シャッター街へ
どうも、みなさんこんにちは。
レポーターの香織です。
嘘です。学生でした。今は幽霊です。
なので、幽霊レポーターとでも名乗りましょうか。
まあ、そんなことはどうでもいいのだけど、とりあえず暇だったから、なんとなく街の名所の一つのシャッター街に来たわ。
見事なほどのシャッター街ね。
ここまで、一直線にシャッターが閉まってるのを見ると感動を覚えるわ、不思議ね。
そしてこの落書き、素晴らしいわ…
と言うとでも思ったかしら。
ともかく、閉まったシャッターに描かれたこの落書き(余りセンスの無い)がいい雰囲気を醸し出しているわね。
さっそく、ネタとして、ユレッターでつぶやかせてもらおうかしら。
《シャッター街に来たわ(^^)センスの無い落書きが素晴らしいわ(^o^)/噂の地縛霊の子にあえるかしらo(^_^)o》
こんな感じね。
ちなみにユレッターの正式名称は【ユウレイガツブヤキヤガッター】で使い方はほとんど、ツイッ○ーと一緒ね。
大きく違うのが、フォロー、フォロワーを気にしなくていいことね。
だからFF比とか無いわ。
これはほんとうに嬉しい機能だったりするわ。生きてた時使ってたツイッ○ーでは、どうしても、フォロー、フォロワーに関しての問題が起きるから気にしなくていいのはほんとうに嬉しいわ。ほんとうよ。
この、ユレッターは、自分のいる街を設定して、その街の使用者の呟き(俗に言うユイート)をTLに表示するっていう方式なの、でもまあ、設定を変えれば全国各地の幽霊の呟きが見れるわ。ただ、全国設定にするとTLの速さが尋常じゃないわ。このシステムによりフォローする必要がないのね。
ちなみに、ユレッターって私が呼んでいる理由は、【ユウレイガツブヤキヤガッター】を単に略したっていう理由だけじゃないわ。それは地震が来た時にでも分かるわ。
あれは、不謹慎かもしれないけど、おもしろいわ。みんなが一斉に同じことを呟くのだもの。
例えば、、、
『今揺れた?』
『ユレッターwwwwwww』
『揺れた揺れた』
『ユレッタの感じたわwwwww、浮いてるけどwwwwwww』
『ユレッターからってユレッターすんなやwwwww』
とかいろいろあるわ。
基本揺れたことに関する呟きね、バカバカしいけど面白いわ、ちなみに私はその時見ているだけだから誤解しないように。
…まあ、今は関係ない話ね。
このシャッター街に来たのには訳があったわけでは無かったのだけど、さっき、ユレッターで見た情報に気になったものがあって、なんでも、このシャッター街に地縛霊の女の子が居るらしいのよ。しかも、可愛いらしいわ。
それはともかく、地縛霊がどんなものか気になるじゃない。会えると信じての意味でさっきの呟きの最後に、地縛霊の子にあえるかしらって付けたのよ、フラグを立てたのよ、会えるフラグをね。
さて、その地縛霊の子はどの辺にいるのかしら、何か魔法の呪文や何かのコマンドを入力すれば出て来てくれるのかしら。呪文で言えば、『ヒラケヤオラ』。これは有名な呪文かもしれないけど、違うわね。
ちなみに、他にも
【キイトンノカボケ】
【カネガナイ】
【カネガホシイ】
【スイマキタ】
など、いろいろ呪文はあるわ。
これらの呪文はMPを消費しないわ、おまじないみたいな感じね。
移動魔法は今のところ知らないわ、あの【ルー○】とかいうのは使えないわ、そもそもそれはゲームの話よ。
……
にしても、誰もいないわね。
普通の幽霊とかがいるかと思ってたけどいないわね。さすが、シャッター街と言ったところかしら、幽霊すら来ないとはこのシャッター街はほんと、人気ないのね。
そもそも、普通の幽霊はどこにいるのかしら。よくユレッターのTLで見かける、【ゲーセン通いしてる幽霊の俺氏】さんや【写真に写り込むチャビ@写り込み検定一級受験】さんとかは何となくツイート内容や添付画像でどこに居るのかは分かるけど、というよりゲーセン通い(以下略)さんは名前からしてだいたい分かるわね。でも、その他の人達ってどこにいるのかしら、確かこの街の幽霊人口は1万人弱だった気がするのだけれども(ユレペディア参照)。ちなみに、生きてる人は35万人居るわ。まあ、死んだ私にとって生きてる人なんてどうでもいいのだけれども。
ん?あの“中学生”ぐらいの女の子は、もしかして、噂の地縛霊の子かしら。
さっそく見つけたわ!
日頃の行いがいいからね。
さあ、話しかけるのよ香織!
まずは、一言目の選択肢を……
1.『そこの幽霊の子』
2.『おい、クソガキ!』
3. 無視
3は論外ね、会いにきてるっていうのに、なんで無視よ。2もないわね、それじゃあ消去法で1になるわね。
「そこの幽霊の子」
もっとマシな選択肢はないのかしら、そんなこと言っても、私だから仕方ないわね。好感度下がったかしらまあ、まだ挽回できるわ。
「はい?」
「あなたが、このシャッター街に居るって言う地縛霊の子かしら?」
「はい、そうですね、それはきっと私ですね」
「そう」
話しかけたはいいけど、特に用が無かったのだけれども、一体これからどうしましょ、選択肢は面倒だから出さないわ。
そうだ、フレンドでもなってもらおうかしら。私、フレンド数0だし、友達居ないってわけじゃないわよ、幽霊になりたてなんだからしょうがないじゃない。
「ねえ?フレンドになってくれないかしら?」
「え⁉︎フレンドになってくれるんですか!」
「ええ、そうよ」
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
ええとこのカードでこうして…
よし、フレンド登録完了っと。
よく、このカードの原理が分からないわ、カードのくせに無駄に高機能だし。
「ええと、青葉 凛さんね」
フレンドになると個人情報ダダ漏れじゃないかしら…大抵、こういうのは、気にしたら負けだわ。
「はい!気軽に凛とお呼びください!あのう、あなたの事はなんと呼べばいいでしょうか?」
「香織でいいわよ」
「そ、それでは香織さんで…」
さすがに呼び捨てはきつかったわね。
私も彼女の立場だと呼び捨てできる自信がないわ。
「凛さん、あなたレベル“110”なのね、見かけによらず高いわね」
これは、お世辞じゃなくてほんとに高いと思ったわ。
「いえいえ、そんなに高くないですよ」
いや、高いわ。私はまだ、レベル50
だと言うのに、2倍以上のレベルなんて…昨日1日で上げたのだけどね。さすが、幽霊は見かけによらないっていうぐらいだからね、こんな子でもレベルは高かったりするのね。よくレベルがここまで上げれたわね。
「あなた、そんなにレベル上げをできそうじゃないけどどうしてそんなにレベルが上がってるの?」
気になる。今後のために気になる、これは効率のいい方法があるのかもしれないわ、きっとメタリックなやつがいるに違いないわ。
「私は、地縛霊なもんで、このシャッター街から出れないんですけど、地縛霊のみに対するなんて言うんですかね、特典?ですかね。もらえる経験値が多いんですよ、それでぽんぽんレベルが上がって。」
なんと、ずるい。効率のいい方法なんてなかったのね。もらえる経験値が多いのか、でもシャッター街から出れないことを考えると釣り合うわね。むしろもっと特典が欲しいぐらいだわ。
「香織さん、もしよかったら私の住んでるところに寄って行きませんか?」
ところ?
「それは、家かしら?」
幽霊が家に住んでいるのかという疑問が私にはあるのだけれども。まあ、私は家に住んでるんだけどね。
「まあ、家って言えば家ですね。一応…」
「わかったわ、行きましょう」
地味に不安だわ。大丈夫かしら。
……
「着きました、ここです」
「え?」
「これです。私の家」
え?確かに家と言えば家だけど。
これは、まさしく豪邸よね。
THE 豪邸よ。
脱出ゲームの舞台のような豪邸よ、たぶん殺人事件でも起こるわ。
また、某ホラーゲームで出てくる鬼も出てきそうな雰囲気を醸し出してるわ。
まとめると、なんでシャッター街に建ってるのかしらって不思議に思うレベルの豪邸よ。ほんと、なんでこんなシャッター街に。
「豪邸なのね」
「え、そうですか!そんなこと言われるの初めてで嬉しいです!
って言っても、家に人、いや幽霊を招くのは初めてでですから」
「あなた、一人で住んでるの?」
「そうです。私以外の家族はみんなあっちに行ってしまいましたから」
この子は何か思い残しがあってこっちの世界に残ってるのかしら…これは、フラグだわ、私がこの子を助ける未来がミエマスミエマス…
「でも、スキルがありますから、掃除は隅々までちゃんとしてありますよ」
この子、地縛霊じゃなかったら連れて帰りたい、便利そう。
「寂しくないの?」
「召喚スキルで、ワンちゃんとか呼べたりするし寂しくないですよ。たまに悪魔のデーくんを呼んだりして一緒にゲームしたりしてます」
悪魔まで呼べるの。デーくん…
デーモンから来た名前なのは間違いないわね。にしても、デーくん。
「さあ、どうぞ上がってください」
「ありがとう」
「こっちがリビングです」
さすが、豪邸規模がでかいわ。
玄関前の狛犬がかなりこの豪邸に合ってなかったけれども気にしないわ。
「TVゲームしませんか?」
某天堂のやつね。
「いいわよ」
「これで対戦をしましょう!」
これは、あれね。ぷよっとしたやつが落ちてくるパズルゲームね。
連鎖組めばいいはずだったわね。余裕よ。
……
「負けたわ。もう一度よ!」
……30分後
「また、負けたわ、まだまだ!もう一度よ!」
……6時間後
「あー負けたー。私もう勝てる気がしないわ」
なんて強いのこの子、恐ろしいわ。あの圧倒的連鎖の数。おかしいわ、インチキだわ、チートだわ、地縛霊特権だわ……
なんて、私は言わないわ。言うのは心の中だけね。
「もうやらないんですか?ってもうこんな時間かぁ。すみません、もう少しで時間なんで今日はこの辺でいいですか?」
「ああ、そうね。今日はありがとう、なかなか楽しかったわ」
「いえ、こちらこそ遊び相手をしてくれてありがとうございました!また来てくださいね!」
「それじゃあまた」
……
ふう、にしても時間が経つのって意外と早いわね。
特にこの後のことを考えてなかったからどうしようかしら。
そういえば、彼はどうしてるのかしら。忘れてるかもしれないけど、元主人公の彼よ。
レベルは上がったのかしら。
主人公チェンジのスキルは実は嘘なんだけどね、あれ勝手に私が言っただけなのにね。
だって普通に考えてあり得ないスキルでしょ。
万が一そのスキルがあるとして、全く知らないモブ幽霊Aが使ったらどうなると思ってるのかしら。
それは悲惨なことになるわ。
なんせモブ幽霊なのだから。
つまり、私は今まで読者も騙せてたというわけね。我ながらよくできたものだわ。
彼はもうそんなスキルない事に気づいてるはずなんだけど、何してるのかしらね。たぶんあの後、ユーナとかいう案内人とかいう奴に確認でもしたと思うから。
なぜ、私がユーナを知っているかって?それは、もちろん彼女がこの地域担当の案内人だからに決まってるじゃない、私も彼女に会ったからよ。
まあそれだけじゃないんだけどね。
それはそうと、彼が死んだ理由って知ってる?私は知ってるのよ、見てたから。あれは傑作だったわ。
たぶん、彼はユーナから死因を聞いていると思うのだけれども、ユーナが教えた死因は嘘よ。さすがに気を遣ったのよ、あんな死に方じゃ、真実を教えるとあまりのショックにまた死んでしまうかもしれないからね、もう死んでるけど。
まあ、彼がいないから教えるけど、実は彼が信号を渡り始めた瞬間に彼の後ろからカラスが飛んできて彼の頭に直撃して彼は気絶したのよ。たったそれだけでよ、笑えるわ。カラスがぶつかっただけで、気絶よ。ちなみにカラスの方は元気のままでそのまま飛んで行ってしまったわ。
今の説明だと、あたかもカラスがものすごいスピードだったかのように聞こえるけど、スピードは全然でてなかったわ。
周りで見てた人も、ビックリしてたわ。
それで、彼は気絶したまま結局、起きることはなかったわ…
カラスが普通に当たってショック死。
こんなこともあるのね。
医者もビックリだわ。
せめて、あたりどころが悪かった的な理由が欲しかったけど、全然問題なかったそうよ。
入学式で校長が言ってたわ、人の死を話題にして校長は一人盛り上がって、1時間以上話続けていたわ。
さすがに不謹慎だと私も思ったわ。
でも、まああの校長だったからなんともいえないのだけれども、あの校長は実は不謹慎校長って呼ばれてて、とても不謹慎なことしか言わないのよ。
そんなこんなで、彼は死んで幽霊になったのよ。
説明終わり。
追加情報を教えてあげるわユーナは私の義理の姉になるわ。
はい、ここで読者驚くー(棒読み)
今回は私の視点の話だったわ。
主人公チェンジのスキルはないからきっと次は零斗視点に戻るはずよ。
最後の、ユーナが私の義姉ってことは事実だから覚えておいて損はないわ。
それでは、次回も読んでね。
香織でした。