【父】
「ミョンジャ」の「父」「繹奉」は「済州島」の「本籍」を持つ「在日韓国人」であった…
「繹奉」が「在日」となった背景には…戦後まもない「本国」での「南北抗争」がある…
そんな…
同胞ゆえの…「尊き」「思い」が「解れ」…「絡み」「逢って」往った…「光陰」の中で…
「幼少の繹奉」が享けた「抗争」という名の「人災」は…幾多の「不運」を呼び熾す
「火種」となり…「課され」往く「使」「命」の重さを知らしめる「試練」となった…
「心」の「病」に侵され「赤子」の頃より「繹奉」を拒み続けた「生母」との「別れ」…
「幼子」であった「繹奉」を残し…「抗争の波」に呑まれて…逝った…「父」の「死」…
「人」々の「利己的」な「思い」が齎した…「集団虐殺」という「長男」の「死」から…
「病」の「火種」に「誘われ」「命」の「炎」を…吹き消し…去って逝った「祖父」…
「夫」と「長子」の「鎮魂」となる三回忌を務め貧しさゆえ…去って逝った「祖母」…
そうして…
「人」々の「思い」が幾重にも…重なり「逢い」…「熾され」往く「不運」という名の…
「人災」は幼き「繹奉」の「心」に「孤独」という「火種」を呼び「熾させて」往く…
止め処なく訪れた「肉親」との「別れ」によって「心」から慕える身寄りもないまま…
「青年」へと成長していった「繹奉」は流れ往く歳月では…消え…去る事のなかった…
「孤独」の「火種」を抱え「生ける」「術」として「軍」という「開拓の地」を歩む…
だが…「灯火」を「見失い」「孤独」の「火種」に「誘われ」歩んだ「開拓の地」は…
「灯され」続けるべき「使」「命」の「灯火」を「人」々の「血」によって「鎮め」往く…
“「境涯の淵」…”でもあった…
また…「生ける」「術」として自ら歩み…掴み「得た」と思えた「希望」の「光」が…
「己」の「家族」を「死」へと「誘った」…「火種の翳」という「事実」を「知り」…
「己」は「煩悩」の「闇」に惑わされ…「生き」永らえたという「現実」を「悟り」…
“「得て」…”いった「繹奉」は…
「痛ましい」ほどの「屈辱」と「悄愴感」に駆られ…
「生きる」事の「意味」をも「見失った」がゆえに…
“「病」…”という…
新たな「火種」にも侵されて往った…
そんな…
「煩悩」という「人」ゆえの「迷紕」が…灯されるべき「命」の「炎」を「闇」で「覆い」
「弱肉強食社会」で「生き」残った「狂者」が…冷酷なまでの「体罰」をも「課させ」…
「虫の息」となって往く「繹奉」を…「境涯の淵」へと追い遣り…自ら鎮め往くように…
“「誘った」「地」… ”
その「地」は…「人」が「人」であるがゆえ「誘われ」往く「灯火の墓場」でもあった…
そんな「殺伐」とした「地」で…「一筋の光」をも奪い去る「火種の叢祠」へ「誘われた」
「繹奉」は…「狂者」へと変貌した…「軍人社会」からも「見放され」…瀕死状態での…
“「退役」を「宣告」…”される…
それは…
「灯」され続けるべき「尊き灯火」をも…吹き…消し「鎮めて」往った「境涯の淵」で…
新たな「灯火」を奪い…「生ける屍」へと変貌させ終えたゆえ…「逃し」「得させた」…
“「故郷への帰還」…”であった
だが…それは…看取る「家族」など「存在」しない「繹奉」にとって…
「荒波」が押寄せる「暗黒」の「海原」へと…投げ出されたに等しい…
“「死への宣告」…”でもあった…
そんな…「人」々の「闇」の「心」が「熾す」「火種」から「生きたい」と 「願う」…
「心」も奪われ…「自ら」「命」の「炎」を消し…去る「道」へと「誘われた」「繹奉」…
だが…自ら消え…去ろうとする「繹奉」の「心」は…「亡き祖父」が「成らせ」「得た」…
“「灯花」によって…”救われる…
気高き血筋でありながら…受け継がれ「得た」学識を余す事なく…貧しい村民達へと…
伝え続け…「闇」の「思い」に覆われた「人」々の「心」を説き正し「導き」続けた…
“「亡き祖父」の「使」「命」…”
それは…「人」として…
“「失って」はならない「尊き思い」…”でもあり…
“「見失って」はならない「道理」…”でもあった…
そんな…「亡き祖父」が全うし「得た」「思い」が「村民達の心」で「慈しまれ」…
「失い」かけていた「繹奉」の「心」で「育まれる」「命」の「真果」と「生る」…
そうして…
“「数多」の「光陰」を経て…”
「悟り」…「成らせ」…「得て」…逝った…「祖父」の「灯花」によって…看護の手を…
差し伸べられた「繹奉」は…「人」として…「失って」はならない…「大切な思い」を…
「悟り」…「生きたい」と「願った」「心」によって…「奇跡的」な回復へと…繋がる…
“「幸運」を「得て」往く…”
それは…
「亡き祖父」が「全うし」…「成らせ」「得て」逝った…「使」「命」の「灯花」を…
「己」の「命」が「育む」「真果」と重ね「逢わせ」…「精誠」し往く「道」でもあった…
そんな…
“「幾多」の「試練」を乗り越え…”
「悟り」「得た」…「尊き思い」によって…「孤独」の「火種」を…「命」の「炎」へと…
「浄火」させた「繹奉」は…救いの手を差し伸べた…「人」々の「思い」に報いるため…
「借り」…「得た」「荒地」を耕し「豊かな」「五穀」が「実る地」へと「導いて」往く…
そうして「亡き祖父」から村民達へと…受け継がれた「恩愛」の「心」が…「繹奉」の…
「使」「命」の「灯火」を灯す「口火」となり…「出国」という…新たな「道」を照らす…
“「灯花」と「生って」往った…
そんな「人」々の「心」が…重なり「逢い」…「慈しみ」「育まれた」日々から…
数年が経ち…「新たな人生」の「旅立ち」となる船上に「繹奉」の姿があった…
これまでの「人生」にも似た「荒波」の「航海」の中で…「繹奉」は…
幼き頃「亡き父」と過ごした「日本」での数年間を思い起こしていた…
「血族」という「絆」で結ばれた「親族」と共に…
「本国」での「抗争」から逃れ…「泰平の地」を…
“「思い描いた」…”あの頃は…
「繹奉」のこれまでの「人生」の中で…
“「最も幸せな」…”日々となり…
「成らせ」…「得る」事のない…
“「尊き思い出」…”となった…
そして…「亡き父」の人生で「悟り」…「得て」往った「在日」という「リスク」をも…
消し…去った「親族」への「思い」は…「繹奉」を「導く」…「希望」の「光」となり…
「心」を重ね…「逢った」村民達との「縁」を断切り往く…「道」へと繋がって往った…
それほどまでの「思い」を「宿した」「祖父」の「親族」は「亡き父」と共に「繹奉」を…
「実の家族」として「受け入れ」…「慈しみ」…「育んで」くれた「人」々でもあった…
そんな…「亡き祖父」の代から「慈しみ」…「育まれ」…「得て」きた「家族」ゆえの…
“「絆」… ”によって…
「繹奉」は…「新たな人生」を歩むべき「日本」へと「導かれ」…
「ミョンジャ」の「母」「瀛子」と「縒り」「逢い」結ばれて往く…
「血族」の「絆」が齎した…妻「瀛子」との「縁」は…
「温かな」「灯火」が照らし出す「幸運」への「道」…
そう…信じていた…「繹奉」…
だが…苦難の末に手繰り寄せた「幸運」への「道」は…
新たな…「試練」となって…立ち塞がって往った………