プロローグ・転移
不束者ですが何卒
意見感想等貰えると嬉しいです!
全国高校剣道大会優勝。高1の俺がやったことだ。
鍛えに鍛えた俺の剣が全国最強になった。俺は優越感と虚無感の混ざりあった感情を抱きながら表彰式に出る。遠くで同じ高校の女子が手を振ってる。馬鹿っぽいから止めてくれと心の中でぼやく。
名前を呼ばれトロフィーを受け取ると、そのトロフィーが輝きだした気がした。
カップ部分に光とともに吸い込まれ、築くと俺はーー
「異世界に来ていた」
先ほどまでの出来事を目の前の神と名乗る女性に伝える。
ここは異世界の森の中。突然異世界に飛ばされ途方に暮れていると、目の前にこの神が歩いてきて話を聞かせろと言ってきた。俺は神の出した座布団に座りことの経緯を語った。
神は煎餅を齧りながら話を聞くと、何を納得したのか、うんうんと頷いた
「そっちの世界に行ってる僕の手下にね、使えそうなもの送ってくれって頼んどいてたんだよ。僕は兵器や知識を頼んだつもりだったんだけど……」
まさか人間を寄越すとはね、と苦笑いを浮かべる神。彼女は何故か苦笑いが似合っている。
「まぁ。間違いは誰にでもあるよ。そろそろあっちに返してくんね?取材とか来てると思うし」
「ごめんね、目的のために君が贈られてきたわけだから、その目的を達成するまでは返せないんだよ。返したくない、じゃなくて、こう、物理的に?」
「よくわかんないけど、神ででも無理なの?」
「神も万能じゃないからね」
また苦笑を漏らす。
たしかに万能なら、その目標のために異世界から何かを呼ぶ必要などなさそうだ。
だが困った。帰れないのは困った。
「その、目標を達成すれば帰れるんだよな?」
「うん、そうだけど」
「目標って?」
「んー、世界統一」
規模でけえな。全国剣士最強よりよっぽど難易度が高い。
「で、叶いそうなの?それ」
「うーん、ちょっと難しいかな」
「そもそもなんで世界統一?」
「えっとね、今戦争とかの争いが凄くって、争いなくしたいら統一しよっかなって」
「よくわからないが、まあわかった」
「どっち?」
「異世界から贈り物とかできるんだろ?なんかすごいの贈らせてちゃっちゃと統一しちゃってよ」
「僕もそう思って異世界に手下送り込んだんだけどね、送られてきたのが君だったの」
「他の物も送らせればいいだろ」
「そうしたいんだけど、転移……もの送っちゃったら半年は送れないんだ」
「てことは統一は……」
「とりあえず、半年は難しいかな」
まじかよ、半年も学校休んだら学校退学じゃないか。最終学歴中卒、ちょっとなぁ。
半年は異世界から送り物できないみたいだし、でも世界統一しなきゃ帰れないし。
はぁ、と一つため息をつき、神に提案をする。
「俺がやればいいんだろ。元々、そのために呼ばれたんだし」
「え、でも危ないよ?いいの」
「いいよ、半年間何もしなってわけにも行かないし」
「それじゃ、頼んじゃおっかな」
まず俺は、この世界に関する情報を求めた。何も知らない世界を統一なんてできっこないしな。
神によるとこの世界の住民は皆魔法が使える。その魔法を使って争いをしている。
統一とはこの世界のすべての勢力を我が物にし支配すること。支配するには相手を倒す必要がある。
つまり、魔法を使うやつらをみんな倒せばいいんだな。
俺には剣の技術がある。魔法を習得すればこの世界でも通用するかもしれない。なんだ、案外行けそうじゃないか。
「じゃ、さっそく俺にも魔法教えてよ。攻撃系のがいいな、炎とか出すやつ」
未知の技術にわくわくしながら神に頼むが、返答は喜べるものではなかった。
「え?できませんよ?」
「……え?」
「魔法、使えませんって。魔法を使えない世界の住人ですし」
それって俺最弱じゃね?
俺たちの戦いはまだ始まったばかりだ!
お粗末様です