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【母】

「ミョンジャ」の母「瀛子(えいこ)」は…父「繹奉」と同じ本籍を持つ「在日韓国人」である…

また…「同胞」という「不運」ゆえ…夫「繹奉」の「境遇」と…重なり「逢って」往く…


「瀛子」は幼少期に…「抗争の鎮圧」が齎した「暴発事故」で「母」を亡くし…

「男児」であり…「長子」の「血筋」として「育まれて」きた「二人の兄」は…

「瀛子」の「母」が去って…逝った後…「父方」の「実家」へと…引き取られ…

「母」…そして…幼かった…妹…「瀛子」とも引き離された…「悄愴感」から…

「生きたい」と「願う」「心」を「見失い」「病」という「火種」に「誘われ」…

「母」への「鎮魂」となる…一周忌を…務め終える事もなく…去って…逝った…


そんな「人」々の「心」の「連鎖」が「熾す」「火種」によって…幾多の「不運」を抱え…

本国で暮らしていた「瀛子」ではあったが「育ての親」でもあった母方の「祖母の死」と…

「瀛子」自身が「幼い女児」であった…「現実」が重なり…「父」のいる「日本」へと…


“「渡る」…”事となった…


「瀛子」の「父」は…「亡き妻」の尽力によって「抗争」の難をも逃れ「日本」へと…

渡っていたが…「己の妻」と「子」を守ることなく…日本人女性と「再婚」していた…

身寄りのない立場ゆえに…新たな「家族」と共に暮らし始めた「瀛子」ではあったが…

どれだけの歳月が流れようとも…「父」との「心」の隙間を埋める事は出来なかった…


「再婚」という…「亡き母」に対する「父」の「裏切り」が…幼き「瀛子」の「心」に…

「嫌悪感」という「思い」を抱かせ…「父」との「縁」を断ち切る「術」を模索させる…


“「父」との「縁」を断ち切ることこそが「幸運」への「近道」…”


そう…「思い」続けた「瀛子」の「心」には…「孤独」の「火種」が「熾されて」いた…

数多の「火種」を「熾し」…消し…去る「術」を模索した「瀛子」だったが…幼さゆえ…

「成す術」もなく…時を重ね…「繹奉」との「縁談話」が届く年頃へと成長して往った…


「幼な子」が欲する「恩愛」の「心」を「育む」事なく…「己」の「道」を歩んできた…

「父」の下へと「縁談話」が届く頃…「瀛子」は…自ら…「幸運」の「道」を追い求め…

「大阪」に移り行く「知人」の下で…「住込みの仲居」という「開拓地」を歩んでいた…

だが…「抗争」という「波」が齎した「不運」の時代に「生き」…日本語もままならず…

読み書きを「学び」「得る」…「術」さえも奪われていた「在日韓国人」の女性にとって…

「日本」の「裕福な家庭」での生活は…「孤独」と「屈辱感」に苛まれる日々となった…

そんな…「闇」の「思い」を「瀛子」の「心」へと「宿し」「誘って」往った「火種」は…

「人」々の「心」を「導き」続けた…「尊まれるべき人」の…「娘」であったがゆえの…


“「因果」…”でもあった…


それゆえ…娘「瀛子」もまた…


“「導き往く人」…”となりたい…”


そんな…「尊まれる」べき「人」ゆえの「気高き」「思い」を募らせ「描き」続けていた…

だが…「人災」という「不運」が「熾した」数多の「火種」によって歩み往く「道」をも

照らし出す「母」という「灯火」を「失った」「瀛子」にとって…「義兄弟」を賄い続け…

「父」と共に営んだ「自営」の日々が…「描き」続けた「気高き」「思い」を…吹き消す…


“「灯火の墓場」…”となっていた…


そして…「己」の「煩悩」が「熾し」往く「火種」に「誘われ」…自ら「歩み」…

「逃れ」…「得て」往った…「開拓の地」は…「父」の下で暮らした「日々」が…

「泰平の地」であった…と…「思える」ほどの「屈辱感」を…呼び…「熾させ」…

「亡き母」を「思い」…「描き」続けてきた…娘「瀛子」の「気高き」「心」を…


“「漆黒」の「闇」へと…”染め上げる…

“「暗涙」の「川」へと…”変貌させた…


「尊き母」を「思う」「心」を…「漆黒」の「闇」で染め上げ…

「己の道」を「描く」「心」を…「暗涙」に「川」で遮られた…


娘…「瀛子」へと「残された」「道」は…

新たな「家族」を「縒り」「逢せ」築く…


“「婚姻」の「道」…”となっていった…


そんな…「在日韓国人」「女性」ゆえの…「人生」を「悟った」「瀛子」は…

「ミョンジャ」の「父」となる…「繹奉」との「縁談話」を「承諾」する…


だが…それは…「不運」を断ち切る「術」ではなく…

「己」へと「課された」「使」「命」を「模索」する…


“「長く」…「嶮しい」…「旅」…”へと繋がっていた…

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