勘違い
百合ぽい。
支部からです。
あまり深い設定はないのでゆるっと読んでください。
ド底辺、超絶バカとは、どこにでもいる。
男女共学の学校でも同じこと。
真面目もいるけど、ここはどちらかと言えばバカが多い。
俗に云う吹きだまりってやつで、まぁ、わたしもバカのひとりにカウントされる。
「オラ、それで終わりか?」
女だてらに数人の子分を引き連れてる、ちょっと喧嘩の強いスケバン。
男子にはそりゃー力じゃ敵わないけど、股間を狙えば一発だ。
弱点ぶら下げて歩いてるなんて、バカもいいところだよな?
そういう校風の学校でも、生徒会長ってのは存在する。
こいつがなかなか気に入らない奴で、この前は風紀がどうのとかで、スカート丈をその場で直させられた。
ちょうど竹刀を持っていなかったし、相手はなよなよしてるとは言え男だし……仕方がないから従ったが、どーにもむしゃくしゃして、その日は1日屋上でサボった。
ーーーー……
さて、そんなあたしは、今ちょっとしたピンチなわけだ。
昼休みが終わって、午後の授業も聞く気にならないあたしは、仮病を使って保健室に寝に来た。
もう教師もほとんどなにも言わない。
諦められてる、てやつ?
別に悲しくなんかない、むしろ好都合。
保健医が居ないのをいいことに、さっさとベッドで寝ようと布団に入った。
……が、先客が居たんだ。
身体を極限まで丸めて、小さくなって、頭まですっぽり布団をかぶっていたから、気付かなかった。
「だ、誰だ……?!」
こいつもサボりか?!
驚いてガタガタとベッドから離れると、そいつは頭をおさえて起き上がる。
だるそうにしていて、腰や腹をしきりにさすっている。
「うるさい……」
「げぇ、生徒会長……?!」
この前校門で会った、あいつだった。
「は?てめーもサボりか?お利口な生徒会長がいいのか?あ?」
喧嘩腰にいつもの口調で煽るが、会長は目を細めて、気だるそうにまた横たわる。
「おいっ、無視してんじゃねーぞ!」
がばっと布団を剥ぎ取ると、あからさまに不快そうに、にらまれる。
そうだよそうだよ。
これでやっとこいつをぶん殴れるってもんだ。
幸いここには武器になる棒状のもんならあるしな?
にやにや笑っていると、会長の目がとたんに潤みだす。
「……っ??!!」
驚いてあとずさると、会長は振り絞るようなかすれ声で言った。
「あ、あんたも女の子ならわかるでしょ……っ」
「は?」
あんた……も?
「サボりじゃ……」
「ないっ!体調不良!」
「は?女の子なら?」
いまいち何を言いたいのかわからず、会長をじっと見る。
よく見たら、制服こそズボンだが、腰は細くて髪もツヤツヤだ。
首もとはネクタイはせずに、第一ボタンまできっちりしめられ、細さが際立っている。
袖口からのぞく手は華奢で、喧嘩ばかりのあたしの手とは、比べ物にならないくらい、きれいだ。
「え、っ……え?」
「せ、せーり……なのよ、今日……」
目をそらしてそれだけ言って、また布団をかけて横になった。
「は……は???」
おん、な……?
そんなの、聞いてない。
ヤンキー女子×真面目生徒会長