創世記
太古、世界は一つであった。
主神の下に全ての生きとし生けるものが忠誠を誓い、仕えていたのである。
神の住処である都、及びその庭たる世界はどこまでもその平和を謳歌していたのであった。
ーーーーー西、及び東の創世記、第二章より。
これは、何処かにあるかもしれないもう一つの世界の話。
議会は、荒れに荒れていた。
東の創世記の記述の一つから発展させた、大帝国主義を掲げた諸侯の一人による選帝侯の一斉粛清と近隣諸国の併合。
これによって、帝国近辺のパワーバランスは大きく変化し、強国への道が開かれる筈であったが…
破局はもうすぐそこまで遠慮無く足音をたてて迫って来ていた。
それぞれの価値観の違いを絶妙なパワーバランスの下に共存させていた国々を、一人の諸侯が飲み込んで一つにしてしまったのである。当然、国々は近いうちに衝突し、出口を求めて彼方此方を暴れ回るであろう。そして、あらゆる方向に向けられていた憎しみはいずれ、その一人の諸侯に向かうのだ。
しかし自らを「国父」と称した一人の諸侯はついに最期まで、その間違いに気づくことは無かった。
その愚かな一人の諸侯、名をアルフール二世と云う。
しかし、彼と彼の国の末路は悲惨なものになったのか、と問われればそうでは無いと言い切れるのである。
まず、彼はその人生を処刑台の上で迎えることは無かった。
帝国は栄華を極め、彼は絢爛豪華な宮殿の最奥部、わざわざ臨終の刻を迎えるためだけに作られた部屋の中で、自らの一族や侍従に見守られながら息を引き取ったのだ。
では何故、彼の破局が見える誇大妄想が成就した、いや、してしまったのか。
それは、後世の歴史家を悩まさせることになる、ある日、時期を同じくして突然世界中に現れた、傑出した能力を持つ素性出自その他諸々一切不明の男達の存在が、ある時は光、ある時は影になって重大な役目を果たしたからに他ならない。
視点が大きく変わりました。
黒沢君と伊藤閣下は暫くはお役御免であります。




