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ナイトオブブルーローズ  作者: 陽山純樹
第1話

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終わらない事件

「西白君、いる?」


 声は事務所にいる女性だった。はいと返事をすると、彼女はドア越しに「お客さん」と告げた。


「誰ですか?」

「九秋研究所の三石という人」


 達樹は驚いた。なぜこんな所に重役の人物が来るのか。


「西白君に会いたいそうだけど」

「……わかりました」


 応じると、女性が遠ざかる足音が聞こえてくる。達樹はそれから手紙やGPSを引き出しにしまい、部屋を出て寮の入口近くに赴く。

 寮の玄関に、男性が立っていた。


「あなたが西白君か?」

「はい」

「九秋研究所の三石だ。君に関する事情は、立栄君から伺っている」

「……どうも」


 達樹は受け答えしつつ彼を観察。彼は以前着ていたスーツ姿ではなく、白衣を着ていた。


「すまないな、少し話したいことがあって」

「あ、そうですか……場所を移しますか?」

「いや、ここでいい」


 彼は手で制すと、話しを始めた。


「謝罪をと思ってね。事件に巻き込んでしまい申し訳なかった」

「ああ、いえ……元はと言えば、自分から関わった部分もありますし」

「だが、君自身青井に利用されていたとなれば、話が変わってくるだろう?」

「……利用?」


 達樹が聞き返すと、三石は深く頷く。


「君が青井から頼まれたペンダントについては、実際に盗まれたらしい。彼は私や警察、そして立栄君が捜索している情報を聞きつけ、慌てて探し始めた。そこで目を付けたのが君だった」

「俺が……ですか?」

「魔法学科の人物かつ、君の持つ増幅器のデータサンプルを取りたかったのだろう。そして君は青井からGPSを渡されてペンダントを手に入れた」

「あの、だとするとあの黒い騎士みたいな奴は?」

「それもまた青井の差し金だ。おそらく立栄君を始末したかったのかもしれない。もっとも、彼女の能力ならば取るに足らない存在だったようだが」

「確かに、そうですね」


 達樹は以前の戦いを思い出しつつ返答。続いてペンダントのことを尋ねる。


「それで、ペンダントはどうなったんですか?」

「力を抜いて無事廃棄したよ。今はもう回収処理を行い、廃棄施設のどこかで他のゴミと一緒になっているはずだ」


 ――先ほどのGPSの座標を思い出す。彼はそう言うが、実際はまだ九秋の中にペンダントがある。


(……ん、まてよ……何でGPSは九秋研究所を示している? GPSの方が何か別の物に反応しているとかか? そうでなければ、目の前のこの人が嘘をついていることになるけど……)


「どうした? 何かあったのか?」


 三石が問い掛ける。達樹は慌てて姿勢を正し、誤魔化すように答えた。


「ああ、いえ。すいません。少し、頭の中を整理するのに時間が……」

「無理もない。すまないな。いきなり訪ねてしまい」

「いえ……あの、何かあればご協力しますけど」

「君の手を煩わせるようなことにはならないさ。安心してくれ」


 三石は柔和な笑みを浮かべた後、さらに続けた。


「それと増幅器に関してだが……ひとまず君が持っていて構わないよ。今回の事件に対する侘びのような部分もある」

「わかりました。ありがとうございます」

「礼には及ばない。それで、少し訊きたいのだが……君が持っていたGPSについて」

「GPSですか」

「ああ。どうやら青井本人がそれを持っているみたいでね。さらに言えば商店を調べてもペンダントの設計書等が出てこなかった。それを探し出さないと今回の仕事が終わりにならないわけだ」


 三石の解説に、達樹は青井から届けられた資料を思い出す。あれが間違いなく設計書なのだろう。

 そして改めて考える。目の前の相手に本当のことを話すべきかどうかを。


 沈黙すると、三石は柔和な笑みを伴いさらに語る。


「ああ、それほど恐れなくてもいい。基本的にペンダントの研究に従事していた人物しか解読できないようなややこしい代物だからね。ただそれを野放しにしておくのはできないため、こうして私が動き回っているわけだ」

「……すいませんが、その辺はよくわかりません」


 達樹は咄嗟に嘘をついた。三石は小さく頷くとポケットに手を突っ込み、何かを取り出した。名刺のようだ。


「わかった。何かあったらここに連絡してくれ」

「はい、わかりました」


 了承すると、彼は踵を返し寮から出て行った。残された達樹は、黙ったまま彼の姿を見送る。

 やがて彼の姿が消えた後、名刺をポケットにしまった。


「さて……どうするか」


 内心頭の中がごちゃごちゃになっていた。一体何が正解なのだろうか。


(……待てよ。青井さんの手紙には矛盾を追及しろと書いてあったな)


 達樹は首を傾げつつ部屋に戻る。引き出しからGPSを取り出し、改めて確認。メモ書き通り九秋の研究所を指し示している。


「これが壊れたとかいう可能性もあるけど……」


 達樹はどうしようか思案する。さすがに一人では解決できなさそうなので誰かに協力を仰ぐ必要があるだろう。


「……ここは、青井さんの言に従ってみるか」


 どちらにせよ、三石の言動に引っ掛かるものを感じていた。そのため信用できる立栄に頼るしかないという結論に至る。

 達樹はGPSの起動を停止し、再度引き出しにしまう。


「とりあえず笹原さんに相談しよう」


 そう結論付けて部屋を出た。直に夕食の時間であるため、早めに食堂へ行こうと考えたのだった。






 達樹は翌日、事情を話すべく学校に向かったのだが――用がある時は会えないのが常なのか、遭遇できない。


「うーん……番号でも聞いておけばよかったかな」


 昼休みになって、達樹はいつものオープンカフェの一席に座り、どうしようか悩んでいた。

 もし――青井が何かしら濡れ衣を着せられて追われているとすれば、あまり悠長なことはしていられない。とはいえ立栄と無理に話をしようとすれば親衛隊の人間に阻まれるし、何より彼女自身がそれを望まないだろう。


「笹原さんがいてくれればいいんだけど……」


 昼にここに来ないか期待をした達樹だったが、こちらもハズレだった。

 怪我をしていて立栄の家に滞在はしていたが、携帯番号など交換しているはずもないため、当てもなく探すしかない。


「とはいえ、普段の行動なんて何をしているかわからないからな……」


 呟いていると、優矢が来た。彼はやや眉間にしわを寄せ、前の席へと座る。


「ああ、優矢……どうした?」

「いや、少し」


 言いにくそうに返答する。達樹は首を傾げ、即座に聞き返す。


「何かあったのか? 昨日の電話と関係ある?」

「……まあな。青井さんの姿が見えないというのは昨日話したな?」

「ああ」

「気になって昨日夕方くらいに青井商店へ行ったんだ。そしたら変な奴がいてな」

「変?」

「ああ。真っ黒い中世の騎士みたいな奴」

「……は?」


 思わず聞き返した。それは間違いなく以前戦った漆黒の騎士だ。


「いきなりこっちに突っかかって来たんでとりあえず追っ払ったんだが、何か良くないことがありそうな気がしてな」

「大丈夫だったのか?」

「お前と違って訓練はきちんと受けているからな」

「……俺だってきちんと受けていたよ。実を結ばなかっただけで」


 達樹は少し声のトーンを落としつつ答えた。対する優矢は苦笑する。


「とにかくそいつと出会って……そういえば、見かけた最中変な魔力が感じられたな……まあいい、その話は今度にしよう。とにかく、その後いきなり呼び止められた」

「誰に?」

「ほら、以前立栄さんの近くにいた男性で、九秋重役の人」


 達樹は「ああ、思い出した」と適度に返しつつ、考えた。おそらく達樹を訪問した足で、彼は商店へ向かったのだろう。

 考えていると優矢は一度肩をすくめ、話を続ける。


「俺と入れ違いに、その人は商店に入って行った。少し気になったけど、外にいても怪しまれるだけだから、退散した」

「そうか」


 青井の足跡をたどるのにその場所へ赴くのはわかる。しかし、漆黒の騎士が現れていたのが気に掛かった。


「なんだったんだろうな……あの人……」

「探していたんじゃないか? 青井さんを」

「そうかな」


 優矢は口を閉ざした。何か言いたそうな様子ではあったが、彼は一度息を吐くと話題を変えた。


「ところで、達樹」

「ああ」

「後ろの子は誰だ?」


 問われて、達樹は振り返る。そこには――


「あれ?」


 笹原がその場にいた。彼女は達樹の様子を窺っている様子で、目が合うと小さくお辞儀をされた。


「何かあるみたいだな。俺は退散しよう」


 言うや否や、優矢は席を立つ。


「遊びはほどほどにしておけよ」

「そんなんじゃないって……」


 達樹の返答に優矢は軽く手を振り、別の席へ移った。

 笹原は小さく「すみません」と声を上げつつ、対面の席に座る。


「少し、ご報告が」

「はい」

「青井神斗さんは見つかっていませんが、昨日時点でペンダントが破棄されたとのご報告が。舞桜も立ち会ったそうなので、間違いないでしょう」

「それをわざわざ?」


 彼女は頷いた。丁寧な報告に達樹は少し困惑する。


「最終的な結果だけでいいですよ?」

「知りたいだろうと、思いまして」

「……そうですか」


 彼女の返答に、達樹は苦笑した。確かに一刻も早く事の結末を知りたいと思っている自分もいる。


「ともかくこれで、後は主犯者の逮捕のみとなりました。警察の方々も動いているようですし、心配はいらないでしょう」

「そう、ですか」


 達樹はふと、GPSの件を思い出す。立栄自身が廃棄に立ち会っていたのならば、研究所にあるのはおかしいはずだ。すぐにポケットからGPSを取り出す。

 事情を知らない笹原は、取り出したのを見て、声を出した。


「それは?」


 達樹は問い掛けに応じず、機械を起動させ画面を確認する。座標はX座標がほんの少し動いた程度で、やはり研究所内にある。


「西白さん?」

「……これは、昨夜青井商店から届けられたものです」


 達樹は友人の彼女なら大丈夫だろうと、話を始めた。

 それを聞いて、笹原は首を傾げる。


「青井商店から?」

「ペンダントの位置がわかる道具です」


 ――笹原も事情は聞いているのか、はっとした表情を浮かべた。


「道具……それが三石さんの話していた物ですね。そのことを三石さんには話しましたか? 舞桜の話によると昨日あなたを伺ったそうですが」

「少し、疑問に思った点がありまして」


 達樹は正直に、このGPSが示す位置の説明をした。すると彼女はおもむろに携帯電話を取り出し、何かを確認し始める。


「どうしました?」

「その座標が本当に九秋を示しているのか確認をと思いまして。貸して頂けませんか?」


 達樹は頷きGPSを渡す。そこで彼女は「あれ?」と呟いた。


「表示、消えたんですけど」

「え?」


 彼女がGPSを差し出す。画面がブラックアウトしていた。再びそれが達樹の手に渡ると、画面が再起動して再び表示される。


「あれ? おかしいな」


 達樹は呟きながら再び彼女へ渡す。すると、


「……やっぱり、消えますね」


 返答が来た。


「どうやら、手に触れた魔力によって使用者を判別し、起動するみたいです」

「え? じゃあ俺は何で?」

「これを最初起動する時、魔力を注ぎ込みましたか?」

「はい。説明書に書いてあったので……って、事は」


 達樹に再びGPSが返される。やはり再起動して画面が表示。


「これ、俺にしか使えないと?」

「そういうことになりますね」


 彼女は困ったように達樹へ告げた。


「説明書には解除の方法とかありましたか?」

「文面を見る限りは、使い方しか」

「そうなると機械を分解して、魔力を読み取る箇所を交換する必要があります……でも量産品ではなく自前の機械ですからね。解体したら二度と使えなくなる可能性も考えられます」

「となると、どうします?」


 不安げに尋ねる。彼女はしばし思案し、ひとまず話を戻す。


「とりあえず、今の座標だけでも確認します。画面が見えるようにしてくれませんか?」

「はい」


 達樹は頷き、彼女へGPSを向けた。それを見ながら彼女は携帯でいくつか操作をする。時間にして三分程。彼女は小さく息をついた。


「市販のGPSと同じ座標軸のようですね。確かにこのGPSは九秋を示しています」

「とすると、まだペンダントはここにあると?」

「このGPSが正しければ、そうなります」


 二人は互いに目を合わせ――今度は達樹が口を開く。


「この機械を信用するか、それとも信用しないか、ですが……」

「青井神斗が機能不全となった機械をわざわざあなたに渡す理由はないと思います。あなたの言う通り、設計書のついでに渡したのならば一応理由はありますが……どうにも不可解ですね」

「……じゃあ俺、どうすればいいですか?」


 問うと、笹原はGPSと達樹の顔を交互に見た後、答える。


「一度、あなたが受け取った設計書とかを確認したいのですが」

「あ、はい。わかりました。という事は寮に?」

「私が寮へ行くのはまずいでしょうから、ここで落ち合いましょう。時間は放課後でいいですよね?」

 話は決まった。他の資料をみて確認するつもりなのだろう。


「わかりました」


 達樹は快く了承した。






 昼休憩の後、すぐに寮へ足を向けた。その日授業が午前中で終わっていたためだ。


(部屋で資料を眺めていれば何か……望み薄だろうけど)


 ――三石が来た後確認したが、資料には複雑な数式が書かれていた。理解できる可能性は皆無に近いのだが、ここまで関わってしまった以上、何か役に立ちたいという思いがあった。

 だから念の為資料を検証するくらいならば、やっておくべきだ。


「でも、資料を渡したら終わりだろうな」


 笹原もまた三石の動向に怪しんでいる様子なので、彼女を通して立栄も動くだろう。立栄一人に全てを背負わせるのは忍びないが、無理矢理介入しても迷惑になるというのも、明瞭な事実だ。


 寮へと戻り、無言のまま部屋へと帰る。寮内は人気がほとんど無く、物寂しい。達樹もこんな時間帯に戻ってくることは少ないため、却って新鮮さを感じる。

 部屋の前に辿り着き、ドアノブに手を掛けようとする。その時、部屋の中からコトン、という物音がした。


(掃除中かな?)


 人によっては、寮に勤める清掃担当の人に部屋の掃除をお願いする。達樹の場合はそれだった。

 特に抵抗なくドアを開ける。そして中にいる人へ声を掛けようと口を開く。


「あ、ごくろうさまです――」


 そこまで言った時、相手と目が合った。

 いや、それは合っていたのかわからなかった。だが顔と思しき部分が達樹を見ているのは、少なくともわかった。


 以前会い見えた、漆黒の騎士。


「こいつ……!?」


 声を発した直後、騎士が突如襲い掛かる。直後達樹が行動するよりも速く、増幅器が作動した。騎士が放った手刀を、達樹の腕が即座に弾く。


「このっ――!」


 すかさず反撃に出る。騎士がさらなる攻撃を繰り出す前に、拳を放つ――

 攻撃が騎士のみぞおち辺りに入ると、吹っ飛ぶことすらせず消滅した。


 息をつき、達樹は部屋を見た。朝部屋を出た時と比べ物がやや乱雑に置かれている。おそらく、騎士が漁っていたためだろう。


「俺の部屋に来て探し物をしていたのか……何でまた……?」


 呟いた時、嫌な予感がした。

 もしかすると騎士を操る相手は、自分が青井から資料やGPSを渡したのだと気付いているのかもしれない。そしてなぜ気付いたか――


「まさか――」


 昼休みの笹原との会話を聞かれたのか。達樹はもっと警戒しているべきだったのではと後悔する。もしそうなれば自分の失態だ。もっと周りを見て話をすべきだった。


「ともかく、こんなところにいるとまずいな」


 また襲われるかもしれないため、一度学園に行こうと決めた。一目が多い所で騎士が現れるようなことはないだろうというのが、その根拠だ。

 達樹はポケットを探り、引き出しの鍵を取り出す。中を開けると資料は無事だった。それらを鞄に詰め込み左手に提げた。そして一目散に部屋を出て、寮を飛び出す。


 とにかく、一度笹原に会う必要がある。


(とはいえ、今は授業中だよな……)


 どうしたものか、と考えているとふいに後方から気配がした。慌てて振り向くと、そこには――


「おい、ずいぶん無茶をする――!」


 漆黒の騎士が一体。達樹はこんな白昼堂々と思いながら相手を見据える。

 思わず誰かが来たらどうするんだと思い――優矢の言葉を思い出した。


(そういえば、優矢が言っていたな。見かけた時変な魔力が漂っていたと……もしかすると、人払いの魔法か何かが発動しているのか?)


 もしくは結界か何かで少し特殊な空間を作りだすのか――推察している間に、騎士が突っ込んでくる。先ほどの騎士と同様素手。とはいえ、先ほどより動きが素早い。

 騎士が迫り、手刀が放たれる。達樹は左手の鞄に気を掛けながら回避する。さらに放たれる手刀を、後退と自動迎撃により防ぐ。


(片腕だけだとキツイな……!)


 達樹は一瞬躊躇したが、やむなく鞄を地面に落とした。そして突きこまれた手刀を左手で弾くと、一気に懐へ潜り込む。


「はっ!」


 掛け声と共に達樹は拳を振り上げた。すくい上げられた拳は相手の胸部へ当たり、大きな穴を開け、消滅させる。

 よし――達樹は鞄を手に取ろうと手を伸ばす。だが、そこに置いてあったはずの物がない。振り向くと、達樹の鞄を手にした新たな騎士の姿。


(これが狙いか――!)


 一体は陽動で目的は鞄――騎士が踵を返し走り出すと同時に、達樹もまた走る。

 騎士の速度はかなりのものだが、増幅器を身に着けた達樹の方が一歩上だった。


 間近まで迫ると、即座に拳を振り抜いた。逃げる騎士の背中に直撃し、塵と化す。

 達樹はほっと息をついてから鞄を拾うと、周囲から子供のはしゃぐ声が聞こえた。


 目を向けると公園の方で幼稚園ぐらいの子供が数人で遊んでいた――そこでようやく、騎士が何をしていたのか悟る。


「やっぱり……人払い系の奴か」


 ――達樹は元々の魔力が低いため、優矢のような違和感に気付けなかった。だがさすがに一定空間を移送するような大掛かりのものは、気付く。


 だから達樹は騎士が一般人に対し魔法を使用することで――人が来ないようにしていると理解した。


「子供達が全然反応していないってことは、防音機能もありだな」


 さらに呟き納得しながら、達樹は不安を覚えた。

 学園に行けばそれこそ魔法使いだらけなので今回のようにはなりにくいだろう。しかし魔法を使っていたとしても、白昼でこんなリスクを冒す以上、何があるかわからない。


「早く、笹原さんと合流したほうがよさそうだな」


 達樹は呟き、増幅器の力を活用し走り出した。

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