ちょっと一息姉弟編 莉愛(りあ)+龍(りゅう)
あーあちいなぁ・・・シロクマアイス食いてえー
暑い夏の昼下がり、龍は部屋の扇風機とにらめっこしていた。
隣の部屋から姉、莉愛の呼ぶ声が聞こえる。
「 龍、アイス買ってくるンゴwwww」
「 おい、姉貴その口癖の「んご~」ってのなんとかならんのか?一緒に居て恥ずかしいんだよ」
龍はイライラとした様子を露わにする。
「 いいから早く買ってくるンゴwwww」
「 え、俺が買ってくるの?」
「 さっさと行くンゴwwww」
「 全く弟遣いが半端ねぇな、じゃぁ金よこせよ」
「 お前の金で買ってくるンゴwwww」
「 おいwwwって、まあいいや、帰ったらちゃんと金返せよな」
しぶしぶコンビニに向かう龍、6本入りのシロクマを買う。
「 6本入りなら俺も2、3本食べられるだろ、どうせ姉貴の金だ」
隣のコンビニから帰ると将棋盤に駒が並べられていた。
「 お前の番ンゴwwww」
「 おいー、姉貴とはもう指さないって昨日言ったばかりだぞ、それとその語尾なんとかならんの?ウザイんだが」
「 アイス買って来たンゴね、お駄賃として1本やるンゴwwww代わりにお金は龍のンゴwwww」
「 なにい、お駄賃で1本だけだと?いやちょっと待てお金が俺なら俺のアイスじゃないか、そんなら分けてやらん」
「 一気に6本も食べたら腹壊すンゴよ?」
「 だからその語尾やめろよ、どこのキャラのモノマネだよ、ネットスラングか?」
「 龍が腹壊すと困るから半分食べてやるンゴwwww」
「 分かった分かった、姉貴に何言っても無駄なのは分かってた、しかし、二枚落ちでも勝てる気しないんだが駒落ちはしないよなあ?」
「 フルボコにする方が気持ちいいからに決まってるンゴwwww二枚落ちだと勝てるかどうか微妙ンゴwwww」
龍も決して弱くない、現在のアマチュア段位なら三段くらいある、アマチュア三段と言えばプロ棋士と二枚落ちで互角以上に指せるレベルだ。
「 龍がアイス買いに行ってる間に4局並べたンゴwwww」
「 まーたいつもの妄想かよ、コンビニ行って帰るまでに5分も掛かってねーよ、って何アイス食ってんだよ」
「 アイスは溶かすものじゃなく食べるものンゴwwww」
「 やべっ、あと3本しか残ってねーじゃねーか」
ふと将棋盤に目をやると知らないうちに終盤になっている。 さっきまで初期配置になっていたはずなのに
「 なんか知らん内に進んでねぇ?」
「 お前の思考ぐらい読めるンゴよ」
「 読めるなら俺が居なくても関係ないだろ?言ってることが矛盾してねえ?」
局面はどうなってるんだ?と盤面を再度見直すと初期配置に戻っていた。
「 姉貴のやることはよく分かんねーな、インチキのようだ」
「 インチキじゃ無いンゴね、龍の思考を盤面に反映させてるだけンゴwwww」
ふと目をやると居飛車穴熊vs石田流の定跡型に盤面が進んでいた。昨日徹夜で勉強した所だ。
「 それ、俺が昨日勉強した定跡の最新変化じゃねーか、何で姉貴が知ってるんだよ」
「 姉弟のテレパシーンゴwwww」
「 こっちが真面目に勉強した内容が何故か筒抜けになっちまう、やっぱ一生姉貴には勝てる気しねー」
「 ここでこう変化するとどうなるンゴよ?」
「 そんな変化は本に載って無かったが言われてみると難しいな、あーするとこーくるし、こー行くとあーされるし、あっ」
「 なるほど分かったンゴwwwwこうするンゴね」
スッスッと盤面を進めていく莉彩
「 だーかーらー、勝手に人の心を読むんじゃねーよ」
「 龍以外の心ははっきりとは読めないから仕方ないンゴwwww」
「 俺以外の奴の心も読めるのかよ、無敵じゃねーか!」
「 無敵じゃないンゴよ、小さい頃に1回負けた事あるンゴwwww」
「 ああそういえば昔そんなことあったなあ、ってアイス食ってるんじゃねーよそれ最後の1本じゃねーか」