表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

境界知能の彼女と向き合う『彼女の人に嫌われる喋り方』

作者: ぽぴ
掲載日:2026/01/06



 彼女は人に不快感を抱かれる声をしている。


 不快感を抱かれる声とは、話す言葉の節々に濁った「あ゛」が入る不安定な声質のことだ。ホラー映画で、お化けが「あ゛あ゛あ゛」と言っているのを聞いたことはないだろうか。


ああいった、小さな破裂音が彼女の話し言葉の節々に入ってしまう。


 その上で彼女は、機械の棒読みのように一定のトーンで話す。ホラー映画で使われるような「不快な音」と機械のような「棒読み」が合わさった彼女の喋り方は、多くの人から不快感を持たれてしまう。


彼女はそれで傷ついてる。


 私たちは生まれたときから、トーンや表現方法といった『喋る技術』を、意識せずとも半自動的に学んでいく。


しかし、彼女はそれができていない。


おそらく、彼女の場合は、情報を受け取った際の処理速度の遅れが関係している。


 彼女の処理速度は63と、部分的ではあるが知的障害に相当する。人の言葉を聞き取ることで精一杯らしく、相手の表情や言葉のトーンといった、言葉以外の情報に意識が回らず、『喋る技術』を習得できていないのだろう。



 そこで試しに、彼女に「呼吸を意識して話してみて」と言うと、話し言葉の節々から「あ゛」が消えるようになった。どうやら呼吸の使い方に癖があったようだ。


 私たちも、息が続く限り「あー」と言い続けると、最後には「あ゛ー」といった音に変化すると思う。それを踏まえると、彼女は話すときの呼吸の使い方が学習できていなかったのだろう。


 次は、棒読みになってしまうことだが、「関西弁で話してみて」と言ってみたところ、かなりマシになった。


 関西弁は特徴的なイントネーションで喋る。個人的な感覚だが、関西弁は楽器の演奏のような、リズムの良さというのだろうか。話していて楽しくなる言語だと思う。


 彼女はいつもの喋り方だと、「嬉しいよ。→」といった、同じトーンで言葉を話し、語尾も伸ばしがちになってしまう。そんな彼女の話し言葉は、機械的に聞こえ、「人が話しているのに機械みたい」といった違和感を人に与えてしまう。



 彼女が(エセ)関西弁で「嬉しいわ」と話してみると、関西弁のイントネーションが感情的な表現に聞こえるため、格段に嬉しそうに聞こえる。全然、違う。かなり印象が良くなった。



 さて、ここまでで、彼女の「人に嫌われる喋り方」と言うのは、呼吸の使い方と関西弁のイントネーション(メロディ?)でかなり改善できると言うのがわかった。


あとは、「それをどのようにして身につけていくのか」といった話になるが、先のことはまだ分からない。


 とりあえず今は、喋る前にしっかり息を吸って話す練習と、関西弁のイントネーションを何百回、何千回と繰り返して、言葉の表現方法を学んでいくしかないのだろう。


うまくいけばいいな。





【あとがき】


 彼女が課題に取り組むとき、どんなことでも馬鹿にしないように、改めて気を引き締めなければならない。


 人を育てるとき、教える立場にある人間が、まだ成長途中にある人を馬鹿にしてしまうと、その人はできない事を隠すようになり、違う場所で誰かを馬鹿にするようになってしまう。


 できないから取り組んでいるのに、できないと言えば馬鹿にされる。変な話だ。とてつもなく強い憤りを感じる。教える立場にある人間は、内的な感情を排し、機械的な分析によって提示された課題に取り組むべきだ。


中は冷たく、外は温かい。


そのような感情のコントロールが必要だ。 


 自分の心がどれだけ打ちのめされようとも、教えてほしいと願う、成長途中の人を馬鹿にしてはいけない。それは、「この人は教えてくれるだろう」と選んでくれた相手の信頼を裏切る行為であり、信頼関係を重視してきた人類の根源にあるものへの冒涜だと思う。


 特に、自分の子供のような身内には気をつけなければならない。つい気が緩んでしまうから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ