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34話目 作戦終了 ってことなわけ

おばちゃんは困惑した表情を浮かべて、中隊の皆を見渡した。


「皆、聞いて頂戴。

あっ、土壁チームの皆、ペーター君、ボルバーナちゃんも戦闘時の防御態勢を警戒時の防御準備に変更して構わないので私の話を聞いてもらえるかな。」

「ジャンカちゃん、それって、しばらくは敵が攻めてくることはないって言うことで良いのね。」


おばちゃんにそんな質問をした腐女帝様の肩から少し力が抜けて行くように見えた。

陣地の中にいる者は、おばちゃん以外、事情が分からないので先ほどの爆発音が敵の反撃の烽火かと緊張を強いられていたのだ。


「そう思ってもらっても良いわ。

それに中隊の斥候班が索敵を続けているから。

変な兆候があれば直ぐに知らせてくれるから。

しばらくは少し力を抜いて目標がスタンしてから爆発があったまでの経緯を、これも斥候班からの報告だけど、聞いてもらえるかな。

そして、姉御は今から話す内容をそのまま教育大隊本部や師団本部等々の各連絡先に伝えてもらえますか。」


姉御は大きくうなずいた。


「わかったわ。安全が確保されていると言っても第17師団本隊の戦闘はまだ継続中でしょ。

ここ後方の小康状態もいつガラッと変わるかもしれないから端的にまとめてもらえるかしら。

その方が早く情報を伝達できるから。」


今度はおばちゃんが大きくうなずいた。


「それでは報告します。

スタン発動後にその範囲の索敵を行っていた斥候班はここから9時30分の方向、距離1800m付近で魔族の部隊がマヒして立ちすくんでいるのを発見しました。

その数、約20名の中隊規模でした。」


「ジェンカちゃん、それが今回の目標だったのか。

他の魔族の部隊はいなかったのか。」


しばらくは安全だと聞いて再びお淑やかな大男さんの背中に登ってきた座敷童帝様の手を引き離そうともがきながら凶暴幼女が聞いてきた。


「斥候班の索敵ではスタンにはまったのはその1部隊だけ。

その後も第17師団の後方には別の敵部隊を発見していないわね。」

「そうすっと、そのスタン状態の部隊がやっぱり俺たちが追いかけている目標ってことで良いのか。

よし、その間抜け面を拝むために早くとっ捕まえに行こうぜ。

しびれて動けないんだろ。

もたもたしていると逃げられちまうぞ。」


魔牛乳帝様が組んだ腕の上にある乳を揺らしながら口を挟んできた。

その言葉を聞いて、おばちゃんはすこし額にしわを寄せた。

んっ、また、魔牛のスイカ乳に含むところがあるのか。


「ん~っ、その事なんだけどね。

どうしたらいいのやら。」

「どうした、おばちゃん。

痺れているうちにとっ捕まえないとまた逃げられてしまうぞ。

こんな陣地でのんびりしているのはまずいんじゃないのか。」


俺はせっかくの特別報奨金、金一封のチャンスをふいにするなんて守銭奴のおばちゃんらしくないぞと思って声を掛けたのだ。


"誰が守銭奴じゃぁぁい。

リュウ君との愛の巣、駄菓子屋開店のために資金を集めているだけでしょ。"


「せっかく目標を捉えて、捕らえるチャンス。

今回の戦闘のMVPとして特別な報償金がガッポガッポになるはずだったのにねぇ。」


もしかして、後でこっそりおばちゃん一人で目標たちを捕らえて、魔族軍に身代金を要求するつもりだったんじゃ。

確かに人類軍、特に女衒の元締めが教育大隊の隊長なんてのをしている第17師団から出る報奨金より、魔族軍から身代金をこっそりせしめた方が桁が大きく上がるもんな。


"そうなのよ、人類軍の金一封は精々10万バートかな。

これまで第17師団が血眼になって探してきたのに全くその姿すら捉えられなかった目標を私たちが捕らえたというのにだよ。

第17師団の劣勢を一気に逆転できるというのに、たった10万よ。

それに引き換え、魔族軍のエース部隊と思われる目標を捕獲して身代金を請求すれば一人1億バートぐらい、少なく見積もっても合わせて10億バートは固い線よね。

それを第2中隊と姉御チームで分ければ・・・・・、あぁっ、気絶している奴らとゾンビさんとエン君はいらないわね。

マスクマンさんは口留めのためにこちらに引き込むとして。

えぇと山分けするのは、リュウ君と私、エリカちゃん、ボルバーナちゃん、お淑やかなお大男さん、姉御にグロいギャルさん、マスクマンさん、リンダちゃんにスナイパーさん他土壁の4人、魔牛・・・・・。

魔牛に金の価値なんてわかるわけないと思うけど、まぁ、取り敢えずお飾りとして分け与えて於いて、火力バカ共が後で分け前をよこせと騒いだらそれを分けさせれば良いわよね。

小者隊長はそんな大金を持つと強盗に取られるのが怖くて疑心暗鬼になり、心が病みそうだから分けなくてもいいでしょう。

ゾンビさんはグロいギャルさんの使い魔だから、そっちからもらえば良いとして。

よし、身代金の受け取りの対象は15人ね。

やったぁ、一人1億バートよ。

リュウ君と合わせて2億あればどこぞの中小都市で駄菓子屋一軒だけでなく、駄菓子屋のチェーン展開も可能ね。

うぁぁぁ、そうするとリュウ君は店長から、駄菓子屋チェーンの社長。

私はリュウ君の奥さん兼専務ね。

なんだぁ、一気に将来の夢がかなうというか大きく飛躍しそうだわ。"


えっと、老い先短いおばちゃんが夢見んのも悪いとは言わないけど。

まずは、その身代金の元種を捕らえるのが先じゃないのか。

それこそ、ここでもたもたして目標に逃げられでもしたら"とらたぬ"になっちゃうよ。

2億なんてのは儚い夢、いや妄想の類になっちゃうよ。


"わかったわ、リュウ君。

今は妄想に浸るより現実を直視しなければね。"


おぉっ、漸く妄想界からご帰還しましたか。

さぁ、凶暴幼女にいつも使っているエン用の殉職ロープを出してもらってスタンした目標たちを縛り上げようか。

その後は現実を見て第17師団の報奨金にするか、妄想界に囚われて魔族軍から身代金を分捕るかはおばちゃんの好きにしていいから。


"わかったわ。"


「と言うことで、リュウ君の転写スタンの攻撃で目標を作戦通りに麻痺させて、その姿を捉えて自由を奪ったのよ。」

「おばちゃん、だからぁ、目標がマヒしている間にとっとと取っ捕まえに行こうよ。」


おばちゃんは、俺の言葉を聞いて呆れた顔になった。

えっ、何で呆れているの。

俺、何か変なことは言ってないよね。

麻痺した魔族を捕らえに急ごうって言っただけだよね。


周りの皆もそんなおばちゃんの表情に何か違和感を覚えたような顔つきになった。


「これがさぁ、麻痺したはずの目標が自爆したんだって。

さっきの爆発音はその音なのよ。

まぁ、リュウ君がせっかく捉えた目標をわが手にしたい気持ちもわからなくはないけど、木っ端みじんになった魔族を急いで回収しに行く意味が分かんないのよね。」


「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇっ。」」」」」


ここまでの成果

魔力回復: 3% + 39%(ボーナス♡) + -5%(ボーナス♥)

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 28時間2分

(おばちゃん、さっきの報奨金や身代金で駄菓子屋チェーン創立の話は何だったんだ。)

(妄想よ、妄想。わかっているくせに♡。(おばちゃんターン))

(なんじゃそりゃぁ♥。(腐女帝様ターン))


おばちゃんの妄想に思いっきり付き合わされた挙句のドボンで、スキルが大幅ダウン。

そして、巻き込まれた腐女帝様のボーナス♥もマイナスに。

おばちゃんボーナスがなぜか大幅アップしたぁ。

まぁ、転写雷属性魔法フィールドは発動しなくてもよさそうだから、魔力の補充も必要なくなったから別にいいけどな。

ますます死にスキルと凶暴幼女に言われそうだぁ。


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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