【兄弟】
【兄弟】
「ミョンジャ」がこの世に「生」を享け…
「四年」…という歳月を過ごしていた頃…
“「新たな「生」「命」…”が誕生した…
それは…
「繹奉」が心待ちにしていた「末息子」の誕生だった…
それほどまでに切望した「末息子」への「思い」は…
自身が…「兄弟」の「愛情」に恵まれなかったゆえ…
また…「己」の「子」には…「兄弟」の強い「結束」をも…「切望」していたのだろう…
そんな「父」としての「思い」と…自身と同じ「末息子」…としての「思い」が重なり…
「ミョンジャ」の「弟」には…「厳格」な「人」の一面を見せる事がなかった「繹奉」…
だが…「長子」となる「ミョンジャ」の「兄」に対しては…「厳格」な「人」としての…
“「姿勢」…”を貫いて往った…
それは…「繹奉」の「兄」…「長子」へと向けた…強い「思い」によるものでもあった…
「祖父」が重んじ…「語り」継がれた「儀礼」が「保身」の「火種」によって「弛み」…
「血族」の「直系」ゆえに守られた「虚像」の「長子」は…「格別」な扱いを受けいた…
それゆえに…どんなに貧しくとも…「勉学」…「食事」…「装飾」…全ての「愛情」が…
“「長子」へと…”注がれた…
「祖先」の「尊厳」と「血筋」を守り抜き…「子孫」の「繁栄」を担った「使」「命」を…
「全うさせ」「得たい」がゆえ…「厳格」に守られた…「歪んだ」「儀礼」…でもあった…
そうした「儀礼」によって…「語り継がれ」「得た」…「血筋」を絶やさぬ「術」として…
「親族」に守られ…「日本」へと遷り住んでいた「繹奉」の「兄」は…注がれ続けてきた
「愛情」にでさえも…報いる事もなく…「人」としての「道理」をも…「失って」いた…
それゆえ…「兄」の「心」に宿った「保身」の「火種」が…「繹奉」の「心」へと遷り…
「兄」の「朝鮮籍」の「歪み」が…「父」の「死因」へと繋がった…「遺恨の念」とも…
重なり「逢って」往ったゆえ…「儀礼」の「源」を再び灯す「尊まれるべき」存在への…
“「愛執の念」に…”囚われていった…
そして…「己」の「長子」にこそ…「全うさせ」「得たい」「愛執の念」が…「末息子」…
「繹奉」ゆえの「煩悩」となり…そうした「闇」へと覆われた「父」の「心」をも灯し…
「導かなければ」ならなかった「ミョンジャ」の「兄」は…「繹奉」の「父」としての…
“「愛情」を「見失い」…”
自らの「意志」によって掴み取るべき…
“「使」「命」の「灯火」を「失った」…”
そして…父「繹奉」の「長子」に対する…「思い」への反動とも言える…
「末息子」への「愛情」は…「家族」にとって…同じ過ちを繰り返す…
“「保身」の「火種」…”へと…
「誘われて」往くことを…
“「末息子」…”
「繹奉」には…知る由もなかった…
「繹奉」の「思い」が…「子」を「思う」「父」「親」としてではなく…
「末息子」「繹奉」が…「失った」「家族」への「思い」となっていた…
ある日…
「己」の分身となる…「ミョンジャ」の「弟」が…
“「病」に…” 倒れた…
「繹奉」の「登録証明」取得のため借り…「得た」…弁護士費用が高額であったがゆえ…
「恩愛」の「心」を差し伸べた「人」々への…「返済」を…最優先とした「思い」から…
「自営業」を営む若い夫婦は…深夜まで仕事に没頭し…幼子の体調の変化に気付けずに…
風邪の悪化から…急性の肝炎を併発させたがゆえ…「生」「死」を彷徨わせる事となった…