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23話目 検証 罠っにはまるのは誰だ

「今回の目標とするものがこの世の者でない場合の対策は十分であることが分かってもらえたかと思います。」


おばちゃんが、更にサイズアップしたと自称する胸を突き出すように宣言した。

本当にあれでこの世の者でないものたちへの対策になっているのか。

まぁ、小者隊長が青い顔をしてブルブル震えているから、そういう奴らに対する対策として少しは効果があるかもしれないかもという程度には皆に認識されたのかな。


「話を元に戻すと。次に魔族の偵察隊がこの世の者であった場合の作戦を考えてはどうでしょうか、小隊ちょ・・・・・、いえ、マスクマンさん。」


あっ、おばちゃんが小者隊長を完全に切った瞬間だった。


「相手がこの世の者であった場合、そいつらの発見する方法としてはホークアイと風属性魔法の探索は今一効果がないとの結論でしたよね。」


あっ、マスクマンさんも小者隊長への配慮が無くなったな。

ホークアイのスキルが役に立たないとの認識だから、マスクマンさんは指揮担当に、エンとゾンビさんはこの世の者でないものの担当に決まったと言うことで良いんだよな。

あっ、そうか。

目標がこの世の者でないことがあきらかになった場合には、指揮を小者隊長が取ると言うことで良いんだよな。


俺はがくがく震えている小者隊長、続いてよだれを垂らして爆睡している魔牛乳帝の胸をまだガン見しているエン、最後にゾンビさんに視線を送った。

ち~ん、トリオの誕生だな。

あっ、ゾンビさんは既にち~んした後か。


「ジェンカさんは、目標の補足についてホークアイと風属性魔法の探索に依らない方法について良い考えがあるのですか。

あなた方は昨年、一度その目標と接触しているわけだしね。」


漸くこの打ち合わせの本題に入ったようだな。


「昨年は目標を捕えるために、目標がいると思われる範囲に雨を降らせて目標が十分に濡れたと思った頃合いに氷属性魔法を放ったのよね。

確かに何かを凍らせたと思ったのだけど、それが目標ではなかった。

幻影に攻撃していたのよね、私たち。」


腐女帝様が去年の実地訓練を思い出すように言う。


「そう、見せられたもの、幻影に対処して失敗したのよね。」

「ジェンカちゃん、そうすると相手よりも上の対策を取らないと敵は捉えられないと言うことよね。」

「そういうこと。

第17師団が後方攪乱への対策手段を取るためにまずは目標を発見しようとしている、その方法がホークアイと風魔法の探索であることを目標は十分に知っているわ。

そのため、目標は遮蔽魔法により自らの存在を認識させないようにし、もし見つかっても幻影魔法で本体の存在をわからなくする。

そして、自らの存在を隠した上で、第17師団の後方から強力ではないけれど、いやらしい攻撃をしつこくやってくるのよね。」


おばちゃんは会議に参加している者たち全員(ただし、爆睡中と弩スケベ、それにガクブル中とゾンビを除く)に確認するように言った。


「確かにその通りだと思います。」


マスクマンさんがおばちゃんの話を聞いている者を代表して同意の意志を示した。


「と言うことは、目標がその様に考えているうちにその上を行く作戦を策定して、実行に移す必要があるのよね。

ジェンカちゃん、具体的に何か良い考えがあるの。」

「いきなり結論、今後の作戦案を言う前にもう少し状況を整理しましょうよ。」

「わかった、まかせるわ。」


そう言うと腐女帝様は例のメモとは別のノートを出して、大事なことを書き留めようという体勢になった。

おばちゃんは現時点で会議に参加している者たちをぐるっと見渡した後に口を開いた。


「これまでのところ第17師団が魔族軍の本体に攻撃すると魔族軍は即反撃はするけど、第17師団を押し返すほど激しい反撃じゃなくて、第17師団の侵攻速度を鈍らせる程度のものと聞いています。

そうですよね、マスクマンさん。」

「あぁ、その通りだ。」


「そして、膠着状態か人類軍が戦況を少し押し気味になると目標が第17師団の後方に現れてかく乱する。

後方をかく乱された第17師団は動揺し、膠着状態もしくは有利な展開を維持できずに後退を余儀なくされると。

それをこれまで繰り返して、現在は第17師団の戦線だけが人類側に大きく後退していると。

クリスティナさん、あってますか。」

「間違いないわね。

それと私のことはクリスと呼んでね。」


この言葉におばちゃんは小さく頷いた。


「と言うことは、第17師団が正面に見えている魔族軍を攻撃すると必ず目標が後方に現れる。」

「ジェンカちゃん、これまでの戦闘記録から目標が第17師団の後方のどのあたりで活動するのかを調べて、罠でも仕掛けるつもりなの。」


腐女帝様の罠設置発言を聞いて、クリスの姉御が手を挙げた。

発言を求めているのかな。


「クリスさん、何かご意見でも。」

「第17師団も後方に罠、土属性魔法の流砂、落とし穴、踏むと土が盛り上がって足を拘束する魔法の罠等々を仕掛けてみたんだけど、どれもことごとく駄目ね。

罠にかかることなく後方を良い様にかく乱され続けているわよ。」

「えっ、そうなんですか。

罠が効かない。

それって、罠を回避されたのか、それとも罠を破壊されたんですか。」


今度はマスクマンさんが手を挙げた。


「一度、罠を監視する任務に就いたんですけど、罠を破壊された様子は有りませんでしたね。

どちらかというと罠がある事を知っていて、それを回避していたように思いますね。

もちろんその様子を見ることは叶いませんでしたけど

それに、罠を破壊されたという報告も上がってきていませんね。」

「と言うことは、罠を仕掛けてもそれを簡単に察知されるか、罠を仕掛けるところから監視されていたということですかね。」


おばちゃんが首を傾げて、これまでの罠の効果についてについてまとめた。

おばちゃん、優秀な回避能力と遮蔽能力を持つ目標に対して何か有効な策はあるんか。


"そうねぇ、まぁ、このままでは探し出すってのはちょっとむりよね。

ここはやっぱり罠かしらね。"


でも、罠は効かないって言ってたよな。


"罠にもいろいろあるってことで。"


いろいろな罠。どんな罠にすんだ。


「索敵して目標を捕えるのは難しいと思いますので、ここはやはり罠を張りたいと思います。」

「でも、ジャンカちゃん、罠は効かないってマスクマンさんと姉御が言ってんぞ。」


おぉっ、凶暴幼女も昼寝しないで、ちゃんと話を聞いていたか。

ちいチャイのにえらいねぇ。いいこ、いいこ。

もうちゅぐオムツがとれまちゅかねぇ。


どがっ


そのとき、頭に鉄アレーが高速で激突した。

さらに、物凄い形相で凶暴幼女が俺を睨んでいる。


"もう、リュウ君とボルバーナちゃんは絶対に私に内緒で念話しているわよね。

その上、ことも有ろうか二人でアイコンタクトまで。

ぷんぷん怒。"


おばちゃんはどこを見てんだ、これがアイコンタクトだと。

そんな悠長なシーンじゃねぇだろうがぁ。

狩るか狩られるか、食うか食われるかの弱肉強食の世界の緊張感しかないじゃないか。

俺と凶暴幼女の生き残りの戦いなんてことに気を回さずに、おばちゃんは実戦訓練での作戦について集中してちょ。


"しょうがないわねぇ。

まぁ、相手はちっちゃい子だし、大人の私は今は我慢してやるか。

その代わり、リュウ君、今晩は覚悟しておいね。

寝れるなんて思わないでね。

二人だけの大人の時間をたっぷりと堪能、じゅるり♡。"


また、"今晩"かぁ。

でも、この会議が終わったら最前線基地に行くんでしょ。

もう、作戦開始なんでしょ。

二人っきりで大人の時間なんてことに期待するのは無理無理。


"大丈夫、基地の後方に穴を掘ってそこで今晩♡。"


えぇぇぇっ、罠に入るのは俺とおばちゃんなのぉ。


ここまでの成果

魔力回復: 17+23%

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 25時間11分

(土属性魔法術士の座敷童帝様に頼んで落とし穴の罠を作るつもりなのか。

そして、それにはまるのは俺。)

(覚悟を決めて、もう、逃げらんないわよ。

3帝の作る落とし穴。一生出られないわよね。

心行くまで二人っきりの大人の時間が持てるのよ♡。(おばちゃんターン))

(一生穴の中って、例の駄菓子屋の件はどうすんだ。)

(まずは大人の時間を堪能してから考えればいいんじゃねぇ(おばちゃんターン))


一生涯出られない罠に放り込まれそうで、スキルdown。

二人っきりの大人の時間を心行くまで堪能できるって、何て素晴らしい作戦なの。ボーナス大幅UP。


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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よろしくお願い致します。


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