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死神の従者【仮】  作者: さとり
試験
13/26

2-6

見惚れていた…ミカエルの接近に気づいたヨシノはミカエルを迎撃し始めた。ユニゾンを解いた俺には辛うじで動きを捉えることしかできなかった。それほどまでにヨシノの攻撃は早く鋭い、その攻撃に対しミカエルは前進することを止めない、無駄がなく的確な動きに俺は目を奪われていた。

一閃…ヨシノの猛攻を捌きながらミカエルの剣がヨシノを捉えた。


「逃げなさい‼早く‼」


ミカエルさんの焦った声が聞こえる、何故…確かに彼女の剣はヨシノを捉えたはずなのに…なぜ彼女があんなに焦っているのか分からなかった。


「おやぁ~安心してください、僕は後ろの彼等には何もしませんよ。ただあなたに邪魔されたくないだけですから」


聞き覚えのない声が聞こえた。ミカエルさんの目の前の闇が蠢きだし徐々に人の形をかたどっていく。ミカエルさんと同じぐらいの大きさになり闇が蠢くのを止めた。人だ、人のような何かだ、お面を着けているようで顔は分からなかった。だけど…俺でもわかる。あれは危険だと。


「そんなに怯えないでくださいよぉ。僕はアドバイスしに来たんですから。彼女…助けたいんですよねぇ?」


お面が喋る。その言葉にエルが反応して顔を上げた。続く言葉を発する時にお面の顔が笑ったように見えた…


「助けたい…当然です。仲間ですもんねぇ。安心してください。あなたのパートナーには助ける力がある。まだ眠っているだけでその力があるんです。さぁ頑張って今こそ開放する時です」


「何を言っているんですか…貴方がやったんですよね。ヨシノの胸についている傷、あれは呪いです。あの傷のせいでヨシノは邪神化しそうなんです。他者が故意につけた呪いの傷のせいでヨシノは…‼貴様しか居ないだろう‼私の可愛い教え子をあんなにしたのは、そうだろ…悪魔‼」


ミカエルさんが怒っている。普段の丁寧な口調は鳴りを潜めその言葉には怒気が満ちていた。何が楽しいのか、悪魔は笑いながらそれに応える。


「アハハ‼その通りですよぉ。僕の目的のためには必要だったんでね、彼女には無理やり協力してもらいました。アハハ!」


「協力…協力だと…貴様ら悪魔は知らないだろうが、ああなってしまったら特別な力以外では元に戻らないんだ、それを協力だと…」


「もちろん、知っていますよ。退魔の力以外では戻せないんですよね。だからこそ今この場で変えてあげたんじゃないですか」


「何を言っている、その力があるならとっくに元に戻している。だからこそ私達は…私は…どこまでふざけているんだ、貴様は…‼」


「はぁ~。忘れたんですか。『パートナーは運命で決まっているの、必ず自分が本当に必要な時に本当に必要な力を持った人がパートナーになるわ、だから安心して』あの人の言葉ですよ」


「なんで…貴様が…その言葉を…それは私の先生の言葉…⁉」


「私の、違いますよね。ミカエル先輩」


その一言の後、悪魔は剣を振り下ろす


「‼まさか…そんなはずないです…‼」


何が起きたのか分からなかった、振り下ろされる剣に対して、ミカエルさんは避けることも受けることもしなかった。


「あ~らら。どうしましょうか。あなた達の頼みの綱は倒れてしまいましたよ。仕方ないので僕が彼女を止めておいてあげましょう。長くは持ちませんけどねぇ~」


パチンっ…悪魔が指を鳴らすと、何かがヨシノの体を縛り付けた。訳が分からない。奴は何がしたいんだ。俺たちを殺したいんじゃないのか。俺の力を開放する…それにいったい何の意味があるって言うんだ?


「いったい何をしているんですかぁ?時間がないって言いましたよねぇ。あなた達は彼女を助けたい、僕はあなた達の力を開放させたい。目的は一致しているんですよぉ。力さえ開放されれば彼女は助けられるんですよぉ。ほら頑張って」


いつの間にか近くに来ていた悪魔はそんなことを言い始めた。本当に意味が分からなかった。何の得があるのか?何を期待しているのか?どうしたいのか?疑問ばかりが浮かぶ。そんな俺をよそに隣のエルは何かを決意して立ち上がる。そして…口を開いて出た言葉があまりにも予想外のもので俺は場違いにも笑ってしまったんだ。


「あんたが言ってることも、あんたの目的も全然分からないけど、これだけは分かる。薫にはヨシノを助ける力がある。そうでしょ?」


「そうですねぇ」


悪魔が答えた


「薫、やりましょう。先生も倒されちゃって私達も危ない。でもヨシノを助けるまで待っててくれるみたいだし、だったら助けましょ。ヨシノを助けて、この悪魔も倒して、先生も助ける。好都合だよ。全部私がやりたいことだもん。やってやりましょうよ。ね、薫!」


エル…君は本当に…


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