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26話目 作戦始動 そっちの作戦だったかぁ

今晩とうっすい本の罠の回避方法を必死になって考えながら、エンと火力バカ共に押されるように会議室の中に入る。

ほとんどの学生大隊のメンバーは既に席に着いていたようで、空いている席は数えるほどしかない。

どこに座ろうかと見渡すと獲物をロックオンした鷹の様な目をしたおばちゃんと視線が絡んでしまった。

おばちゃんは舌なめずりをしながら、自分の座っている右隣の空いている椅子をバンバン叩いている。

その右隣りも空席、そしてさらに右隣りには腐女帝様が座って、エンの方を見ながらおばちゃんと同じように左の空いている席をバンバンん叩いて、エンを呼んでいるようだ。


おぉっ、エンもついに腐が付いているとはいえ女の子に隣に座るように誘われる日が来たか。

エンはしょうがねぇなぁと口でつぶやきつつ、まんざらでもないような表情で腐女帝様の方に近づいて行った。

エンが近づいて来たのを確認した腐女帝様は空いている二つの席をぴったりと密着させてから、自分は椅子を持って3mぐらい後ろに移動し、その場で座ってしまった。

そして、例のメモを取り出して一つ舌なめずり。

えっ、エンの隣に座りたい・・・・・、わけないですよねぇ。


うぁぁぁっ、つまり俺とエンをぴったり引っ付けようとしてやがる。


それに気が付いたおばちゃんは、右隣りの椅子をピッタリ自分の椅子に引っ付けて、引き寄せた右隣りの椅子を先ほどよりも激しくたたいて俺に座るように促した。ついでに腐女帝様がエンを座らせようとしていた椅子を蹴とばして2.5m後方の腐女帝様の前に移動させた。

あれはエンと腐女帝様が密着するような形だな。


今度は腐女帝様が飛んできた椅子を蹴とばして元の位置に戻そうとしていた。

そして、腐女帝様とおばちゃんが何やら厳しい視線を交わして、目でバトルしている。

俺は仕方なくおばちゃんの隣に座ろう・・・・とした瞬間におばちゃんの引っ付けた椅子を少し離して座ることにした。


"ちっ、ポチのくせに、生意気な。"


という、おばちゃんの舌打ちと怨嗟のつぶやきは聞こえなかったことにしよう。


漸く席に着くことが出来たのでふと視線を前に向けると、エレン教官と女衒の元締め大隊長が並んで歩いて来て一番前で俺たちと対峙するような格好になった。


何か始まんのか。

ここまで来てからのオークションか。

ここで会議をする分には今晩とうっすい本の罠を回避した状態になっているので、俺は心に少し余裕が出て来て周りのことも良く目に入ってくる。


女衒の元締め大隊長がおもむろに立ち上がり、俺たちの方の席を端から端まで見渡してから口を開いた。


「ようこそ、第17師団の最前線基地に。

我々は君たちを心から歓迎します。」


んっ、歓迎パーティでも始まるのか。

だったら、まずは食いもん出せやぁ。

飲みもんはどこだぁ。


"リュウ君、パーティじゃなくて、またまた大隊の作戦会議よ。"


また、なのかぁ。

いい加減に女衒の元締めの顔を見飽きたぞ。

話を聞いてやってもいいけどなぁ、弁当ぐらい出せやぁ。

当然だが、のり弁じゃなくてうな重にしてくれ。


まぁ、そんな俺の切なる心の叫びなど修羅場をいくつも潜り抜けてきた強面の厳つい女衒の元締め大隊長に通じるはずもなかった。


「午前中にエゲルの第6軍団のベースキャンプで、今回の実戦訓練というか、今回の作戦の概要を私の方から話をさせていただきました。

午後からは学生中隊とその教育担当の小隊との交流を深めていただき、軍の実戦部隊というものがどういうものかの理解を深めていただいたのではないかと思います。」


えっ、学生の中隊と教育小隊との交流だってぇ。

あの生々しい作戦会議が交流なのか。

まぁ、確かに小者隊長の率いるあの小隊の正体は知ることが出来たな。

小者隊長が本当に小者だったよな。

あと、人類軍にゾンビがいるとはな。この世の者でない者も人類軍は採用しているんだ。

交流して面識が出来たからいいけど、突然現れたら聖水を掛けて消滅をはかったところだぞ。


「今回の主戦力である学生第2中隊と教育第2小隊の、便宜上は両部隊を合わせて教育第2中隊と仮称させてもらいますが、彼らの部隊が今日の午後に作戦会議を行い、そこで具体的な作戦が決まりました。

今から教育大隊全体でその作戦を共有し、明朝からの実戦訓練に備えたいと思います。

それではモーリツ小隊長、教育大隊の基本的な作戦、教育第2中隊で決まった作戦を説明してくれるか。」


女衒の元締め大隊長の目の前に小者隊長が座っているのが、前に座っている肉壁ちゃんたちの隙間から見えた。


あっ、キョドってる。

まさかさっきの作戦方針を聞いていなかったんじゃ。

確かに小者隊長は目標がこの世の者でない奴らだった場合の担当だけど、隊長なんだからちゃんと全部の作戦を把握しておけよな。


小者隊長の両隣にはゾンビさんと姉御が座っているのが見えた。

ゾンビさんはともかく姉御は知らんぷりだ。

小者隊長をホローする気が全くなさそうだ。

日頃の関係がここで露呈したな。


「モーリツ君、どうした。君の教育中隊の作戦を説明してくれ。」


親分の女衒の元締め大隊長が小者隊長を睨んで言った

口調からすると大分イラついているようだ。

早くしないと小者隊長もオークションにかけられるぞ。

まぁ、役立たずだから二束三文の方だけどな。


誰も助けてはくれないし、これ以上回答を引き延ばせないと悟ったのか、キョドった表情から何かを決意した表情に変わった。

何だ作戦を聞いていなかったわけじゃないんだ。

小者過ぎて、まじでドキドキしてて、こういう場で何を答えて良いか混乱していたんだな。


"そうだと良いんだけどね。訳のわかんないこと言い出さなければいいけど。"


まぁ、ここは信じてみようよ。

一応、コネとはいえ小隊長まで出世したんだから。


"小隊長程度で出世したっていうの!!

普通は最低でも大隊長、肉壁ちゃん一クラスを率いるぐらいでないと。

まぁ、あの小物っぷりからすると小隊長になっただけでも異例の大出世と言いえなくもないけどね。"


その小者隊長が後ろを向いて一つ大きく息を吸った。

そこまで仰々しくもったいぶらなくてもいいんじゃねぇのか。

ただ聞いていただけの話をするだけだし。

作戦自体はおばちゃんが考えたんだろ。


"まぁ、自分が考えたように言うところが小者って感じで合ってるんじゃない。"


「それでは大隊長のご指名により我が教育第2中隊の作戦をご披露いたします。」


おばちゃん、ご披露するんだってよ。

もう、大声を上げて笑っても許されるよね。

大隊の作戦会議だというからおとなしくしていたけど。

もう、顔と腹がひくひくいってんだけど。


"リュウ君、もう少しだけ我慢してあげて。

小者隊長にとっては一世一代の晴れ舞台なんだから。

こんな大人数を前に注目されることなんて、もうこの先一生ないんだから。"


今が人生の最盛期だっていうのか。

聞いただけの作戦をただ話すだけなのになぁ。

もう我慢できない、吹き出しそうだぁ。


"リュウ君、もうちょっとだけ我慢してあげて。

どうしても無理なら、私の巨乳に顔を埋めて口を塞いで。

ねっ、そうしようよ。

みんな幸せになれるからね♡。

そして、その続きは「今晩」でとうことで、ねっ。"


うぁぁ、今晩の罠がこんなところにも張られていたなんて。


にやっ♡


おばちゃんが天下を取ったような顔をしている。


その顔を見て俺は逆に冷静になれたぞ。

さぁ、小者隊長の一世一代の晴れ姿を見てやろうじゃないか。


ちぇっ、怒!!


「教育第2中隊の作戦は次のように決まりました。

教会本山の礼拝堂かエゲルの教会の司祭を招き、第17師団の後方一帯、出来るだけ広範囲に聖水を振り撒くことになりました。」


「「「「「「えっ。」」」」」

「・・・・・・・・・」ゾンビさん


ここまでの成果

魔力回復: 19+19%

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 22時間30分

(あ~ぁっ、小者隊長、その作戦は目標がこの世の者でない奴らのときに発動するんだよな。)

(まぁ、小者隊長の報告としては間違ってないということね。(おばちゃんターン))

(でも、まずはこっちの世界の奴らに対する作戦を話すべきだよな。

いきなりこの世の者でない奴らに対する作戦を話されても皆がギョッとするだけだよ。)

(小者隊長にそんな常識を期待してはいけないと思うのよ。(おばちゃんターン))


期待通り、小者隊長がやらかしてくれました。スキルが微増だぁ。


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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よろしくお願い致します。


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