表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/215

肉壁の学び なって見せます肉壁に 1話目 授業中、瞼が閉じてしまうのは俺のせいなのか?

新しい物語「聖戦士のめまい 肉壁狂響曲」を始めました。

今日は8話分を時間をずらして公開します。

宜しくお願い致します。

「リュウ、敵の攻撃をここで食い止めてくれ。俺は魔法術士様を守って撤退する。」

「てめぇ、エン何言ってんだ。俺が魔法術士様様を守って撤退するからお前がここで魔族の攻撃を食い止めろ。」

「所詮、俺は斥候が専門だぁ。肉壁の英才教育を受けたお前以上に殿の役目を上手に果たすことはかななわん。

お互い一番得意なことをやろうぜ。

もし、可能なら戻って来て肉片ぐらいは探してやっからよ。

魔族軍に占領されてた場所に戻るなんて無理だと思うけどよ。

さぁ、魔法術士様様様、斥候が専門のこのエンが安全なところまで御案内させていただきます。

えっ、大丈夫ですよ。

我々が安全なところまで撤退する時間は殿(意訳: 肉壁)が専門のリュウが稼いでくれます。

さっ、さっ、参りましょう。」


そう言って、エンは魔法術士様様様様の手を引いて、とっとと戦場を離れ始めたのだ。


「お~い、待ってくれぇぇぇぇ、俺も撤退するよぉぉ。

こんな敵のど真ん中に俺を一人残して行くんじゃねぇえぇ、エ~ンンンンンンンン」


そう叫んだ瞬間だった。

俺は急に寒気がして魔族軍が迫ってくる方を振り返った。

そこには無数の巨大な火の玉が俺に迫ってきているところだった。

あぁぁぁぁぁぁ、こんなの防ぎきれねぇぇぇ。

チュドーン、チュドーン、チュドーン、チュドーン。


「ぎぁぁぁぁぁぁぁぁ、肉壁専門コースになんて進むんじゃなかったぁぁぁぁぁ。」


そう叫んで俺は立ち上がった。

立ち上がれた?


「そうか、助かったのかぁ。あの無数の巨大ファイヤーボールを全身に受けても、俺は助かったぁ。

守り切ったぁ。

肉壁専門コースに進んで良かったぁ。

俺は無傷だぁぁぁ。」


と、歓喜の雄叫びを上げた瞬間に俺の後頭部に衝撃が走った。


バッコーン。

うおおおおお、なんだこの衝撃は。

目から火花が出たぞ。

俺は新たなスキル、目から花火を習得したのか。


まぁ、そんな役に立たないスキルを覚えたことはどうでもいい。

何だ、今度は魔族の物理攻撃か?

魔法攻撃は完璧に防げても、物理攻撃には無力だったかぁ。


「リュウ、そんなに肉壁になりたいんか、あぁっ。」


魔族の物理攻撃を防ぐために後ろを振り返ると・・・・・・、義足を片手に器用に片足で立っている先生がいた。


「あれっ、教官、お久しぶりです。

こんな戦場で教官にお会いするなんて・・・・・

、あっ、俺は肉壁の役目を最後まで果たせず、逝っちゃったんですね。

鬼教官がいると言うことはここは・・・・・、はんっ、地獄に落ちたか。ぼそ」


「あぁぁぁん、シュウ。俺が鬼だってぇ。

そうだここは地獄の一丁目、入ったら最後、棺桶に入ってしか出て行けない聖戦士育成学校、別名、肉壁の穴だぁ。

しかも今は、清く正しい肉壁になるための授業中だぁ。

よりによって、俺の授業中に熟睡して夢で雄叫びを上げるたぁ、いい度胸だ。

そんなに肉壁になりたいのなら、わかった、午後の魔法訓練で今日の肉壁に指名してやろう。

良かったな、夢がかなって。」


えっ、授業中? 魔族との戦闘じゃなくて? でも、肉壁に指名?


その時、斜め後ろから俺に囁く声が聞こえた。


「リュウ、何を寝ぼけてんだ。今は今日の午後の魔法実習のための座学だろ。

しかも、よりによって奴の授業中に寝るなんてな。

こりゃぁ、本当にここに居る限り肉壁決定だな。

短い付き合いだったけど、楽しかったぜ。」


とっ、幼馴染のエンが囁いてきた。

俺としてはこうなる前に起こしてほしかったんだが。

しかも、そのせいで肉壁一直線だなんて。


今、人類はエルフ族と共同戦線を張り、魔族と獣人族連合軍とこの大陸の覇権を巡って戦っている。

エルフ族は大陸の南側を支配し、東側を支配している獣人族と主に戦っている。

人類は大陸の西側を支配し、同じく北側を支配している魔族と戦っているのだ。


大陸の覇権を巡って戦っているというのは軍の建前で、実はなんのために戦っているかは数百年の過去に置き忘れられてきたらしい。

要するに、なんで戦い始めたのか、何世代もの長い間戦っているうちにこの戦いの真の意義がわかんなくなっているという衝撃の事実をこの聖戦士育成学校に入って初めて知らされた。

もしかしたら、種族同士の交流会の中で皇族が相手の王族に向かって、"お前のかあちゃん、でぇ~べそ"なんて言ったことがこの戦いの発端かもしれないと、戦史の初めての授業で真顔で副校長に言われたときは俺の魂は真っ白になってしまったぞ。


真の戦いの発端が何であれ、戦いを仕掛けられたら黙ってやられるわけにもいかず、徹底的に抗戦することになる。

そして、実際に戦地にいる者はその命を懸けているのであり、戦いの中では当然、命の炎を消される者が多数出てしまうのは致し方ない。

そうしていつしか、戦う一番の理由が仲間をやられたからやり返すというような復讐戦、終息の見えない泥沼の戦いになっているということだ。


ちなみに戦に赴かない一般の人々はこの戦いは、やはり、大陸の覇権を掛けて戦っているこという認識だ。

実際、俺もここに入学する前はそうと思っていた。

負けられない戦いだと国中が団結している中、"もう戦いに飽きたから止めねぇ、切られると痛いし、なんで戦っているか今一わかなぇし。"などどいう軍人の心の叫びなどは一般の国民の心に届くはずもなく、軍人となったからには魔族との戦いの最前線に立ち、戦うしかない。


当然、戦いに負けて軍が撤退すればそこは敵に占拠されて支配下に置かれる。

何のために戦っているかよりも、戦いに負けるとそこは敵国の領土となり、種族の衰退を招くという、戦いの結果が戦いの理由と何時しか置き換わってしまったのだ。


まぁ、と言うことで、何のために戦うの? と問われれば、人類の存亡を掛けてだと答えるしかないような状況なのだ。


そんな軍人の端に名前を連ねることになった、俺、リュウは聖戦士となり人類の存亡をかけて戦うために聖戦士育成学校に今春入学し、早や1か月。

学園生活にも慣れて、慣れ過ぎて、授業中についうとうという訳だ。


"シュウ君、うとうとと言う割には見た夢で雄叫びを上げるほど熟睡していたということよね。"


ジェンカ、俺の心を覗いたの?


"そんなことできるわけないでしょ。

私のスキルの念話は私に心を開いていないと聞こえないわよ。"


えっ、俺、お前に無意識に心を開いていたのか。

お前、俺に惚れてんの?



今度は側面から物理攻撃が来ました。また、目から火花が飛び散ります。

教科書、何気に凶器です。


"何を言っているの、私が心を開くんじゃなくて、リュウ君が私に心を開かないと念話ができないんだからね。"


ということは、つまり、俺がジェンカに惚れてんの?


"何、馬鹿なことを授業中に真顔で言ってのよ、この馬鹿たれ。"


えっ、違うの。ジェンカはなかなかかわいい女の子だと思うぞ。


そんな心にもないことを心で思ったら、別の授業の教科書が3冊、俺の側頭部に突き刺さった。

なんでこうなる。


ここまでの成果

魔力回復: 1%

次にスキルを発動するまでのクールタイム: 47時間59分

(こりゃ、一晩寝た方が早いんじゃねぇ。)


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願い致します。


本作品は前作「聖戦士のため息」シリーズのパラレルワールドの位置付けとしています。

本「聖戦士のめまい」とともに「聖戦士のため息」シリーズも合わせてお楽しみいただけたら幸いです。


"聖戦士のため息シリーズ "

シュウとエリナ、イリーナ、輪廻の会合に集いし面々が活躍するサーガをお楽しみください。


・本編 : 聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます

・別伝1 : 死神さんが死を迎えるとき

・別伝2 : 優しさの陽だまり

・別伝3 : 陽だまりからの贈り物 優しさの陽だまりから

・外伝 : アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記

・別伝4 : 炎の誓い


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ