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死神の従者【仮】  作者: さとり
試験
16/26

2-9

薫の力が私に流れ込んでくるのを感じる…薫は隣にいるのにユニゾンした時と同じように薫を近くに感じる…これがシンクロかぁ…なんかいいな。

これなら助けられる。ヨシノを助けることができる。待っててねヨシノ直ぐに助けてあげるから。

ヨシノを助けるためにかけ出そうとした私を先生が止めた…


「先生‼何するんですか⁉この力ならヨシノを助けられるんですよ⁉」

「確かに助けられるでしょうが…エル、あなたどうやって助けるか考えはあるんですか?まして力の使い方だってよくわかってない状態でどうするつもりですか?」

「それは…えーと…ヨシノに近づいてズババッ‼って感じで…」

「つまり…考えてないってことですね…」

「それは…だって…」

「別に怒っている訳じゃありません。あなたがヨシノを助けたくて焦る気持ちも分かります。ただ…初めて使う力をよく分からないまま使って助けられると思うのは楽観的過ぎじゃありませんか?」

「そんなこと言っても…今はこの力しかヨシノを助けられないじゃないですか…」

「その通りです。そして今はいろいろ試している時間も余裕もない…」

「だったらイチかバチかでもやってみるしか…」

「話は最後まで聞きなさい…エル。焦るのは仕方ないですが、冷静にならないと助けられるものも助けられませんよ。私に考えがあります…二人ともこちらへ…」


先生はそう言って私達を自分の方へ来るように促す。私と薫は先生に言われるまま近くに行く。


「それで、先生どんな考えがあるんですか?」

「幸いなことに…いえ、出来過ぎなことに…私は薫さんの力を知っています」

「?」


私と薫は二人して疑問符を浮かべる。


「薫さんの力をというのは少々語弊がありますね。正確には薫さんの力と全く同じ力を持った人を知っています」

「まったく同じ…それって…もしかして薫はダブルってことですか?」

「えぇ。その力は私達の先生が持っていた力です」

「先生の先生が…何でそんなことがわかるんですか?」

「その力を私達は一番近くで見てきました…長い間、ずっと…私達の恩師の力です。間違いようがありませんよ」


それに…今のエルの姿は…少し幼いですが…まるであの人の生まれ変わりです。

無言でエルを見つめていると、エルは自分が見つめられていることに気づいて疑問符を浮かべていた。それを見てミカエルは思った…姿形はあの人でも中身までは違うと…

そして思う…これを計画したであろうあの子はいったい何をしたいのだろうと、見た目だけはあの人でもエルはエルであってあの人ではない…それなのに……

思考に耽っていたミカエルを現実に戻したのは薫の言葉だった。


「あのー、話の内容が全く分かんないんですが…?」

「!薫さんを置いてきぼりにしてしまってごめんなさい。詳しい説明は後でするので今は私を信じてください」

「エルの先生だから、もちろん信じますよ。俺たちは何をすればいいんですか?」

「ありがとう。それでは、私の記憶の中には、私の先生が戦っていた時の記憶があります。その中で今必要な記憶をあなたたち二人に移します。悪魔に刻まれた呪いを断ち切る方法と心の闇を浄化する方法です。呪いを断ち切る方法はエルに、闇を浄化する方法は薫さんに。ただし…記憶を移すという行為には危険があります。下手をしたら記憶を無くすなんてことにもなりかねませんが…それでもやりますか?」


二人の顔を見る。エルは当然だと言わんばかりに頷く。頷くエルを見て薫さんも覚悟を決めた顔で頷いてくれた。


「なるほど、お二人の覚悟は分かりました。良いパートナーを持ちましたね…エル」


私は大きくハイと返事をした。先生が私と薫の額に手を置いて何かを唱え始める、すると先生の手が光り出した。『メモリートランスファー』先生がそう唱えた瞬間、私の頭の中に見たことのない映像が流れた。

長い銀髪に銀色の瞳の綺麗な女性がいた。その女性は呪いを断ち切る方法と退魔の力の引き出し方を誰かに教えていた。ほどなくして映像が終わり、私は基本的な退魔の力の引き出し方と呪いの断ち方を知った。

薫の方は退魔の力の引き出し方と放出の仕方を見たらしい。


「見えましたか?」


先生に聞かれた。私と薫は二人でハイと答える。力の調整はかなり難しいので練習していない状態では0か100かしかできないだろうと先生が補足してくれた。


「0か100でも助けることはできる…これでやっと助ける準備が整ったんだ…もう待つ必要はないよね…行こう、薫」


おぅ、と薫が答えた。


「ヨシノをお願いね…エル、薫さん」


先生の言葉を背にヨシノのもとへ向かう。薫のおかげで助ける力ができた、先生のおかげで助ける方法が分かった…あとは助けるだけだ…

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