1話
1話
唐突な話だが、僕には『ナレーションをする』と言う癖がある。例えば、学校への道のりの途中に、
ーー僕の名前は……といった調子に自己紹介してしまうのだ。
ちなみに今の語りもそうであり、特に意味は無かったりする。
そして、これからのこともきっと意味なんてないのだろう。そんな予感がした。おわり。
『……というわけで、皆さんも、くれぐれも気をつけて帰るように』
ぼんやりと考え込んでいるうちに、生徒指導の話が終わったようだ。
ゆるゆると立ち上がり、号令に合わせて礼をして、再び座り込む。
すると、隣に座っていたクラスメイトが話しかけてきた。
「なあ、最近やけに物騒じゃないか?」
「あー、聞いてなかった。悪い」
「お前な……この前ニュースにもなってたじゃないか。ほら、学園の魔術師とか結界とかが襲われてるっつーやつ」
「それか。お前は弱いから安泰だな。別に気にすることないだろう」
苦虫を噛み潰したような友人の顔に、まあ僕もだけどな、と付け加え、ぞろぞろと退場する一年生たちの尻に視線を注ぐ。もうすぐか?
「でもよ、有村んとこは学園絡みの家じゃなかったか?やばくねぇの?」
「そうだなあ……危ないなあ……」
そう上の空で答え、また立ち上がる。やっと二年生の番が来た。
「大丈夫だよ。きっと」