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第19回 とある個室にて その2

『今だ! 甲太!!』


「ああっ!! サンゴォォーーーーービィーーーーーーームッ!!!」


 このスピードで急停止すれば、どれだけ慣性制御しても追っつかない。

 後ろから迫ってきたイダルトゥの進行方向は限られる。

 そこにサンゴーグレートのチャージビームを喰らわせる。真正面から。

 音速飛行しながらのチャージなのでフルパワーの15%。それでもまともに喰らえば、ただでは済むまい。

 サンゴーグレートの額が開き、三つの眼光から輝きの奔流が溢れ出す。


「それは拠点攻撃用だよっ。動く的にはッ!」


 読んでいた。イダルトゥのパイロットは読んでいた。凄まじい制動でチャージビームの射線から身を逸らす。


「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!! 当たれえええええっっっ!!!」


 甲太の脳裏に、孤島の秘密基地で繰り返したビームの練習が甦る。


 ことビームの撃ち方に関しては甲太に一日の長があった。

 ビームが太い一本の線からバラバラに分かれ、十数本もの細いビームの乱射となる。

 分かたれたビームは放射状に拡散し、面としての攻撃となった。

 これをかわす術はない。イダルトゥは蜂の巣となる運命だ。

 だがイダルトゥは向かってくる。

 もはや考えている暇すらないはず。ここで向かってくるということは、すなわちそれが、イダルトゥのパイロットの持って生まれた性分なのだろう。

 パイロットの身体を押し潰さんばかりのGをかけ、ビームの矢嵐をかい潜りながら。

 イダルトゥは片手の拳を突き出し、突っ込んできた。

 その意気や良し。だが物理的なパンチでビームに勝てるものか。

 ビームが何本もイダルトゥの拳に当たり弾け。

 一面が光に包まれた。



「やった…… これでなんとか……」


 なんとか撃ち落とした。

 そう思った甲太の眼前に、ビームの嵐を乗り切ったイダルトゥの拳が現れた。

 ビームを撃ち尽くし、棒立ちとなったサンゴーグレートの前に。

 

 全身のあちこちから煙を立ち昇らせながらもイダルトゥは健在だった。盾にした拳は所々赤熱し焼け焦げ外装が歪んでいたが、本体は無事。


「いやーーーーー!! 凄かった!! エキサイトしたよ!! パワーを集中したパンチでなんとか乗り切ったね!」


 音速で飛ぶときに使っていた機体表面の力場を、片手に集中させたという。甲太は気づいてなかったが、サンゴーグレートが戦闘機の機関砲で撃たれた時も、同様の方法で弾を弾いていたのだ。


『なんということだ……』


 サンゴーグレートの声色が敗北を告げる。こんな声聞いたことがない。


「あ……………………………………………… ────っ!!」


 しばし呆然とする甲太は、我に返ると同時に機体を急いで下降させ始めた。

 眼下の町に逃げ込もうという姿勢。

 だがそれは悪足搔きに過ぎない。一時的とはいえパワーを使い果たしたサンゴーグレートは、焦げ焦げになったイダルトゥから逃れられない。


「上手かった。流石だったよ。拡散させた細いビームだったから何とか耐えられたけど、もう少しチャージしていたら危なかった…… いやお見事」


 そう褒め讃えながらイダルトゥは、するりとサンゴーグレートの背後をとる。


「離せ!! ふざけるな! 死ね、殺すぞ! 爆発させるっ こいつを自爆させるぞっ!!!」

 

 罵りながらロボットをジタバタさせる甲太に、背中にくっついた方のロボットから楽し気な声が聞こえる。


「いやー。それにしてもいい闘いだった! ホント楽しかったし興奮した。あのゾーンに入った感じ、一流アスリートになった気分だよ。まったく、君がこんなにビームを操るのが上手いとはね。 

──まあ、僕ならビームはこう使う」


 バチッと弾ける音が響いたかとおもうと、甲太の周りのモニターが全て暗転しコックピット内も暗くなっていく。


『こうt……』


 サンゴーグレートの声が力なく消えていく。

 代わりに敵パイロットの声が響く。


「しばらくお休み。また会える日を楽しみにしている」


 そして一切の音が止んだ。


「えっ? えっ? えっ!?」


 慌てふためく甲太。コックピット内の照明が暗くなっていき、最後にオレンジ色のぼんやりとした光だけが残った。

 後で分かったことだがイダルトゥは、ビームを極細に絞りサンゴーグレートの回路の重なった部分、神経の塊のようなとこを撃ち抜いたのだ。

 このタイプのロボットの構造を、熟知しているからこそ出来る技。


「どうする気だ!! おいっ! どうする気。どうする気だよお……」


 そう哀れっぽく語りかける甲太の声に、耳を傾ける者は誰もいない。


 それから丸一日ほど放置された。

 その間、機体が何ども大きく傾いたり激しい振動に見舞われた。

 その度に甲太は座席から投げ出され、体がバウンドして痛めつけられた。そのうえ激しい酔いにも襲われる。

 そうした苦しみに悲痛な声を上げる甲太だったが、時に一転して何の音も振動もなくなり、静寂に包まれる時間がある。

 そうなれば沈黙の空間に閉じ込められた甲太は、頭がおかしくなりそうな感覚に襲われ、頭を抱え苦痛に打ち震える。

 そんなふうに何百時間にも感じる1日が過ぎていった。



 くたびれ果て意識朦朧とし、座席に体を預ける甲太。

 吐瀉物で、服は汚れきっている。

 これほど心身とも消耗し果てたのに、それでも体は生理活動を続けるもので。     

 喉が渇いてきたので、コックピット内の収納に入れてあったペットボトル飲料を飲む。

 すると当然、トイレにも行きたくなる。

 しょうがないので空いたペットボトルに小水をする。

 レジ袋を広げ大きい方をを済ませ、後はおしぼりティッシュで拭いてまとめておく。

 かように、懸命に被害が広がらないよう努めていたのだが、ある時小水をしている最中に激しい揺れに襲われ、ペットボトルいっぱいのそれを、スーパーロボットの操縦室にぶちまけた。

 おまけに仕舞っていた大きい方も転がり出て、小水たまりの床に散らばった。

 臭気が立ちこめる薄暗い部屋の中で、甲太少年は惨めだと思う気力すら無く、呆然とするばかりであった。



 さらに時間が過ぎ。

 先程大きく揺れたのを最後に振動は止んでいた。その前にエレベーターで下に降りるのと似た感覚があった、どこかへ着陸したのだろう。

 サンゴーグレートが健在だった頃は、言うだけでコックピットの入り口は開閉できたのだが。

 もう何度も非常用の開閉ボタンはないか探し回ったが見つからない。

 静寂があまりに長く続くと、不安が、まるで油虫(ゴキブリ)が体を這い上るように湧き上がってきて、恐ろしさに居ても立っても居られなくなる。


「だれか…………」


 誰でもいいお願いだから何か言ってくれ。音を聞かせてくれるだけでもいいんだ。

 そんな声が届いたように、前面から叩くような音がした。

 びっくりしつつもホッとした甲太だが、音がどんどん大きくなっていくので再び怯えに陥る。

 大きなショート音と共に閃光が室内を照らした。前面の下の方からだ。

 空気の流れを感じて、外から穴を開けられたと察した甲太は、慌てて座席シートの後ろに隠れ、そこから様子を窺う。

 光が差し込み、穴の箇所が分かる。

 その穴の外で何かが動いた。どうなることかと凝視する甲太。

 そこで意識を失った。


 気がつくと、病室のような部屋のベッドに寝かされていた。



 

(あれは催眠ガスを使われたのか…)


 ベッドの上で、その時のことを振り返る甲太。

 気が付くと汚れものにまみれた体が綺麗になってて、患者用の服に着替えさせられていた。それに関してはありがたい事ではあったが。

 けれど腕には採血の跡が残り、頭や胸には何か検査の器具を付けた後らしい、べたつきがあった。

 意識がない間に弄くり回されたと思うと、甚だ不快ではある。

 しかしそれも、日にちが経った今だからこそ感じることで。

 この部屋で目覚めたばかりの時は、深い絶望によって不平不満を考える暇などなかったものだ。

 そんな絶望生活も一月続くと、次第に終わりに近づいてくる。

 若く成長中の甲太の精神は、己がいつまでも落ち込んでいることを許さない。

 しかしこれまでの事を振り返れば、また絶望に陥らざるえない。

 なので。


(洗脳されていたんだ…… そうだ。宇宙人が送り込んだ侵略ロボットに洗脳されたか操られていたから、あんなことしてしまったんだ。あんな… とんでもないこと……)


 それが甲太が正常な精神を取り戻すためのロジックだった。


 自分のせいではない、責任は全てあの山で出会ったロボットにある。


 かなり無理があるが、そうでも思わないとまともな心情でいられない。自分自身さえ信用できなくなったら、これからどうやって生きていけばいいのか。

 これまでの、ロボットと過ごした日々を否定するのは、痛みを伴うものではあったが、前を向くにはそう思うしかなかったのだ。


(なにがサンゴーグレートだ。変な名前付けさせやがって)


 少々論理に破綻をきたしているが。


 そういうわけで、この部屋に来てから一月が経った。

 ただ、元気が戻るにつれ圧倒的な暇さと、この先の不安が押し寄せてくる。


(もしかして一生このままここから出られないんじゃ……)


 そんな恐れが度々(よぎ)る。

 そういう時は、無心で窓から外を見てやり過ごす。

 が、時折勝手に窓の透明度が失われ外が見えなくなることがあった。

 故障か不具合か、と思ったが、どうやら中庭で何かが行われているときに、外部からの操作で、この部屋から見えないようにしているみたいだった。そうなるとこちらからの操作は受け付けない。


(・・・くそ・・・)


 実に不快だが、これが自分の立場なんだと噛みしめるしかない。

 もう一つの暇つぶしがテレビ。

 二つしかチャンネルがないと言われたが、どちらも英語の学習番組しか流れていない。

 一つは完全に子供向けのもので、見るからに教育番組といった感じ。もう一つは大人が出てくるが、文法やら決まった定型文やらを解説する、これまた英語学習だけの編成だ。

 時間によっては、日本人向けの学習番組もあるが、基本的には英語圏の人向けの番組ばかりで、いきなりこれで学習しろと言われても難しい。

 外のことを何かやってないかと観ていても、時事の話題は一切出てこない。

 あの後、日本がどうなったか知りたくても、テレビから得られる情報は全く無かった。


(日本のテレビもつまらなかったが、それを遥かに上回るな……)


 詰まらないし英語で内容が分からないから観たくはなかったが、ここには娯楽がこれしかないので、しょうがなくBGM代わりに流しておく。少なくとも寂しさは紛れる。


 そんな空虚な生活で、意外にも一番目にしているのが、絵と花だった。

 そういうモノに全く興味がない甲太だが、気が付くとそっちを見ていることが多い。ただ壁や天井を見ているよりはマシだから、ではあるが。

 見ていると、ふと家でのことを思い出す。母親は旅行に行くたびに絵とか小物だとか買って飾っていたな。

 それを甲太は無駄遣いだと貶していたが、いざ家から遠く離れて思い出されるのは、あのゴテゴテ物が飾られた室内の風景であった。


(どうしてるかな。怒っているかそれとも心配してるか……)


 家族の顔が浮かぶ。再び会える日は来るのだろうか?


 そんなこと考えていると、無性に人恋しさが募ってきた。

 いくら陰キャの甲太でも、一ヶ月で一回しか人に会っていないとなれば、それはそうなる。

 一回。あの一回。


(……あいつ。カールだっけ……)


 あの時、急にやって来ていろいろ喋り散らしていったあいつこそが、忌まわしき戦いの記憶の相手。イダルトゥのパイロットだったのか。

 ただのヘンなガイジンかと思ったが…… あの戦いにおいて甲太を心底震え上がらせた、冷徹でいてなおかつ心底戦いを楽しんでいるようなヤバすぎる敵のパイロット。


(また来るのかな)


 また来たら、どんな顔して会えばいいのか分からない。

 勝者と敗者。向こうは内心嘲笑うだろう。こっちが何をやっても。


 おやおや敗者が意地張って反抗してるよw とか。おやおや負け犬が必死に尻尾を振って媚び売ってきてるよwww となるだろう。


 反抗しようが迎合しようが、一度負けた以上は下に見られるのは避けられない、終生屈辱を与えられる。

 かといって「もう一回勝負しろ!!こんどは俺が勝つ!!」なんてのは絶対無理。あんな怖い思い二度とごめんだ。


(だけど、なぁ・・・)


 二度と来ないで欲しい、ということでもない。

 あのノリ。装っているだけかもしれないが、それでもあのノリはウザくはあるが、閉じ込められてる孤独の寂しさを消し飛ばしてくれる。

 年が若いのもいい。今度から中年のオジさんかオバさんが君の世話をします、となったら…… 想像するだに気まずそう。あんなに日本語上手いヤツ滅多にいないだろうし。


(…ホントに何時までこの生活が続くんだ?)


 退屈で気が狂いそうになりつつある。運動は嫌いだったが散歩さえ出来ないとなると、本当に体が腐ってくる気がする。

 ある時、急に死刑を宣告されるとか、人体実験に付される、というのも何度も頭を過ったが、考えてもしょうがないので頭から逸らすことに努めていた。

 かくして甲太はあの陽キャパイロットに、断じて会いたくはないが再来を待ちわびてもいる、そんなツンデレ的心持ちだった。




「よ~~ 元気してるか! 調子はどうだい!」


 十年来の親友かというノリで部屋に入ってくる件の人物カール。ドアのノックと開けるののタイムラグが一秒以内だ。

 甲太はほんのちょっぴりだけあった、再訪を待っていた気持ちを、完全に完璧に消し去った。

 前回の訪問から半月。甲太がこの場所に放り込まれてから大体一ヶ月が経っていた。

 それにしてもウザイ奴だと分かっていたが、ここまでウザかったっけか? 

 あの戦いを反芻(はんすう)している内に、なんかスゴい奴だったように美化されていたのかもしれない。


 そんなこと思われているとも知らず、部屋にズカズカ入ってきたカールは、隅にあった折り畳みの机と椅子を広げて。


「今日は良いもの持ってきたぞ! 何とノートと鉛筆だ。これで勉強するなり内なる才能をぶつけるなりするがいい!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 後々考えると、喉に詰まらせる紙と急所を突ける鉛筆、どちらも自殺の危険がある者には与えられない品だ。その危険性がないと認められたという事ではあるが。

 この時は。


(人をおちょくるのもいい加減にせえよ・・・!)


 腹立たしく思う甲太だった。


 その後は天気の話題から、食事の話題、日本食の話題、米国の似非(えせ)日本食レストラン、最近の物価高、給料の話、もっといい仕事はないか、等々、目まぐるしく話題を連鎖させていく来客。

 時々英語を交えながらも、よくこんなに日本語を知っているなというぐらい、そのボキャブラリーは溢れ出す。もしかしたら甲太より知ってる日本語のワードが多いかもしれない。

 その垂れ流される言葉の奔流を、受け止めることなく無視し続ける甲太。

 口数の多い外人というだけでも抵抗があるのに、こいつは自分を完膚なきまでに打ちのめしたロボットバトルの勝者だというのだ。

 なんかコンプレックス的なものを感じてしまって、言葉を交わすのを拒否している。


(誰が話すか。こんなヤツ……)


 コミュ障をぶり返した甲太。ベッドの上で半身を起こしたまま、時おり、勝手に喋り倒しているカールさんの横顔を、チラと窺うばかりで押し黙っていた。


 どんな話題の流れからそうなったかは定かでないが、カールはこんなことを言い出した。


「そういえば君の学校にも、うちの組織の人間が聞き取り調査に行ったんだよな」


 ピクッとなる甲太。猫ならば耳だけ動かして相手に向けている、そんな状態。

 なんでもカールが居る組織の人員が、日本政府の許可を得たうえで、本当の身元は隠して(ロボット事件が児童に与える心理的影響を調査する国連の調査委員と称して)、甲太の高校の生徒たちに話を聞きに行っていたのだという。


(な、なんてことしやがるんだ・・・)


 無言・無表情を装う甲太だが、その体はドッと熱くなっていた。

 半分戻る気がなかった筈の学校であっても、同級生の評判というのは何故か無性に気になるもので。


「その報告書を読ましてもらったんだけどね。その中で面白いこと言う子がいてね。ハナサキ君と言ったかなぁ」


 言ってる途中で、軽く笑いだしてしまってるカール。


(ええっ!!)


 甲太の方は知っている名前が出てきたものだから、内心飛び上っていた。体は動かさないように努力するが、目や指がせわしなく動きだす。

 

(それで花咲の奴がなにを言ったんだよ!!)


 一刻も早く知りたい甲太はついに視線を、ノートに落書きしながら話すカールの横顔に釘付けにする。

 それに気づかずカールは笑いながら。


「いやなんでもね花咲君のいう事には…… あっ、夕飯ビーフとフィッシュが選べるんだ、どっちが良いか聞いたっけ?」


「ビーフ!」


 甲太が言い放つ。そんなことどうでもいいんだよ! 早く花咲が何を言ったか聞か・・せろ・・・・・・・・・


「あっ」


 言ってから気づいた。ダンマリを決め込んでいたのに、つい……

 その様子をニコニコしながら眺めるカール。いつの間にかこっちを向いてる。


「花咲君が言うにはね。やっぱりコウタ・アカイデは宇宙人だったんですか!? だって。うちの職員をMIBの人間か何かかと思ったみたい」


 花咲のクッソどうでもいいコメントを聞かされて甲太はうなだれる。顔が熱くなる。

 恥ずかしい…… やられた…… 狙ってたのか……


(オレに喋らせるために)


 計算ずくか。確かにそうだ。

 学校の人間に話を聞いたんだったら、甲太の家族からも当然聞いているはずだ。

 だが家族の話をすれば、甲太の方も緊張して身構えてしまって、上手く言葉を引き出せないかもしれない。

 それで見るからに浅い付き合いの花咲という存在に目を付け、そいつの話題で甲太を釣れるか気配を窺っていたのだろう。

 甲太の方も花咲だからと、深く考えずに話を聞きたがった。そこを突いた。

 そしてまんまと釣られたのだ。

 最初からこうするつもりだったとすれば、このカールという人間は真に食えない奴であるようだ。



 微笑みながらこちらを見ているカールの前で、恥で身を焦がす思いの甲太だが。


「……いつからだよ」


 仕方ないので、これを機会に聞きたいことを聞くことにした。




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