御珍歩ナメ子
たった一人で戦った少女の物語
注意!この小説には違法行為の描写が存在します!
道路上に無断で小屋を建てる行為は道路交通法第七十六条および第七十七条とかにたぶん反すると思うので良い子はマネしないでね。
母は私に優しく言った。
「あなたの名前はおじいちゃんが付けてくださったのよ。立派な御珍歩ナメ師になれるようにって……」
「ふざけんじゃねーーーーー!!!!!」ドガシャーン
私は祖父の遺影を叩き壊した!邪悪な笑みを浮かべたクソエロジジイが!死ね!!!(もう死んでる)
「きゃあーー!!ナメ子の頭がおかしくなってしまった!!!前々からヤンキーみたいなマネしてキチガイじみてるとは思ってたけど……」
「頭がおかしいのはお前らだよ!なにその名前当たり前のように受け入れてんだよ!!!考えうる限り最悪の名前だろ!!苗字も最悪だけど!」
たくましく乙駁する様子はまさにDV(家庭内暴力)である。しかもあろうことか自分の苗字を馬鹿にするとは許しがたき暴挙!母はキレた!
「自分の家の苗字に誇りが持てないっていうの!!!???サイテー!!!!死ね!!!」
「当たり前だろ!!!!くそっやってらんねーよ!!」
私は部屋を飛び出した。
「ちょっと!どこへ行こうっていうの!?5時までには帰ってくるのよ!」
母の声を背に私は家から逃げ出した。
* * *
キーコキーコ←ブランコをこぐ音
「はあ~~マジで最低最悪クソ地獄。こんな世界は滅びてしまえばいいのに……」
「それなら、一緒に神を信仰しませんか?」
顔を上げると、そこには空色の髪の白ワンピの少女が立っていた。私は言った。
「話を聞こう。」
* * *
「……ですからこの世界をさすてなぼーにするために神の力が必須なんですよ」
なるほどわからん。すると突然少女が下着を脱ぎ捨てた!
「その神こそがちんぽなのさ!」ボロロンチョ
突如現れたトーピード!少女の顔は変形し、そこに現れたのは……!
「え、エロジジイ……!!」
祖父だった!!死してなおこの世に残る未練がなせる業だというのか!
「ガッハッハ!そうともさ!死んで肉体から解放された私はもはや最強!自衛隊すら全滅させることができるぞ!」
祖父少女は高らかに笑った!!!鼓膜をつんざくようなバスとソプラノのミキシングが脳をガンガン刺激する!
「しかも人の体を乗っ取ることもできるらしい!試しにこいつの体を乗っ取って、ついでにちんぽも生やしておいてやったぞ!お得だからな!」
「こ、こいつ……」ギリ…
鬼畜の所業に全身が沸き立つ。こいつは細胞の一片すら、魂も残さず滅さなければならない完全なる悪だ!絶対に殺す……!(もう死んでる)
「さて……ちんぽをなめろーーーー!!!!!!」ビヨヨン
突如として祖父少女はこちらに向かって飛びかかってきた。とっさに避けたが、その悪魔の舌先が頬をかすめた。ぬるりとした液体の感触!こいつはヤバイと全身の細胞が救難信号を発している。私は逃げた。
* * *
「ちんぽをなめろーーーー!!!!!!」ドッタドッタ
「いやだーーー!!!!!」ダダダダダ
人生で初めての逃避行がこんなにひどいものだとは思いもしなかった。ロマンチックの対義語があるとすれば、その言葉はきっとこの状況にぴったり当てはまるんだろう。そんなこんなで逃げ回っているがそこは勝手知った地元のこと、こわいことがあったときに逃げ込めるコンビニをまっすぐ目指している。ところがそれは祖父少女も同じ、しかも奴はクソみたいな走り方をしているわりに滅茶苦茶速い。だが、そこで悲劇は起きるのだ。目の前には、昨日までなかった小屋が道路をふさぐように建てられていた!両側は田んぼ!もはや絶体絶命!仕方がないので私は小屋の中に逃げ込んだ。
そこにはフードを深くかぶった奇怪な輩が座っていた。私は怒鳴った。
「なにこれ!めっちゃ邪魔なんだけど!!!」
「お前さんは幽霊に追われているね」
私は毒気を抜かれてしまった。
* * *
「なるほど。祖父の幽霊が少女に取り付いたということか……」
奇怪な輩は顔を上げ、私の目をじっと見つめて言った。
「一つだけ解決方法がある。非常に危険だが、お前さんに勇気があるのならそれに賭けてみてもいいかもしれない……」
「そ、その解決方法とは……?」
私は尋ねる。
「お前が死んで少女に取り付き、祖父を殺すことだ!!!!」ババーン
恐るべき発想!だが、まさに目からうろこの方法である!確かにこの方法を使えば、祖父を撃退することができる……しかし、
「一歩間違えば、私が死んでしまうのでは……?」
「うむ……死ぬのだから、死んでしまう危険性もある……しかし、そやつを撃退できるのはお前さんしかいないのだよ」
祖父少女はドアにヘッドバットしはじめた。このままではドアが破られる、あるいは祖父少女の頭が割れてしまう。私は心を決めた。
「私、死にます!」グサァ
アイスピックが心の臓に突き刺さり、彼女は死んだ!
* * *
ここは少女の精神空間である!だが、そこには八本足の小さな蜘蛛祖父や目から触手が生えている触手祖父、油膜のように常に姿を変え続ける不定形祖父、口と耳が次々に連結した姿をしている螺旋祖父、顔が20個円形に並んでいる車輪祖父など、見るもおぞましい祖父の群れに蹂躙されていた!
「ここが少女の精神世界ね……」
私は魔法少女となり、少女の精神世界に入り込んだ。
「そうだゴン。黒幕は引っ込んでいるから、手当たり次第にぶち殺せゴン」
こいつはマスコットキャラクターのゴン。黒曜石のような体から飛び出した、ねじれた四枚の羽を高速で上下させて漂っている。
「死ねっ!!!死ねっ!!!!!死ねぇっ!!!!!!!」
私はステッキを振り回して祖父を蹂躙していく。飛びかかってくる大量の祖父をちぎっては投げ、ちぎっては投げ……。そうしてステッキが血と脂でぬらぬらとした輝きを放つまでになったとき、赤黒い地面が割れ、そこから真の祖父が姿を現した。祖父の顔からは数本の突起が伸び、そのうちのひときわ太い一本が祖父を支えている。その姿は、さながらニューロンであった。
「まさかこんなところまでやってくるとはな……」
私は祖父の言葉を無視して突進していった!
「おっと。まったく、無鉄砲なところは変わっていないな」
カラカラと笑うと祖父は目を見開き、口をだらんと開ける。その口から何かが零れ落ちる。それは重装歩兵祖父であった。重装歩兵祖父たちはファランクスを築き、私の突撃に備える。
「邪魔だっ!!!!!!!!!!!!!!」
私は大声一喝、ステッキを薙ぐと重装歩兵祖父を十人単位で吹き飛ばし、ファランクスの一角を崩す。不利と見るや祖父は五本の顔の突起を用いて直接打撃を仕掛けてくる。突起の攻撃をしのぎつつ、重装歩兵祖父を吹き飛ばす。すると、突然足が掴まれる。
「なにやつ!」
それは祖父であった!祖父は顔の突起のうちの一本をこっそりと地中に潜伏させていたのだ!絶体絶命だと思われたが、
「小癪な!」
私は自らの足を切り落とし、血のジェット噴射で祖父に一気に肉薄した!さすがにこの攻撃は予想外だったらしく、祖父の間抜け面が視界全面を覆いつくす!
「人類の英知の力を思い知れ!そして死ね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
私はゴンと核融合した!圧倒的な質量の欠損による莫大なエネルギーの塊が祖父を、私を、少女を、すべてを覆いつくす。血と精液にまみれた世界に、太陽が昇った瞬間であった。神の力の前には、人も、怪物も、エクトプラズムも、等しく無力であった。
* * *
「ゴン……ごめんね……こんなことになっちゃって……」
象の足と化したゴンをかき抱こうとして、首から下はすでになかったことに気づく。
「いいのです。私はもともと、そのためのキャラクターでしたから……ゴン」
ゴンは死んだ。すぐに私も死
* * *
小屋の奇怪な輩は、今宵も一人涙を流す。