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逃げる元王女とそれを追う第3皇子の物語  作者: 月迎 百
第1章 ハルキ ~シェルターからの脱出と亡国の王女~ (ハルキ視点)
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2 パルシェ村

異世界物です。

どうぞよろしくお願いします。

 ラクシュに揺すられて起きると、岩を動かし横穴から出て、岩を元に戻す。


 岩山の外に出ると、ラクシュの様子がよくわかった。


 前にいた『施設』、ラクシュはシェルターと言ったが、施設には女の人から人気のある男の人が何人かいた。


 身体が大きくて力持ちの人。

 見目が整っていると言われる、女に似ているきれいな顔をしている人。

 施設内で役職について権力を持っている人。


 ラクシュは見目が整っている人の仲間みたいだ。

 剣も大きめで使いこまれていて、身体はそこまで大きくないけど、強いのかな?

 顔は優しそうだけど。


 ラクシュが荷物から布を取り出して僕の頭に巻いてくれた。

 全部巻くのではなく首の後ろが隠れるように後ろ側を垂らすように。

 そして、自分の頭の布の後ろをちょいちょいといじると布の端が出てきて垂らした。


「あいつら、この裏の抜け穴から次の村まで行ったとすると、昼前には戻ってくる。

 少し強行軍になるけど、村まで急ぐよ」


 途中、目印なのか、土があって木が生えている場所や壊れかけてる家の残骸みたいな所の日陰で少し休んで、パンやデーツなど食べた。


 歩いて行くと昼には大きな建物のようなものが見えてきた。


「あれがパルシェ村の門だよ。

 村って言ってもここらでは一番大きくて……、街って言ってもいいかもな……」

 そう教えてくれるラクシュに「そういえば、何で追われてたの?」と僕は聞いた。


「あ、ちゃんと説明してなかったな。

 昨日雨が降ったろ、午前中に。

 その時、人が殺されたんだよね。

 俺疑われてさ、逃げてたんだよね」

「えっ? 

 じゃあ、戻ったら捕まっちゃうんじゃん?!」

 びっくりして言うと、笑われた。


「まあ、アルジュナ……、殺された人だけど……、トラブルに巻き込まれる前に逃げろって言ったし、その後に話した長老がさ、やっぱり、とりあえず逃げろって。

 その間に調べてくれるって言ってたし。

 逃げている間に俺も考えてさ……。

 どうにか自分の身の潔白を証明する方法をさ。

 まあ、何とかなると思うよ」


 門の近くまで行くと、門の周囲は低いけど塀みたいになっていて、だんだん普通の柵みたいな感じだけど、簡単に侵入することはできないようになってるみたいだ。



「ラクシュが戻ってきた! 長老を呼べ!」

 声がして人達が慌てている。


 僕達の対応に出てきた門番が「何で戻って……」と戸惑っている。


「俺、何もしてないもん。

 それに砂漠でこいつ保護したし」

 門番が僕を見た。


「少し話をしたけど、シェルターから逃げてきたようだ。

 村長に保護を願い出る。

 大丈夫。どこも寄らずに村長の家に行くよ」


 門番がどう対応しようか悩んでいる。


 そこへ背の高いお爺さんがたくさんの人に囲まれてやって来た。


「ラクシュマナ、戻って来たということは、腹をくくったのか?!」

「はい、していないことをしたとされるくらいなら……。

 それに、殺されたのはアルジュナだし……」


 おじいさんは頷いて周りの人に大きな声で言った。


「ラクシュマナは公平な裁判を求めて戻ってきた。

 身柄は長老である私が預かろう。

 明日の昼に裁判を行う!」


 周囲の人がざわざわする。

 おじいさんに促されて、ラクシュと僕は村の中に入り、おじいさんの家に連れて行かれた。


「長老、おひとりで大丈夫ですか?」

 お付きみたいな人が心配そうに言うけれど、おじいさんは頷き、家の中はおじいさんとラクシュと僕だけになった。


「先にハルキのことを頼みます。

 岩山の洞穴で保護した。

 高い塀の建物から逃げてきたと話していた。

 ハルキ、パルシェ村の長老だ。

 これから、お前の親代わりになるお人だよ」


 僕はハルキの言葉に頷き、前に出た。

「ハルキといいます。

 10歳です。

 どうぞよろしくお願いします」


「賢そうだな」

「本当に賢いです。

 昨夜、ゲンジ達に見つかりそうになって隠れたんですが、俺の行動から、事前にどんな準備をしていたのかわかって理解してましたから」


「ラクシュはラクシュマナって言うの?

 本名?」

「本名っていうか……。

 まあ、ラクシュマナだから、ラクシュって呼ばれる……」

 少し戸惑いながらラクシュが答えてくれた。


 長老が書類を持ってきてテーブルの上に並べ、椅子に座ると僕を手招きする。

「少し儂と話そう。 

 ハルキだったな?」

「はい」

「ラクシュは少し休め。

 奥の客間を使っていいから」

「ありがとうございます。

 あの……、アルジュナは……」

「……今朝埋葬したよ。

 最期には会えたのだろう?」

「……はい」

「最期に愛する者に看取られたなら、アルジュナも……」


 長老が目を閉じた。


「すみません。こんなことになってしまって」

 ラクシュが辛そうに言って、家の奥へ行ってしまった。


 僕は長老の隣の椅子に腰かけた。


「アルジュナ、さんって?」

「儂の孫のひとりだ。

 昨日亡くなった」


 殺されたっていう人かな?

「それは、ごしゅうしょうさまです」


 僕はシェルターの中で人が亡くなったと聞いた時に言う言葉を長老に掛けた。


「……ほう、確かにシェルターから来たようだな」

 長老が少しだけ微笑んだ。


 頭の布を外してから、長老にいくつか質問され答えた。


 書類は僕をこの村で保護してくれるという内容で、保護者を長老として、保護した人をラクシュマナで登録してくれるそうだ。


 保護者の名をもらうから、僕はハルキ・パルシェとなるそうだ。

 これからこの村の子としてここに住み、学校に通えるという。


 その時、ドアが強くノックされ、大きな男の人が慌てたように入ってきた。

「長老!! ラクシュが戻ってきたって?!」


 僕はびっくりして椅子から跳び上がってしまった。


「ゲンジ! ハルキが驚いている、もう少し静かにできんか!」


 ゲンジと呼ばれたその男の人は僕を見て「ラクシュが保護した男の子?」と言った。


「そうだ」

 ラクシュの声がした。

 奥の部屋から出てきたんだ。


 頭の布を外している。

 珍しい髪色をしている。薄い茶色というか……、陽の光に当たったら金色に見えるかもしれない。

 顔も洗ったようで砂埃など落ちて、思っていたより肌の色が白かった。


「ラクシュ! お前!!」

 ゲンジがラクシュに詰め寄り、胸倉を掴み上げるが、ラクシュは平然としている。

「俺は殺していない。

 だから戻ってきた」


「でも、シュナがお前が殺したと!」

「だから違う。

 それに、俺にはアルジュナを殺す理由がない。

 離してくれないか、ゲンジ」


 ゲンジはしぶしぶ掴んでいたラクシュの服を離した。


「長老が明日の午後、裁判を開いてくれるそうだ。

 その時に話すよ」

「じゃあ、なぜ逃げた?」

「悪い、ちょっと問題があってね。

 どうするか考えたかった」

「俺にも秘密ってことか?」

「ああ」

「俺だってお前を信じたいよ!

 でも、お前が逃げたから、仕方なく、追いかけて……」

「わかってるよ。

 自分以外の奴に捕まったら、何されるかと頑張って探してくれてたんだろ?」


 ラクシュの言葉に寂しそうにゲンジは微笑んだ。


 長老がそんなゲンジに声を掛けた。

「明日の裁判の準備を頼むよ。

 シュナにも伝えてくれ。

 それが済むまで我が家には来ないようにとも。

 それから、ハルキの服を頼む」

「……わかりました」


 ゲンジはラクシュをじっと見てから、僕を見た。

「ハルキだったな。明日、村のみんなに紹介してもらえ。

 後で服を見繕って持ってくるよ」

 そう言って、出て行った。


「長老、ありがとうございます」

 ラクシュはテーブルの上の書類を見ながら言った。


「なーに、これは村の長老としての義務じゃからな。

 次にラクシュの番だが、必要な物、伝えて欲しいことはあるかな?」

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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