥依存なことに一言。
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
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