ちょっと一息姉妹編 百合(ゆり)+桜(さくら)+恵美(えみ)
「 おじゃましますー」
「 はーい、いらっしゃーい」
玄関をほぼ無表情に開ける百合、つまらなさそうである。
「 相変わらず無表情ねー百合ちゃんは、そこが可愛いんだけどw」
会うなり百合の後ろに束ねた髪をファサッといじる恵美。
「 ちょっとーここでは私は一応お姉ちゃんなんだから少しは考えてよー」
「 そう言えばそうだったねー妹居るんだっけ?」
「 知ってるとは思うんだけどねー」
「 あら、お姉さまご友人の方ですね、初めまして桜と申します」
「 なにいいいいい、桜さん百合ちゃんの妹なの!?」
驚きを隠せない恵美。二人を交互に見比べる。
背が低く幼児体形の百合と、それほど背が高い訳ではないが顔が小さくモデルのような体形の桜
同じ学校の人間なら大抵の人が知っているだろう。成績も良いしお嬢様なんだろうと学校でも評判だ。
「 二人が姉妹ってみんな知らないんじゃないの?びっくりしたー同じ名字で珍しいとは思ってたけど似ても似つかないよね?」
「 うっさいわw私がお腹の中に養分を多く残しといてあげたの!」
「 お姉さまはお優しいですから」
「 それ遠回しに自分は美人でスタイル良いって認めてるよね?桜?」
「 とんでもないです、お姉様も小さくて可愛いですし、羨ましいと思うときありますよ、いつもご友人に囲まれていて楽しそうですし」
「 無いものねだりにもほど程があるわwこっちには無いものがたくさんあるんだぞ」
「 百合ちゃん家では結構元気に話してるのねーそう言えば二人でゲームしてるって聞いたけど何されておられるのでござるか?」
恵美は使い慣れない敬語を頑張って駆使している。
「 恵美ちゃん、めんどいからいつものしゃべり方で良いよー」
「 そうでござるか?かたじけない」
「 全然直ってないよw」
「 面白い方ですのね美絵さんは、トイレは二階の突き当たりに、一回は階段の隣ですからお気兼ねなく、では私はクッキーの準備してきますのでごゆるりと」
にこっと笑うと桜は階段の方へ恵美を案内し自分は台所へと向かった。
「 びっくりしたあ、学園アイドルの桜さんと姉妹なんて情報、どこからも聞いたこと無かったから」
「 まあ学校ではあんま話しかけるなって言ってあるからねー、もしも『 姉妹か? 』って聞かれれば私は『 そうだ 』って答えるつもりだけど聞かれたことがないから」
「 結びつかないから聞く人が居ないよきっと、珍しい苗字だなーくらいで」
「 まあいいや。比べられても面白くないし、ゲームっていうのはこれ、将棋なの」
百合は脚付きの盤とすでに並べられた駒を恵美の前に出した。
「 将棋w懐かしすぎるw私結構自信あるんだよー指そう指そう」
恵美はワクワクした表情で百合と将棋盤を挟んだ反対側に座った。
「 椅子とテーブルで指してるんだねー」
「 うーん、楽だからねー小さいころは姿勢が良くなるからって正座で指さされてたんだけど」
「 お父さんの趣味なの?」
「 ううん、お母さまの趣味」
「 へー、百合ちゃん母親の事お母さまって呼ぶんだー、そういえば桜さんもお姉さまって呼んでたね」
「 うちの母親にたて突くと人生詰まされる恐れがあるから、常に必至掛かってるよ」
「 久々だからハンデで先手貰うねー、いっくぽーん」
「 何その掛け声w」