6話
おかしいな……
そろそろ主人公がマジカル☆世界一決定戦で無双しているつもりだったのに……
どうしてこうなった
6話
僕がまだ、学園に入る前の頃の話だ。
確かその日、僕は魔導装置……スプリンクラー辺りのものを弄ろうとしていた。
別に標的は何でも良かった。
高級レストランらしき建物の花壇へ近寄り、丁寧に育てられたのだろう花の間にうもれている装置の、つるりとした表面に触れる。
予想通り、なかなか質が高いようだ。
ーー魔力のないものは、魔導装置に感知されることもない。
どこまでも異質であるかわりに、どこまでも独立しているのだ。
いや、反発しているというのか?
とにかく、僕は一切の魔力探知から逃れることができた。
「ほぉ、花の手入れをしているのか?」
そのため、僕は油断していたのだ。
「……」
驚きは、表情に出さない。
いつの間にか背後にたたずんでいた少年を、ちらりとだけみる。
金髪の少年だった。
「ああ、頼まれたんだ」
自分でも、意外なほどあっさりと嘘がでた。
そいつは別に疑う様子も見せず、ほぉ、とさも感心したかのように息を吐いて、さらに近づいてくる。
正直、面倒なことになったと内心ため息をつく。
「偉いな」
「どうも」
「む?壊れかけているではないか」
「それを取り替えに来たんだ」
「なるほど」
なかなか目ざとい。
さっさと帰れば良いのに。
「おい、向こうにもあるぞ」
わかってるよ、と答え、花壇の植え込みに集中したふりする。
いっそのこと、こいつもーー
「で、壊すのか?それ」
バッ、と顔をあげる。
金髪のそいつは、にやにやと笑いながらこちらをみつめていた。
今更ながら、そいつの瞳が紫紺に輝いていることに気づいた。
次の瞬間、僕はやつの首を掴んでいた。
「何なんだ。お前は」
ぐぐぐ、と締め上げると、そいつは案外簡単に咳き込んだ。
弱い。自分でやっておきながらなぜだかそのことが不思議で、つい手を緩めてしまう。
「げほ、ら、乱暴な……っ
おえー」
「……本当に、なんなんだ?お前」
僕はそう言おうとしたが、最後まで言うことができなかった。
遠くから、ばたばたと走り回る音が聞こえて来たのだ。
「……様!……様!どこへ行ったのですか?」
どうやらこいつは、このレストランに食事に来ていたらしい。その金髪はなんら懲りる様子もなく再びにやにやと笑っていた。
「逃げんのか」
「ああ、お前の始末をしてから」
人の魔力に直接触れて刺激すると、精神に深い作用を与える。
例えば、意識を失わせたり、錯乱したり、果ては記憶が消えてしまうこともあった。
僕は、どの程度まで『弄れ』ば効果があるのかを、そのときには既に心得ていた。
「じゃあな」
魔力に触れる。
今度こそその金髪は意識を失い、ばたり、と倒れこんだ。
そうしてそれから、また僕はこいつと会うこととなる。
ーーなあ、次は何を壊すんだ?
という問いと共に。