序章 ~開戦~
初投稿です。新参者ですが、どうかよろしくお願いします。
この小説は戦国武将転生ものです。
誤字脱字が多いかもしれませんが、楽しんで読んでもらえたら幸いです。
感想お待ちしております。
『……来た』
暗闇の中で、聞いたことがあるような、ないような声が響いた。
(何が?)
暗いのは、自分が目をつぶっているせいだからだとわかった。なので、開けようとしたのだが、なぜか叶わない。
足には地面に立っている感触がなく、上下感覚も狂っており、呼吸はできるが水の中を漂っているかのようだ。しかも身体は、指先まで言うことを聞かず、全然動いてくれない。
けれど、そんな不可解な現象の中でも、不思議と恐怖は生まれなかった。それより先に、まず謎の声の意味に疑問を抱く。
そのため発問してみるのだが、しかし口さえも自由を奪われていて、自分の声はまったく出ていないのに気づいた。
『ときが』
せめて声の主がどの方向にいるのか認識しようとするも、声は脳内に直接響いているような感じがあり、相手の位置を特定できない。そして、やはり閉じたまま動かない瞼を、生まれて初めて邪魔だと思った。目が不自由だとこんなにも不便なのかと、強く思い知る。
(とき? ときって?)
もう一度発声してみるも、果然、口が脳の命令を無視して自分の思考は声になっていない。
思いを伝えられない悔しさが身に染みる。
相手の姿を見たい。何か言い返したい。頭の中はその二つの願望を果たそうという気持ちでいっぱいになって、なぜ動けないのかまでは思い至らなかった。
『大丈夫。つらいけど、我慢する必要などございませぬ』
優しく包み込むような、しとやかな声だけれども、音階から相手は男性で、それも結構若い人だというのはかろうじてわかった。
が、わかるのはそれだけだ。鼻からは何も感じ取れない上に、味覚と触覚は論外で、一番重要な目は役に立たないのだから。
(我慢って……?)
理解不能な言葉ばかりを並べられ、疑問がどんどん増えていく。
しかし、相手はこちらの質問に答える気配はない。質問を声にできていないのだから当たり前のことだが、それどころか、こちらが声を出せないのを知ってか知らずか、相手は一方的にしゃべり続ける。
『みんなが、ついていまする。かけ替えのない、大切な』
『どんなに長い時間が流れても、魂で結ばれた絆は決して消えませぬ』
『だから、迷ったときには己の魂が示した道を進んでくだされ』
そう言われた途端、目をつぶったままでも明るくなるのを感じた。
『さあ、行ってくだされ。みんなが、呼んでいまする』
(みんな?)
誰のことだかさっぱりだったが、確かに別人の声が複数聞こえた。
この声も、聞いたことがあるような、ないような。記憶がひどくぼやけている。けれども、とても親しみがあって、心が……いや、魂が揺さぶられるような心地がした。
(誰? ……いや、この声を俺は知っている気がする)
なんて言っているのかはよく聞き取れない。でも、呼ばれているのはわかった。それから、行かなければならないことも。
徐々に光は大きくなり、やがて闇を打ち消すようにすべてを埋め尽くした。