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【登録証明】

「血族」の「絆」が齎した新たな「縁」によって…夫婦となった「繹奉」と「瀛子」は…

互いの「親族」がいた東京から…大阪へと移り住み…新たな「家庭」を築き始めて往く…

だが…新たに「紡ぎ」往く「夫妻の糸」は…「心棒」の「先端」から…絡み始めていた…


妻「栄子」にとって…

「大阪」は…新たな「家庭」を「築き」上げるべき「開拓の地」であったが…


夫「繹奉」にとって…

「大阪」は…失われた「家族」を「再生」すべき「復興の地」でもあった…


それは…


「繹奉」が「心」から欲し…止むことのなかった「父」への「思い」であり…

「亡き祖父」の「志」を受け継ぐ「長子」への「思い」によるものであった…


それゆえ…


断ち切られた「家族」の「絆」を「紡ぐ」べき…「心棒」の「先端」は…

「異母兄弟」であり…「長子」であった「兄夫婦」へと…向かって往く…


だが…


「繹奉」が「心」から欲し追い求めてきた「家族」の「絆」は…

「歪み」続けてきた「儀礼」という名の「生糸」によって弛み…

「家族」としての「兄弟」の「絆」は…儚くも崩れ去って往く…


「繹奉」と「瀛子」が移り住んできた頃の「復興の地」…「大阪」…では…

「外国人登録証明」を保持出来ない「在日韓国人」が…多数存在していた…

「繹奉」もまた…「登録証明」を保持出来ない「重い事情」を抱えていた…

「現代」であっても…「登録証明」の保持は…「重い問題」となるのだが…

「当時」は別の「事情」へと派生し「命」に関わる「危険」が伴っていた…


戦後の日本国内では…朝鮮半島の「南北抗争」が「火種」となって重なり…複雑な事情を

抱えたまま…南北分断以前の「朝鮮籍」を保つ「人」々がいたのだが…そんな事情を持つ

「人」々の中に「繹奉」の「異母兄弟」であり…「長子」となる「兄」の存在があった…

その当時「朝鮮籍」という表記は「北側」の「思想」となる「赤系」と見做されていた…

そんな「朝鮮籍」の「国籍」を維持してきた「血縁」の「存在」は「本国」のみならず…

「日本」にとっても複雑な「国際問題」へと派生しうる為「外国人登録証明」取得には…


“「幾多」の「困難」が…”立ち塞がっていった…


それは「独立国家」を「得た」「人」々が「熾す」…


“「思想」の「相違」…” という現実でもあった…


第二次世界大戦が終幕した「朝鮮半島」では…「開拓地」ゆえの「貧困」に喘いでいた…

また…戦前の「日本」を支えた三万人以上の「島民」も帰島し更なる「食料難」が襲う…

そして…故郷への「思い」を馳せながら帰島する「島民」へと許された「命の代価」は…

自国の「利益」を欲した「大国」によって規制され…「強者」の「密輸入」を横行させる

乏しき「所持金」となったゆえ…新たに築き往く「国家」への「疑念」という「波紋」は

「大国間」の「思想」と「連鎖」し…「託治亀裂」という…「利権の波」へと変貌する…


そんな「強者達」の「思い」が齎す…「利権の波」が「貧困」に喘いだ「人」々を苛み…

「南北分断」を支持する「思い」と…「統一国家」を「切望」する「思い」を絡ませる…


“「傍流の渦」へと「誘って」…”往った…


「大国間」の軍事戦略が呼び「熾す」「思想」の「相違」によって「朝鮮半島の分断」を

危惧した「済州島」では「自治組織」が結束し小さな「抗議行動」が「熾されて」いた…

それは…南側で強行される「単独選挙」への顕然かつ…良識的な「抗議行動」であった…

だが…そんな祖国を「思い」…互いを「慈しむ」「術」として起こされた「抗議行動」が…

北側の「思想」と捉えられ…島民全体が「赤系」の「思想」を齎す「反逆者」としての…



“「烙印」…”を押し当てた…


そんな…「国家」の「エゴ」が「熾す」…「火種」によって…

「鎮圧」の名目で送られし「強硬派部隊」の「使」「命」は…

「済州島島民」「三万人」もの「命」を消し…去らせ…逝く…


“「虐殺事件」…”へと変貌する…


大国という…「強者」ゆえの「自負の念」が「熾す」「奢侈しゃし」の「火種」は…

小国という…「弱者」ゆえの「虚栄の念」を「熾す」「貧困」の「火種」を…


“「煽り(あおり)」往く「連火」…”となって往った…


そうして…


「利害」という「火種」によって駆り立てられた「狂者達」は…

「思想」という「傍流」によって絡み往く「人」々の「心」を…


“「血」で「血」を洗う「地」へと「誘い」…”


「集団虐殺」という「深紅の海原」から投げ出され…追われるように「日本」へと流れた

「済州島民」達への「人権侵害」という「妄挙」を否定し続け…一九八〇年代半ばまで…


“「闇」に…”葬り続けた…


それゆえに…


「尊き」「人」々の「灯火」を吹き…消し…去らせ…「得て」往った「開拓の地」では…

「狂者」が「熾す」「利害の火種」が「燻り」続け…「慈愛」という「心」で湧き上げる…

「泉」を枯渇させたゆえ…「尊き」「灯花」を「成せる」まで長き歳月を待つ事となった…


それは…


血塗られた「興亡」を「熾し」続けた…「狂者」の「火種」が…奇しくも…

古き時から「尊き」「灯火」を「鎮めた」「流刑」の「地」で…静まれ往く…


“「戒め」の「光陰(とき)」…”でもあった…


そうして…


「境涯の淵」ゆえの「使」「命」によって…「灯火」を「鎮め」続け…

「再生の地」ゆえの「使」「命」によって…「真果」を「生し」往く…


“「火山島」の「戒め」は…”


「尊まれる」べき「灯火」を「葬り」…流され往く「境涯の淵」で「成らせ」「得た」…

「灯火」の「灯花」を…新たに「生」まれ往く「命」と共に…重ね「逢わせ」「導く」…


“「使」「命」…” となった…


そんな「戒め」が齎す「使」「命」が…


「尊き思い」で「使し」往く「(めい)」であったがゆえに…

「宿され」往く「(いのち)」をも守りたい「悪しき思い」が…


「尊き思い」で重なり「逢った」…「心の糸」を「断切らせ」…

「独立国家」を「興させた」「志」が「気高き思い」を「紡ぎ」…

「逢せた」「心の心棒」をも「暗黒の海原」へと「投出させた」…


そんな「悪しき思い」へと…「誘われ」往く「強者」が…

「果敢なき」「心」を持った…「人」…であったがゆえ…


「煩悩」という「闇」が齎し往く「畏怖」の「念」に「戦き」…「得た」「悪しき心」で…

「保身」という「火種」を「熾させ」…「慈愛」の「心」で…「育み」「満ち」「得た」…


“「命」の「泉」…”をも枯渇させた…


そうして…


「満たされず」…乾き往く「心」は…数多の「火種」が「熾す」「連火」によって煽られ…

「流れ」ついた「海原」で…「利権の波」に呑まれ踠く「人」々を「狂者」へと変える…


“「因果」…”となって往った…


そんな「人」が「人」であるがゆえの…


“「果敢なき心」…”が…


「戒め」を齎し…新たに「宿り」往く「真果」へと…託され「使」わされる「(めい)」は…

「国境」という…「柵」を越え「復興の地」「日本」で…「心」と「心」を…「照らす」…


“「灯花」と「生って」…”往く…


自ら「呼び」…「熾し」ゆく「火種」によって…「戒め」を齎し…

自ら「誘い」…「鎮め」ゆく「灯火」によって…「祓われ」往く…


“「命」の「代価」…”によって…


「本国」は…「貧困」に喘ぐ「開拓の地」から逃れる「術」を「見失い」…

「尊き思い」を「託し」…築かせ往く…「人」という「礎」を「失った」…


そうして…


「尊き」「人」々の「思い」を重ね…「織り」「逢せ」「精誠」し往く「岐路」をも失った…

「本国」では…「統一国家」を願った「人」々の「命」を「鎮めた」…「代価」として…

「新たな国家」を「導く」「灯火」の「灯花」を…「復興の地」「日本」へと「譲った」…


「復興の地」…「日本」へと…「祓った」「灯火」の「代価」によって…

「富国の地」…「日本」へと…「譲った」「灯花」の「真価」をも失い…


「富国への道」を閉ざされた「本国」では…当時の「最貧国」という苦境に立っていた…


そして…


「大国」が興す「利権の波」で「人」々の「心」を「思想」の「相違」へと「誘った」…

「国家」に対し…憤る「心」を抑え続けた…「人」々の「心」には…新たな「興亡」の…


“「真果」が「宿って」…”往く…


それは…


「血」で「血」を洗い続けた「境涯の淵」で「失った」「尊き灯火」に「思い」を馳せ…

「闇」で覆われた「地」で…「希望の光」を探し求めた「人」々の「使」「命」が…

新たな「真果」によって「育まれ」「尊き」「思い」を「悟り」…「得て」往った「人」々の

「心」に新たな「灯火」が灯されたがゆえ…「生らし」「得て」往く「灯花」と「成り」…

「狂者」の「火種」が「燻る」「独裁国家」が…「尊き灯火」で「寶かに」…灯され往く…


“「民主主義国家」…”を齎した…


だが…

「数多の光陰(とき)」を経て…築き上げ「得た」「人」々の「灯火」を吹き消し…去らせた…

「命」の「代価」は容易に「孵り」「得る」事は許されず…勝者であった「大韓民国」が…

敗者であった「日本国」から…戦前の人道責任を問う「誇り」という「権利」と引換に…

「屈辱的」とも言える…「日本国」からの「外貨支援」を…「掴み」「執る」事となった…

この「屈辱的」な決断は…「国家」を先導した「強者」の「独断的」な選択であったが…

「貧しき」「開拓の地」に「命」を受け…新たに「生」まれ往く「真果」を「育む」には…

自ら「熾し」「枯渇」させた「命の源」と等しき「代価」を「祓わねば」ならなかった…


それゆえに…


日本の「経済支援」と引き換えに「過去の負債」を「清算」する…


“「日韓基本条約」…”が結ばれる事となった…


そんな折に…


「朝鮮籍」の「国籍」を保持していた「人」々は「北側の思想」を持つ「赤系」として…

「大韓民国」に「強制送還」され…「条約の利害」を欲するがゆえ…屈した「日本」に…

「逃れて」往った「罪」と共に「討た」応えは…「死」をもって「償う」ことであった…


そんな…


「本国」での「死」を意味した「朝鮮籍」という「国籍」は…「南北統一国家」を願った

「済州島民」への「疑念」を強めるものとなり…「本国」の「人」々が抱く「疑念」は…

戦後の「済州島島民」を「集団虐殺」した「4.3事件」へと繋がり…再び「熾される」

「分断国家」ゆえの「思想の相違」は…血で血を洗い「興された」「独裁国家」へ繋がる…


“「記憶」…”となっていた…


そうした…


戦後の両国の史実の中で…「解れ」「逢った」「経済支援の糸」を再び「織り」「逢せ」…

結んだ「日韓条約」という新たな「利害関係」を揺るがし…再び断切る危険さえ伴った…

「繹奉」の「外国人登録証明」取得には…「日本政府」に「人脈」を持った「弁護士」を

介する事となり…「政界」という「人脈」に見合う費用を用立てなければならなかった…


また…


そんな「本国」の「人」々が持つ「利己的」な「思い」によって「繹奉」の「父」は…


“「集団虐殺」…”という…

“「無念の死」…”を遂げていた…


「抗争」の波に呑まれた「父」と同じ道を歩み…「瀛子」を「得」た…夫「繹奉」…

「繹奉」が抱える重い事情を知り「得」ながら…「結婚」を決意した…妻「瀛子」…


それは…


互いに課せられ往く「試練」を乗り越え…「幸運」へと続く「道」をも手繰り寄せたい…



“「思い」…”ゆえ…


また…


天命(てんめい)」とも思える「境遇」の類似が…互いの「使」「命」の「灯火」と重なり「逢い」…


“「引き寄せられた」…”のかもしれない…


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