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ちょっと一息姉妹編 百合(ゆり)+桜(さくら)+恵美(えみ)3

 恵美は元気に▲2四歩と仕掛ける。△同歩▲3三角成△同桂▲3四歩△4四飛▲5五銀△3四飛▲4四金△同飛▲同銀△3四金▲3二飛△4四金▲2四飛△5四金、お互いに読み筋とばかりにスラスラと進む。


「 二人とも早すぎて桜の頭では理解が追いつきません」


「 いやー適当だってwなんとなく流れで指してるっていうか」


「 流れ、ですか?将棋は奥が深いのですね」


「 いっつもは2人はどうやって指してるの?」


 恵美は不思議そうに聞いた。


「 戦型ならお互いに居玉が多いかな?」


盤面から目を離さずに百合が応える。そこから数手進み、角打ちの王手飛車で恵美が投了した。


「 桜指してみる?恵美ちゃんも結構強いよー」


「 私などではとても相手になりません、観戦していてそう思いました」


「 いやー多分良い勝負だと思うよー良いじゃん何も損するわけじゃないし」


 百合は慣れた手つきで初期盤面をパチパチと復元していく。


「 お姉さまがそこまで仰られるのでしたら、それでは宜しくお願いします」


「 こちらこそ宜しくねー桜さん」


 対局が始まったものの43手で恵美の飛車を詰ませ勝負はあっけなく桜が勝った。


「 げげっ、突撃のタイミングも無かったー、強いね桜さん」


「 いえ、緩めて頂きありがとうございました」


「 うーん定跡をしっかりと理解してないと結局こうなるんだよねー、百合ちゃんとは違うけど桜さんも居玉なんですね」


「 いあー私は囲うのがめんどうなだけ、戦争するのなら始まる前に大将は避難しとけって思うじゃんよー」


「 私はお姉さまと違って必要と思えばちゃんと動かしますよ?」


「 いあいあ私だってちゃんと必要な時は動かしてるよ」


「 そうかしら?動かした方が良さそうなときも我慢してるように見えるのですが、私の棋力が低いからそう思ってしまうのかもしれません」


 二人の雰囲気は喧嘩になりそうな険悪なものではなかったがそうなる前にと恵美は口を挟んだ。


「 こっちが攻めてないから動かす必要が全く無かったのね」


「 そだねー攻めてればまた違う結果になってたかもだねー」


 恵美はふと時計を見ると夕方の6時を回っていた。


「 いっけない、ポチの散歩の時間だー、今日は私帰るねークッキーありがとーご馳走様でした」


「 ワンちゃんを飼われてるのですね、今度来るときは是非連れて来てくださいね、姉も犬好きなんですよ」


「 桜は余分な事言わなくて良いんだよ、まったねー」


「 またのー、それでは突撃ー」


 恵美は勢いよくダッシュで帰っていった。


 そして翌日


「 まさか桜さんが百合ちゃんの妹だとはねー、結構な大スクープだ、みんなに言って良い?ねぇ良い?アイドルの妹を持つ姉ってどんな気持ち?」


 にこにこと話す恵美と無表情のまま応える百合。


「 ダメってことはないけど出来れば避けてほしいかも」


「 むー・・・じゃぁ黙っててあげるから今週の日曜日も遊びに行くね」


「 えー」


 また比べられるのかと思うとあまり気が乗らない百合だった。見比べられるのも不愉快だし、似てないって言われても貶されてるようにしか感じられないし・・・

 恵美は乗り気じゃない百合に気が付きしばらく考えていたが、良い案を思いついたようだ。


「 今度は絶対大丈夫!百合ちゃんのためにも頑張ってポチも連れて行くから!」


「 そこじゃねーよ!」

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