第3話 誤解
はぁ・・・やっと着いた。比較的小柄な方だとは思うけど、さすがに負ぶって走るのはキツイな。
うわあ、俺もこの子も全身ビチャビチャだ。このまま濡れた服を着ていたら間違いなく風邪をひくだろう。とりあえず部屋を暖めて、それから身体も拭かないとな。
うんうん、仕方ないな。別に下心があるわけじゃあない。ただこの子の為を思ってだな。うん仕方ないよ。さぁお嬢さん服を脱がしますよー。
「・・・」
返事はなし。沈黙は肯定とみなす。
・・・いや、駄目だろ。
俺は一人で何をやっているんだ。
身体を拭くためとはいえ、意識のない見ず知らずの女の子の裸を見ようというのは流石にいかがなものだろうか。
そうだ、こんな時はメグえもんを頼ろう。多少の文句は言われるかもしれないが致し方ない。きっと力になってくれるさ。
雨に濡れた女の子を一先ず部屋に運び出し、俺はポケットから携帯電話を取り出・・・ああもうポケットの中までグッショリで取り出しにくい!!あーあ、画面も思い切り濡れてるよ。持っていくんじゃ無かったな。
さて、恵に電話を掛けよう。ええい濡れたせいで案の定誤作動だ!
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Prrrrrrrr・・・
よし、なんとか電話を掛けられたぞ。
『はい』
おお!繋がった!さすがメグえもん!
「恵。今時間大丈夫か?」
『え?うん、大丈夫だよ。何か用?』
「ああ、急ぎの頼みがあるんだ」
『頼み?どんな?』
えーと、一から説明するのは面倒だな・・・まずはウチに来てもらうか
「今からウチに来てほしいんだ」
『ええっ、外凄い雨だよ?』
「ああ、それは分かってる」
身を以て痛感したからな。
『それにお風呂にももう入っちゃったし・・・』
「ああ、それは大丈夫。むしろ好都合だ」
この子を風呂に入れてやりたかったし。
『も、もうお風呂に入ったのが好都合って・・・・・//』
ん?どうしたんだいめぐ太君。
『わ、分かった・・・じゃあ、今から行くね?』
なんか様子がおかしいが、どうやら来てくれるみたいで助かった。
「すまん助かる!とにかく急いできてくれ!」
そう言って俺は電話を切った。
さて、俺と恵の家は普段なら歩いて3分ぐらいだ。
準備だとか雨の影響で多少は遅くなるだろうし、今のうちに俺は着替えておこう。
あれ、部屋着どこやったっけ。あ、そうだ。向こうの部屋に置いてたんだった。
やれやれ・・・取りに行かないとな。濡れたままで家をうろつくのも何だし、とりあえず先に脱いで身体を拭いておこう。
身体を拭き終えた俺は脱衣所に置いてあったパンツだけ履いて部屋着を部屋に取りに行った。そして玄関を通り抜けようとしたそのとき・・・
ガチャッ
え!?早くない!?ていうか鍵閉め忘れてた!
「・・・・・」
「あっ・・・」
そこには若い女の子を夜中に呼びつけ、パンツ一丁で出迎える男の姿があった。
はい事案発生!!
「・・・オジャマシマス//」
え、ノーリアクション!?我ながらかなりヤバい絵面だと思ったんだけど・・・
「あ、ああ。急に悪いな。」
とりあえず着替えたいし、先に部屋に行って貰うことにした。あの子を見れば事情はなんとなく察して貰えるだろう。
さーて着替え着替え。
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着替えを終えた俺は、少女と恵の待つ部屋へ向かった。
あれ、なんか空気が重いぞ。
ねえメグえもん、なにがあったの?
俺は俯いてプルプル震えている恵に声を掛けてみた。
「どうした、って・・・?」
ん?なんだか様子が変よ?
「私だけじゃ飽き足らず・・・こんな年下の女の子を部屋に連れ込むなんて・・・」
ええええええええええええ!?
なんか誤解してない!?
「コウの・・・・・・バカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ち、違うんだよめぐちゃん!!」
パァァァァァァァァァァァン!!!
続く
はてさて女の子の名前は一体どうしたものか・・・