20話目 発見 教育小隊のメンバー 前編
「初対面の緊張がほぐれて仲良くなったところで、まずは俺たち第17師団教育大隊再編第2中隊第2小隊のメンバーを紹介させてほしい。」
先ほど小隊長と名乗った男は30歳ぐらいのさえない男だ。
相変わらず不気味なほどに満面の笑顔を張り付けているけど、女衒の元締めほどうまく感情を殺せてないのかちょっと違和感があるな。
小者感が半端ない。
まぁ、所詮は下っ端の使いっぱしりと言うことか。
「俺は小隊長のモーリツだ。スキルはアースシールド、小隊では壁職だな。」
腐女帝様がノートを片手に手を挙げて発言を求める。
男性の趣味でも尋ねるつもりなのか。
「モーリツ隊長、再編中隊というのはどういうことか伺っても良いでしようか。」
何だいきなり爆弾質問じゃないのか。
真面目過ぎてつまんない。
また、眠くなってくんだろうがぁ。
「今回、例の魔族の偵察部隊の殲滅に当たり、第17師団の一部を再編成したんだ。
その上で君たちと合同作戦、君たちから見たら実戦訓練になるか、を実施するためにその再編成した部隊を教育大隊に組み入れ込んだんだ。
それが再編第2中隊となっている所以だ。
これから俺たちの小隊メンバーを紹介するが、年齢がバラバラである事に気が付いたんじゃないのかな。
通常の小隊、チームメンバーは同級生で組んでいるが、今回の作戦に備えて最適なチームに組み直したんだ。
よろしいかな。
他に質問が無ければこちらの小隊メンバーの紹介を続けたいと思う。」
小者感が漂う卑屈な笑顔で俺たちを見回した。
「俺の隣にいるのがクリステイアだ。
彼女は風属性の魔法術士だ。
索敵魔法の使い手ということでこの小隊に配属されてきた。」
小隊長の横に座っていた年のころは25歳ぐらいのかなりの美女が立ち上がって、一礼してにっこり微笑んだ。
あっ、エンの奴が彼女の方を見てうずうずしているぞ。
また悪い虫、弩スケベ心がうずくのか
このミーティングが終わったら突撃して、いつもの様に3サイズとパンツの色を聞くつもりだな。
ちなみに彼女が俺たちの方を向いて一礼したにもかかわらず俺、エン、火力バカ共は前かがみになっていない。
なぜかはわかるよな。
まぁ、スレンダーな美女って言うことだ。
"ふふっ、勝った。あれは精々温州ミカンね、下手すりゃカボス。
私のは夏ミカン♪
リュウ君、試しに私のをもんで確かめてみる? "
おばちゃんが優越感に浸っている。
それにセクハラを強要してくるし。
小者隊長の紹介が続く。
「彼女の風魔法は索敵のレベルが高く、それに念話が使えるんだ。
但し、彼女の意志を相手には伝えられるが、相手の意志は読み取れないがな。
まぁ、敵の偵察部隊の索敵に力を発揮してくれるものと思っている。」
"なんだ、私の念話の様に相手方の考えも読み取れないんだ。
念話の劣化番じゃない。"
おばちゃん、美女にはとことん厳しいよな。
"お黙り、ポチ。
リュウ君は黙って私の夏ミカンをモミモミして堪能していればいいの。"
「そして、彼女の隣に座っているのがグローリアだ。
魔力が高いので攻撃職をやってもらうつもりだ。
学校を出て2年目だから、彼女が3年生の時に君たちの魔法術士は1年生だから、一緒に教会本山の肉壁の穴と魔法学校に通っていたはずだな。
訓練場でもしかしたらすれ違っていたかもな。」
小者隊長の紹介で立ち上がったのはショートカットでよく日に焼けた元気そうなギャル肉壁ちゃんだった。
まぁ、御子息様がご休憩中なところで察してくれ。
このごろミノタウルス♀級じゃないと反応しないかもね。
"それって、リュウ君の趣味が魔牛乳から魔牛ケツに趣味が変ったってこと。
ちょっとぉ、そうなら早く行ってよ。
乳なら牛乳がぶ飲みで育てられたけど、お尻はどうやったら大きくなるのよ。"
ケツに趣味?
まぁ、えっと、座ってればいいんじゃない。
余分なお肉がお尻に溜まるように。
"よし、これからできるだけ椅子に座る生活を送るわね。
夜もベッドじゃなくて椅子に座って、机にうつぶせになって寝るわね。"
好きな様に寝てください。
次の日に寝不足にならないようにしなよ。
"今のって、リュウ君が私と毎晩子作り宣言よね!!
私を寝かさないほど頑張るってことでしょ。
もう、エッチなんだから、私のリュウ君は。
今晩からがんばろうね♡。"
どこで子作りの話になったんだ。さっぱり理解できん。
"リュウ君のいけずぅ、わっているくせにはぐらかして。
逃がさないわよ♪。"
「えっと、私がグローリアだよ。
宜しくね。
何か悩み事があったら軍人の先輩として相談に乗るからさぁ。
気軽に声を掛けてよ。
ちなみに隊長はあまり頼りになんないから。
難しい悩みだったらクリステイアさんにどうぞ。」
うぁぁぁ、小者隊長の小物っぷりが思いっきり暴露されてるよ。
それも10歳も下の後輩から学生の前でカミングアウトだぁ。
"それって、あまりじゃなくて、全く頼りにならないってことよね。
第17師団も、小隊と言えども、そんな小者によく隊長なんて任せたわね。"
それはこいつが小者でも女衒の元締め様の下僕だからじゃないか。
親のコネってやつだよ。
"そんな奴に教育される私たちは哀れってことかぁ。
やっぱり、さっきの昼食が最後の晩餐の意味合いが濃くなってきたわね。
まぁ、良いわ。
いざとなったら、小者は磔で囮か竹槍一本で裸特攻させて、私が指揮を執るから。"
「あっ、ちなみにあたいのスキルはファイヤーアロー・レベル3ね。
それをクリスの姉御から転写されたウインドカッターと織り交ぜて、魔法特盛攻撃で敵をバッチバッタと言うのがあたいの攻撃スタイルなんだ。
と言うことで夜露死苦な。」
このイケイケ感は魔牛乳帝様に近い人種か。
あぁ、なんか魔牛乳帝様が頷いているよ。感じるものがあるんだ、夜露死苦に。
あっ、それに合わせて乳も揺れ揺れ。
やばい、御子息様がぁぁぁ。
ドガッ
おばちゃんに脛を蹴られた。
御子息様は突然の激痛で奥に引っ込んだ。
軍のブーツだから足先に鉄板が入っているんだぜ。
「えっとそれで、隊長のあっち側の隣にいる小僧はあたいとずっとチームを組んでる幼馴染のフェレブだよ。
あたいが言うのもなんだけど、まぁ、あまり火力としては期待しないでよ。
何時も遠くはれたところに偵察に行かせてんの。
弱っちいから、あたいの側にいると邪魔だから。
それにまぁ、都合よくホークアイのスキル持ちだから。
斥候職すら務まらなかったら肉壁の穴の本校になんてとてもいけずに1年生で紙様に昇格するはずだったんだ。」
肝心のフェレブさんは立ち上がりもせずに軽く頭を下げただけだった。
"完全にグローリアさんに飼い慣らされている感じね。
自分の意志なんて半分もないような眼をしているわよ。"
えっ、そうなの。
"そうだわ、私もリュウ君を飼い慣らす方法を先輩に相談しようかなぁ。"
止めて下さい、マジで。
あんな生気を感じない目になりたくありません。
「あっ、ちなみにフェレブはあたいのもんだから、手は出さないでね。
餌付け済みなんだから。」
うぁぁぁ、あたいの男に手を出すな宣言だぁ。
"男ってより、愛玩のぬいぐるみって感じがしたけど。
でも、それぐらい強く自分のものだと周りに主張して於いた方が良いのね。
勉強になるわぁ、師匠と呼ばせてもらおうかな。"
止めて下さい、一生飼い殺しにされそうです。
「おい、ちょっと待て、グローリア。」
おぉ、そうだびしっと言ってやれぇ、男の飼い殺しは止めろって。
小者だと思ったが、なかなかやるじゃないか小隊長。
「隊員の紹介は隊長の俺の役目だって、昨日話したよな。
隊員の紹介ぐらいはやらせてほしいって頼んだら、そんなちんけな役目は隊長に譲ってやるよって言ったよねっ、ねっ、グローリア、クリス。」
「そんな些細なことはどうでもいいわ。」
「そうだっけか。
でも、隊長よりあたいが紹介した方が学生さんもわかり易いんじゃねぇ。
まぁ、どうしてもやりたいなら譲るけど。」
そんなどうでもいいところに拘るなんて、やっぱり小者なんだ小隊長は。
それにその役目も簡単に取られちゃっているし。
ここまでの成果
魔力回復: 28+17%
次にスキルを発動するまでのクールタイム: 23時間26分
(こんな小者の小隊長に教育されるなんて。)
(私はグローリアさんを師匠と呼ぶわよ。
これでロード オブ 駄菓子屋も安定ね。(おばちゃんターン))
(・・・・・・・)
小者の小隊長への不安から、スキルダウン。
でも、おばちゃんが心の師匠を得たため、ボーナスUP。
活動報告に次回のタイトルを記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。
よろしくお願い致します。