3話
3話
朝が早いのは面倒だ。
魔術の使えない僕は魔術の授業が免除されているため、普段は優雅に三時間目から登校している。しかしそんな特権階級とはいえ、予定によっては朝から学校に来なければならない日がある。
そんな日は、眠くてしょうがない。
「よう、お前昨日修羅場だったんだって?モテる男は違うねぇ」
席に座ったまま頭を仰け反らせて後ろを見やると、上下逆さまになった相田がすっかりニヤけた顔をしていた。
「うるさいぞ相田」
「へへへ、人を雑魚呼ばわりするからだ」
「うるさいっての……」
首がいたくなって来たので、元の体制に戻って体ごと後ろにむける。最初からこうしとけばよかった。
「でも、襲われたんだろ?
もしかしたら最近の事件ってのは案外その子のせいかもしれないなぁー」
「だとしたら逃げ切った僕すごくないか」
「ああ、生徒会長かっこよかったらしいな、俺も見たかったよ」
「僕の心配をしろよ」
さっきからジロジロ見られてるのもきっとそれ絡みのことなのだろう。貴族は辛い。
「お前人からの評価とか気にするクチだったのかよ?悪い悪い」
「ぶっちゃけ、どうでも……」
首を振ってから続ける。
「どうでもいいようなもんだけど、昨日の状況はかなりわけわかんなかったんだぞ。
見ず知らずの女に、いきなりマオウサマだなんて言われてみろよ。こわいぞぉ」
「まじ?お前魔王だったのかよ!
すげー!」
「だろ?泣いちゃうぜ僕。せめて魔術科のやつらに言えってんだよ全く」
「で、可愛かった?」
いわれて、思い返してみる。
結構レベルは高かったような気がするが、電波すぎたせいてほとんど覚えていない。
「髪と目の色がアレだったからかなり魔力高いんだろうな。銀髪で目がギラギラしてた。」
そう返すと、相田の顔が心なしか青ざめたような気がした。
「お、おい、それってもしかしてドーリオンの交換学生の……」
しかしながら、僕は最後まで相田の言葉を聞くことが出来なかった。
なぜなら、ドアをぶち壊すような音をたて、昨日の電波が教室に飛び込んで来たからだ。