いざ、街へ?
………
「あの、ここは?」
「街よ」
「いや、街ってより商店街ですよね」
「街よ」
「しかも、シャッター街じゃねえかよ!」
「街よ(威圧)」
「はい」
怖いよ。街よって、これシャッター街じゃん全部シャッター閉まってるし、ありえないでしょ。完全にガチのシャッター街じゃん。どうしよう、街ということにしようか、怖いし。威圧感半端ないし。
「街ですね」
「何言ってるの、どうみてもシャッター街じゃない」
⁉︎
え、何。何これ。なんなの。うざすぎるんですけど…
「あと、タメ口で話しなさいよ、話しにくいじゃない」
「うっす。」
というか、全く気にしてなかったけど俺ってどうやって死んだんだ?突然衝撃を感じたところまでは覚えてるけど、そこまでで、気がついたら倒れてる俺を見てたから分からないのだけど。
「なぁ、俺ってどうやって死んだんだ?」
ここで、タメ口を使っていく!レベル高いぞ俺!
「そうねー、確か信号が青になって車道に出たところで死んだのよね。」
「そこまでは覚えてるんだ」
「その後の衝撃の正体はね、軍の開発中の極秘兵器だとか聞いたわよ。なんでも、油断してる敵に有効な兵器だそうで説明すると、信号が青になったら誰でも歩道を渡るじゃない」
「まあ、渡るわな」
「そこで、油断して渡ってる敵を空中から謎の衝撃で気絶させる兵器だったらしいわよ」
それ、兵器として、どうなの。戦闘で確実に使えねえだろ。
戦闘になってたら、信号もくそもねえだろ。いちいち、戦闘中に信号で戦車が止まるかっつーの。それよりも大事なことが一つ…
「てか、俺、死んでるし」
「あなたが死んだのは予想外だったそうよ、威力は抑えめだったらしいし普通は気絶するだけで死ぬわけないから」
「それはつまり…」
「あなたが貧弱だっただけね」
辛い。貧弱だったに反論できない、俺が憎い。クソ、なぜ鍛えてなかったんだ!俺!
「うっ…、親は!俺の親は何も言わなかったのかよ!」
「あなたの親は軍のミスだということで多額の金を受け取りとても喜んでたわよ、こうも言ってたわ、(引き篭もり息子がいなくなってゴミが片付いた上に金が貰えるって最高!)って」
最低じゃねえか!そんな親だったのかよ!いい加減な親だとは思ってたけど。
これは、あまり聞きたくなかったな。
もういいや、忘れよ…
うぅ、さすがに辛いな…
なにか別の話題、別の話題、あ、そうだ、幽霊になって気になってたけど、
「これって壁とかすり抜けられたりするのか?」
「そんなわけないじゃない、壁とかすり抜けられたりしたら、下にもすり抜けていくじゃない。壁だけすり抜けられるとか便利すぎるわよ」
それも、そうだよな。壁だけをすり抜けられたらチートだよな。
「じゃあ、物は触れるのか?」
「生き物以外は、基本触れるわよ」
おお!それは素晴らしい!幽霊最高じゃないですか!うっひょー!幽霊になってよかったー!利点しかなくね?幽霊最強説?
ん?なんだあの子、さっきからこっちばっかり見て、俺、幽霊だよな。見えないはずだよな。
「おい、あの子ずっとこっちを見てるんだが」
「ああ、あれは見えるタイプの人間ね、よく聞くでしょ、わたし幽霊が見えるのー。見たなこという人、それよ。ちなみに、私は幽霊じゃないからあの子に私は見えないわ」
「え、それって…」
「そうね、今のあなたは、一人でとなりに話しかけてる変な幽霊ってとこかしら」
え、なにそれ辛い。ていうか、ただのいたい人じゃん。いや幽霊か…
やべっ、目があったよ。どうしよう、これ。うわ、こっちガン見してるよ、どうしよう。どうしよう。
「あ、そうだ、他にも渡すものがあったんだったわ」
え⁉︎このタイミングで渡します⁉︎
もっと空気をって、こっち来てる!
「あ、あのう…」
「なんだい?」
「幽霊ですか?」
「ああ、実はそうなんだよ」
「やっぱり幽霊でしたか!実は私、この商店街で地縛霊をさせてもらってます、リンっていいます!」
地縛霊?ユーナは、見えるタイプの人間って言ってなかったか?
おい、目を逸らすなよ!クソ案内人!
適当なこと言いやがって。
それより、この子可愛いな。
「おお、リンちゃんっていうのか、いい名前だね」
「ありがとうございます!あのう、お願いなんですが、フレンドになってもらえませんか?私、地縛霊なもんで、友達もいなくてさみしい思いをしていたところなんですよ」
フレンドってなんだよ。どこのゲームなんだよ…
「零斗、これ、渡すものがあるって言ったでしょ。さっき、名前書いてもらって預かってたけど、これ幽霊確認証。これで、フレンド登録できるわ、やってあげなさい」
フレンドシステムについて詳しく知りたいんだがって、なんだ、このカード、名前は分かる。なんだよ誕霊日って、幽霊になった日のことかよ、それ命日じゃねえかよ!
そんなことよりこのレベルとかいろいろツッコミたいのだが、多すぎてツッコめない…
「フレンド、なってくれないの?」
や、やめろ。そんな目で俺を見るな!
そんな純粋な目で見られたらッ。
フレンドだ!フレンド!なってやるよ!
「こ、これでいいのかな」
「へー、お兄ちゃん、零斗っていうんだ!」
お、お兄ちゃん⁉︎なに、これ天使かよ。
おっと、危ない。この子は地縛霊だ。
落ち着け俺。俺も幽霊だけど。
「あっ、零斗お兄ちゃん、もう帰らないと行けないから、またね!」
ふわーーー、眩しい笑顔が眩しい。天使が舞い降りたんだ。ああ、行ってしまう。天使が…天使が…
「なにやってんのよ」
おっと、危ないところだった。
ふーん、リンちゃんか、フレンドになると名前が見れるのか、って!なんだこれ、リンちゃんのレベル高っ!いや、基準がわからないけど、レベル90って普通に考えて高いよな。
いや、とりあえずこのカードの使い方だよ。
「このカードどうやって使うんだ?」
「今使ったとおりよ、使う場面はフレンド登録する時くらいよ、あとは、自分のステータスを見ることができるわね。零斗、あなたのレベルはまだ1ね。
これから幽霊として過ごしていく訳だけどレベルはそこそこ重要よ」
へえ、レベルね。RPGですね。レベル上げ。重要。分かります。
「この所持金って、金とか集められるのか?」
「バイトとかいろんな方法で集めることができるわね、例えば記念写真とかに写り込んだりする、写り込み師だとか、普通にお化け屋敷でのバイトとか、他にも井戸に住んで住み込みで働いてる人もいるわね」
写り込み師って…心霊写真ってそういう人たちの働きだったのか…
お化け屋敷のバイトはそのままじゃねえかよ。
井戸に住み込んでるのは、有名なあの人だよな、たぶん。
「じゃあ、このスキルってのは?」
「スキルはスキルよ、レベルを上げるとスキルポイントを貰えるから、ポイントを割り振って習得できるわ」
やっぱり、これRPGの世界だわ。
一応確認するけど、俺、幽霊だよな。勇者とかじゃないよな。
なんか、実感わかねー…
ピロロロッピロロロッピッ
電話かよ…
「はい、はい、分かりました。はい。それでは」
ピッ
「ということだから、私は一回戻るわね、なにかあったら、そのスマホで呼び出して頂戴、じゃあね」
「えっ、ちょっ」
何も聞こえてねえよ!ってもういない⁉︎というより消えた⁉︎
あーあ、どうしよう、これ。今何時なんだ?あ、こういう時のスマホっと。
もう、5時30分か、まあそうだよな、リンちゃんも帰る時間って言ってたし。
うーむ。何しようか。
ん?ちょっと待て今度はなんだ?
なにか、悪魔っぽいのがこっちに飛んでくるんだけど…
え、怖い。チョー怖い。
やばい、やばい、逃げよう!
ふぅ、逃げ切ったか?
全くなんだったんだあの悪魔は、って上にいる⁉︎
「フフフッ、見つけたぞ、幽霊となった人間よ」
「なんだお前は!」
「我の名は…っておい!待て!」
名前なんて知るかよ!今は逃げよう!なんか、殺される気がする!いや、もう死んでるけど。魂とか持っていかれそう。
「フフフッ、人間よ。我から逃げれるとでも思ったのか?愚かな、イテッ。おい、石を投げるな!」
おお、本当に物を触れた。
お父さん、お母さん、俺、悪魔に石を投げたよ…悪魔にだよ…
「待て人間、話を聞け、我はユーナの使い魔だ。安心しろ」
「なんだ、使い魔か」
しかも、ユーナの。
「なんだとは失礼な!これでも、我は上級クラスの悪魔なんだぞ」
「知らねーよ、そんなこと。で、お前は何しに来たんだよ」
「ユーナから、零斗を見ててくれと言われてな、こうして見に来たという訳だ」
これはつまり、タクシーだな。
「そうか、それじゃあ、悪魔。俺を家まで送れ。お前のせいで疲れたんだよ」
使えるものは使っていこう…
とりあえず本当に疲れたことだし。
「お前、我をなんだと、思っておる」
「悪魔。」
「貴様ッ!」
「おい、早くしろ!疲れてんだよこっちは!」
「す、すみません!今すぐお送りします!」
なんだこの悪魔、雑魚かよ。
まあいい、さっさと帰ろう。
「零斗さん、着きました。」
「うむ。ご苦労。お前はもう帰っていいぞ」
「それでは、失礼します!」
シュンッ!
やっぱり、消えるのね。
というより、雑魚だったな。あいつ。
えーと、家の鍵はこの鉢植えにっと。
物が触れるのなら全然不便じゃないな。幽霊なのに。
ガチャッ
「ただいまー」
って言っても誰にも聞こえるわけないか。
ああ、疲れた。長いようで短い一日だったな。
死んだんだよな、俺。
なんか、不思議だな、死んだのに意識があって考えることができるって。
しかも、自分の部屋のベッドで寝てるし。
うーん。明日は、何しようか。
そうだ、学校へ行ってみようか!今日行けなかったし、そうしよう!今度こそ、楽しい高校生活を!
とりあえず今日は、もう寝よう。
スヤァ…