表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/215

25話目 検証 今晩もうっすい本も搔い潜れ

俺たち第2中隊の作戦は決まった。


"夕食に唐揚げ定食の食べ放題と今晩は私を罠に押し込んで食べ放題して英気を養ったリュウ君が、明日は転写スタンか雷属性の魔法フィールドを広範囲に発動し、目標を殲滅するという作戦が決まったわね。

うんっ、今回の作戦のキーポイントはズバリ「今晩」ね。"


"今晩"頑張ったら、明日は枯れ果てて役に立たないから却下で。


"えぇぇぇぇぇぇっ。「今晩」が一番大事なところでしょ。

それなくして作戦の成功はない!! "


いや、これなくさないと転写雷属性魔法を発動したのは良いけど維持できそうにないんですけど。


そんな"今晩"に関する果てしないバトルをおばちゃんと繰り広げていたとは誰にも分ってもらえない中、エゲルの第6軍団の基地を後にし、第17師団の最前線基地に俺たち学生大隊と女衒の元締めが率いる教育大隊第2中隊は転移してきたのであった。


最前線基地は荒野に忽然と石作りの砦風の建物が現れたような所だ。

もうまもなく沈みそうなオレンジ色の日の光が基地の建物全体を覆っている。

魔族軍に押されてズルズルと戦線が後退しているにも関わらず、最前基地がテントが乱立する、見るからにキャンプ地の様子を呈してはおらず、このような立派な建物やそれを取り囲む城壁がある事に少し驚きを覚えた。


"まぁ、人類軍には土属性魔法術士が結構いるから。

それを肉壁ちゃんに転移すればあっという間に建物と城壁なんて作れるわよ。"


でも、こんな頑丈そうな建物を残して撤退するなんて、魔族軍に基地をタダで提供しているようなもんだよな。

反撃するときに魔族に立てこもられたら厄介じゃないかな。


"そんなことはないようよ。

人類軍が反撃するときは魔族が占拠している城壁と建物を土属性魔法で一気に崩しちゃうから。

綺麗に更地に戻してから攻めるのよ。

ついでに、崩した瓦礫に運よく魔族が巻き込まれてち~んとなることも珍しくないそうよ。"


じゃぁ、人類軍が撤退する時にはわざと建物や城壁を残すのか。


"そういう事。

人類軍が劣勢になり基地を放棄するときには転移魔法陣で出来るだけ物資をベースキャンプに送って、最後に転移魔法陣を持って馬で後方に逃げ出すそうなのよ。"


確かに転移魔法陣は別の転移魔法陣がないと転移させらんないから、手で持って逃げるしかないよな。

もしも魔族に転移魔法陣を奪われたらベースキャンプに魔族が直接転移してくるもんな。


"そうなのよ。

ということで人類軍の撤退時のキモは転移魔法陣を有効に使って必要なものを運び、最後に転移魔法陣を安全に運び出すことに有るのよ。

建物や城壁なんかは綺麗なままくれてやっても全然問題はないの。

まぁ、基本的に魔族も残された建物に設置されているかもしれない罠を恐れて、奪取した基地は重要な書類等々が残されていないか中を調査するだけにして、基地として運用することはないみたいだし。"


人類軍の基地を奪取しても魔族は使わないのか。


転移してきた俺たちは最前線基地のある建物に案内され、荷物を部屋に置くこととなった。

第17師団の最前線基地に居るときはここが寝床になるというわけだ。

当然、宿舎は男女別になっており、3階が女子、2階が男子だ。

今晩、俺はここで寝るんだ。

女子は禁制だ。男の園だ。

おばちゃんは特にだ。

落とし穴になんて行かないぞ。

そのまま部屋で夕食まで待ちつつ、"今晩"を回避するために如何にして女子をここ男の園に入れないようにするか考えよう。


"今、リュウ君が考えたていたことをエリカちゃんに教えてあげるね。

「男の園」だって。

あっ、エリカちゃんがメモを持って鼻血吹いた。

リュウ君はなんて過激なこと考えてるのかなぁ。"


おばちゃん、ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁ。

男の園ってのはなしで。

男が虚しくたむろっている小屋ってことで。

やっぱり女の子もいた方が華やいで良いかなぁなんて思ったりもして。

ってことを追加で鼻血噴射腐女帝様に吹き込んでおいてくれ。

絶対にだ。

俺が男の園を望んでいるような言い方は止めてくれよ。


"どうしようかなぁ。

このままだとエリカちゃん、リュウ君の「男の園」での無双っぷりをティシュの箱を抱えて覗きに行ってしまうかも。

来月の例のうっすい本はリュウ君の「男の園」特集だよね。"


おばちゃん頼むよぉ、そこは何とか取成してくれよぉ。

おばちゃんと俺の仲だろ。


"どんな仲かなぁ。"


えっと、・・・・・・。


"落とし穴で一晩中頑張って、最後は血液しか出なくなる仲って言うことなら考えなくもないけど♡。"


俺は前門の虎、後門の狼という言葉の真っただ中、まさにおばちゃんの罠にどっぷりとつかっていることを自覚した。


"まぁ、リュウ君が私とどういう仲になりたいかを今から聞かせてもらおうかなぁ。

夕飯の前に一階の会議室に全員集合だって。

全体ミーティングをやるみたいよ。

さっきの返事はエリカちゃんと目が合う前にした方が良いと思うわよ。

リュウ君と目が合って「男の園」の妄想が爆走しちゃったら、もう何を言っても聞いてもらえないから。

ちょっと男の園って話をしただけで、鼻血の逆噴射だから。

ねっ、わかった、リュウ君。

じゃぁ、一階の会議室に先に行ってるわね。

あっ、敵前逃亡したらどうなるかわかっているわね。

二度と顔を挙げて肉壁の穴本校はもちろん、教会本山や門前町も歩けなくなるからね。

うっすい本が増版、また増版だからね。その手の方々のパワーを舐めない方が良いわよ。

それよりも私と罠の中でシッポリと時には野獣の様に激しく生きてく方が良いでしょ♡。

じゃぁ、待ってるから。

あっ、その成果としては初めはかっこいい男の子が良い、それともかわいい女の子? "


あっ、"男の園"と叫んだ瞬間にどう転んでも俺の人生が詰んだと言うことか。

もう、この究極の選択肢を乗り越える方法はないのか。

俺の未来が燃え尽きた灰の様におばちゃんか腐女帝様の鼻息でさらさらと飛んで行くという幻覚を俺は見ながら、ゾンビの様に会議室までの廊下をふらふら歩いて行くのだあった。


ゾンビのように足を引きずりながら歩く俺の名前を呼ぶ声があった。


「リュウ、どうした。ゾンビの様になって。

俺は女子の風呂場の位置をばっちし確認してきたところだぜ。

今晩が楽しみだなぁ。」


エンよ、お前は"今晩"がそんなに楽しみなのか。

覗きがばれて、その後にどうなるかなんていうことは何にも考えていないんだろうなぁ。


「リュウ、何か悩み事があるのか。

もうそんなことは捨てて於いて、今晩一緒に楽しもうぜ。

わかった、幼馴染のよしみで一番いい場所を譲ってやるよ。

でも、今日だけだからな。

明日からは俺が特等席だぜ。」


「エン、お前は毎晩覗きに行くつもりなのか。

その内に見つかって、犯罪者として軍法会議、いや、その場でクビチョンだぞ。」

「女風呂を覗いたまま逝けるなんて、男の本望だよな。

なぁ、火力バカ共。」


後ろに居た火力バカ共が大きくうなずく。


お前らいつからエンと同類になった。

火力バカから弩スケベ路線にいつ変更したんだ。

あっ、魔牛乳帝様の影響ですか。

確かに毎日毎日、ゆさゆさを目の前で強調されたんじぁなぁ、フラストレーションがたまりますね、特に下半身に。


「まぁ、リュウはジェンカに御子息共々お世話してもらえば良いから女子風呂を覗くなんてことをしなくても良いか。」


そのお世話を回避するためにどんだけ苦労・・・・・


あっ、俺も今晩エンたちに同行すれば良いんじゃねぇ。

そうすれば"今晩"は回避と。

覗きがばれれば"うっすい本のネタ"から回避と。

やっぱり男じゃなく女の子に興味があったんだと。


まぁ、弩スケベな称号ぐらいは甘んじて受けてやろうじゃないか。

よし、俺も行く。


「エン、俺が間違っていた。

今晩は俺も連れてってくれ。

これは俺のためにあるイベントだ。」


エンは俺の言葉に感動したのか、"同士よ"と言って肩を抱きしめてきた。

よし、これで俺の新たな未来を切り開いたぞ。

"今晩"も、うっすい本も怖くねぇ。


俺はエンと火力バカどもと仲良く肩を並べるように会議室に入室した。


もちろん、今のエンとのやり取りをうっすい本の製作者がよだれと鼻血を振り撒きながらガン見していたのをその時の俺は知る由もなかった。


ここまでの成果

魔力回復: 18+19%

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 22時間37分

(あ~ぁっ、結局は例のうっすい本のネタにされちゃうのね。(おばちゃんターン))

(もうこうなったら、今晩の方を回避で。)

(今晩を回避したらうっすい本の内容が事実と言うことを認めたことになるんじゃないの。(おばちゃんターン))

(えっ、そうなの。)

(リュウ君、まだ間に合うわ。男女の営みなんて自然な事。

うっすい本のネタになるより世間様は"今晩"の方に寛容なんだよ。

わかった、ポチ(おばちゃんターン))

(俺は騙されないぞ、まだ、今晩とうっすい本の両方を回避する方法があるはずだぁ。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ