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死神の従者【仮】  作者: さとり
試験
14/26

2-7

「馬鹿だな」


そのエルの発言に苦笑しながら言う。笑う俺を見てエルは怒っているけれど、そんなエルだからこそ俺は…

どちらにしろ、この状況をどうにかするにはそれしかないのは確かなんだから、足搔けるだけ足搔いてみようと思う。敵の思惑通りってのも癪だし懸念がないわけでもない…でも…


「エル。正直どこまでできるか分からないけど、契約だし最後まで付き合うぜ」


「そうこなくちゃ。ありがと、薫。薫がパートナーでよかったよ。大丈夫私達ならやれるよ」


「あぁ、そうだな」


とは言ったものの、いったいどうすればいいのかは皆目見当もつかないんだけどな、確かヨシノはその時が来たらって言ってて、あの悪魔は必要な時がきたらみたいなことをミカエルさんに言ってたけど…今がまさに必要な時だと思うんだよなぁ…でも体に何か変化があるような感じはしないし…


「エル、腹は括ったけど、具体的に何すればいいんだ?」


「私もわかんない」


そうなんだよね、具体的に何をどうすれば能力が覚醒するのかは何一つ教えてもらってないから分からないし、かといって今まで覚醒しなかったものをただ考えただけでどうにかなるとも思えない…本当は嫌だけどやっぱりそれしかないのかな…


「本当は嫌だけど、仕方なく、ほんとーに仕方なく聞くよ。あんたの目的は薫の力が覚醒することなんでしょ?だったらどうすればいいか教えてよ」


敵に聞くなんて嫌だけど、今の私達がいくら考えたところでたぶん答えは出ない。そしたらヨシノも助けられないし、そんなことになったら先生だって危ない。あの敵が一体何を考えてるのかわかんないけど一つはっきりしてるのは、薫の力を覚醒させたいってことだ。目的が同じならなんかヒントになることを教えてくれるかもしれない、とにかく今はあらゆる可能性を試さないと。


「アッハッハッハ‼いや、失礼しました。まさか敵である僕にそんなことを聞くとは思っていなかったので、ついビックリして笑ってしまいました。そうですね、僕の目的も同じですし、何よりその素直さに免じて特別に教えてあげましょう。力が覚醒するのに必要なのは、時と強い意志です。何のために力を欲するんですか?自分の為?彼女を呪いから解放する為?確かにそれも薫君にとっては大事なことなんでしょうが、本当にそれらが薫君が一番に望んでいることなんですか?本当はもっと単純で利己的なことなんじゃないんですか?もう一度、なぜ自分が力を欲しているのかをよく考えてみてください。そうすればきっと答えが出るはずです。その時、その意志が真に強い意志ならば薫君の力は開放されますよ」


俺の意思…俺が本当に望んでいること…自分の為に力が欲しい?それを否定する気はないけどなぜかしっくりこない。だったらヨシノさんを呪いから助けたいから?もちろんそれも否定しないけれど、これも何か違う気がする。じゃあミカエルさんを助けたい?もちろん助けたい、でもそれは力の開放なんて訳の分からないことをしないでも全力で逃げれば何とかなるかもしれないと思う、そんなものが一番の望みだとは思えない。では、一番の望みとは何か…そもそもこれらの事を一番に望んでるのは誰か…俺以上に望んでいる者…エルだ。確かにこれらの事は俺の望みでもあるけれど、果たして一人でもこの決断にたどり着けるかと言われたら答えはノーだ。エルが望むから…それを手伝いたいと思った。それが答えだ、つまり俺が一番に望んでいることっていうのは…


「なるほど、考えてみたら単純なことだったわ。エルには悪いけど、ミカエルさんもヨシノさんもここまで必死になって助けたいと思うほど関係が深いわけじゃない。それでも俺が助けたいと思ったのはエルがそう望んだからだ。自分でもよくわかんないけど、どうやら俺はこのパートナーの事が結構大事みたいだ。ただ約束したからだったはずなんだけど…いつの間にかそれだけじゃなくなってたみたいだな…」


「薫?」


エルが疑問を浮かべながら問いかけてくる。


「俺はエルのために力が欲しい‼」


覚悟を決めてそう叫んだ俺の体から光があふれだす。不思議な感覚だった。どこか懐かしいような、初めてのような、他人の力のような、元々自分のものだったような、不思議な感覚だった…

光が収まって、見た目には何の変化もなかったけれど…確信があった、あぁ力が覚醒したんだと。

今ならきっと大丈夫、だからこそ…


「行こう、エル。ユニゾンだ、ヨシノさんを助けよう」


「うん。薫」


そうして私は唱える、薫の手を握って、ユニゾンと…


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