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腹減った

タイトルと内容が合致しない事がありますが、気にしないでね

目の前には体高2mはあろうかと思われる狼。

これすなわち死……




というわけでもなく今現在目の前にいた狼は俺の体を舐め回していた。

それも結構好意的な舐め方をしてる……好意的な舐め方ってなんだ。

死を覚悟した俺は目を瞑ってその時を待っていたが訪れたのはベッチョリした不愉快な感触とハッハッと聞こえる犬特有のあの息遣いだった。


そして現在俺はこの体高2mの狼に埋もれつつもちょいとモフらせてもらってる。

間違わないようにいうが、体長ではなく体高な。

体長は頭から尻尾までの長さだ。十分体長2mでもでかい部類に入るんだけど俺が言ってるのは体高…足から頭までの高さの話だ。そんな奴に懐かれでもしたらそれこそ命の危機だ。そして今がそれだ。


「ちょっ!どけ!」

「ハッハッハッハッハッハッ…」

「ぐっ…苦しいから…」

「ハッハッハッハッハッハッハッハッ…」

「ちょっマジで………」

「ハッハッハッハッハッハッ?」

「………………」

「……クゥン?」


ドゴンッと腹に衝撃が走れば、内容物が吐き出されてすげー苦しいし痛い。

何だ?と周りを見てみればさっきの狼がこうべを垂れて先ほどよりも弱々しく舐めてきた。

さっきのが「ベロベロベロベロ」だとすると「チロッ」てな感じだ。


ギャップかな?これはギャップ萌って奴なのかな?

いや、そんな訳はないか…相手は人間じゃない。狼だ……狼か?今更だけど明らかに俺が知ってる狼ではないよな?実はこれが普通の狼の大きさだったってなったらそれはそれで驚きなんだけど。


ちらりと狼の顔を見ると先ほどまでの溌剌とした顔は鳴りを潜め、申し訳なさそうな顔をした愛嬌のある顔をした狼がそこにはいた。


「何だお前反省してるのか?」


そんなはずはないと心の中で思いながら狼に聞いて見ると頷いて答えてきた。


「答えることができるくらいには頭が良いんだな」


狼はもう一度俺をチロッと舐めると頭を下げて森の奥地へと走り去ってしまった。


「あっおい!」


俺はつい伸ばしてしまった手を引っ込めた。

ここがどこだか分からないし今は狼に構っている時間は正直ない。

だから…今は諦めるんだ。


///


あれから30分程時間を取って現状把握をしていた。

分かったことはここが森と街の間にある平原だという事。それで俺の所持品と変な力。そして現状把握をしたが故の問題だ。


……とりあえず問題を先送りにして所持品と変な力について説明しなければいけない気がするから説明するな。


俺の所持品は、肩掛け鞄・革製の水筒・金と銀色のコインが数枚ずつ・包丁大の折りたたみナイフ・下着と上下の服が3セットだ。

そして次が大事な事だが、変な力が俺には身についていた。

もともとこんな力がなかったのは知ってるんだけど、前から持ってたみたいな変な感じがして違和感がある。


頭の中に浮かんだ言葉を声に発して読むと説明文が目の前に広がる謎現象。

【魔手】…魔法の手。使用者のイメージによって形が変わる。

【スクリーン】…画面表示できる。

【x-1】…人……生…から……る。


説明になってないって?

それを俺に言いますかあなたたち…

【魔手】は何となくわかる…ような気がする。

他2つは正直意味がわからない。【x-1】に至っては文字化けしたら抜けてたりしてるせいで意味わからん言語が混じってるから解読不明だ。

そして最も訳わからないのは【スクリーン】だ。

【x-1】は訳わからない事が分かってるから使わなければ良いだけだ。しかし【スクリーン】の画面表示ができるという説明文だけでどう判断したら良いのか分からないから心底訳分からない。

訳分からな過ぎて色々言ってる事がおかしいのは気づいてるから気にしないでください。


そして今の現状を説明するな。

やっとこの状況を説明できることに感謝したい。

森の出口付近でさっきの狼を見つけた。

狼が去っていった森には入らずに平原を進み街を見つけた俺は足早にそこへと向かった。

そして街へと入るための列に並んでいたらさっきの狼が何かを加えて戻ってきた…こんだけ人がいるところに…俺目掛けて狼は突っ込んできた。人垣を気にせずにな。


「さて、これは説明してもらえるんだろうな?」

「あ、いやぁ…正直俺が1番分からないと言いますか…」

「じゃあまずなんだがこいつはお前の従魔か?」

「従魔…ですか?多分違うと思います。」


そして衛兵さんに連れてこられて俺は狼と共に尋問室へと連れてこられた訳だ。

そして何やら聞きなれない言葉を言われたが身に覚えのない狼のことを言われてるのだと察して疑問符を浮かべながら否定したら空気が凍りついた。


「じゃ、じゃあそのウルフはお前の従魔じゃないのか?!」


何やら慌てながら俺の方を掴み聞いてきた衛兵の顔は真っ青なものへと変わっていた。


「その従魔か何か分かりませんが、少なくともこの狼の名前も知らないし、個体名も知りませんよ」


俺が答え終わると同時に先ほどまで寝そべっていた狼は立ち上がり俺の真後ろへと回り込み尻尾を俺の方に置いた。しかも表情が分かりやすいこの狼はドヤ顔だったから無性に腹たって尻尾を投げやりにどかした。


「顔がウゼェ!尻尾を置くな!」

「おいおい!やめろ!何してんだ!」


俺の反応を見た狼がシュンとして尻尾が力なく地面に着くと先ほどまで青い顔をしていた衛兵は俺に掴み掛かり声を荒げた。


「な、何ですか!?」

「やめろと言ったんだ!これ以上はやめてくれ!」


何が何だか分からないが狼についての話はもうやめた方が良いことだけは確かなようだ。

腰についてる剣帯に手を伸ばし…というか既に剣の柄に手をつけてる衛兵さん数名のこの場所でこれ以上勇気を振り絞ることもあるまい。


俺は早く終わって昼飯を食べたい気持ちを押さえつけながら衛兵さん達と話を進めていくのだった。

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