第十話
こんにちは! アルだよ!
前に書いていたサプライズっていうのはね、エルファ様に情人節のプレゼントを渡すことだったんだけど…。
後から、エルファ様がいないうちに机の上においておいたらどうかな、と思いついたんだ。
メッセージカードとともに机にプレゼント―――雑貨屋で見かけた水晶の花の髪飾り―――を置いておいた。
エルファ様が見つけたとき、不審者が入ってきていなかったか聞かれてしまったんだけど、使用人たちが何やら机においていた、と話しておいたよ。メイドたちは公爵様や公爵夫人様、そしてファスター様からの手紙を置くこともあるから、嘘ではないよね?
メッセージカードに使用人一同と書いておいたのも結構良かったんじゃないかな?
備えあれば憂いなし、だね(使い方間違ってる気がするけど、まぁいっか)。
あ、使用人からってわかったら嬉しそうに微笑んでくれていたよ!
良かったよね!
それで、今はもう冬の三の月(三月)なんだけど、もうすぐ卒業パーティーだから、エルファ様はいつも忙しそうにしているよ。
今年は、ファスターさんが卒業するから、一層エルファ様は気合を入れているみたい!
がんばれ〜〜!
そして、何かと忙しい卒業シーズンだからか、流石に、公務も少なくなっているみたい。
そうそう! その公務について、僕は思うところがある。
それは、代わりに公務をやっているエルファ様が全く評価されないこと!
王子は何もやってないのに、王子だけが評価されるのはおかしいと思うんだよなぁ……。
しかも!
王子は取り巻きの現宰相の息子と騎士団長の息子と、それに令嬢を数名(毎回違うらしいよ)連れて、遊び回ってるんだって!
女の子をとっかえひっかえするとか、最低だな…。
というか、まず、エルファ様が居るのに! 本当にムカつく〜!
今のお気に入りは類稀なる美貌を持つマリア子爵令嬢らしい。
ちゃんと授業に出ている真面目な人だったらしいんだけど、今は王子の我儘につきあわされちゃってるみたい。可哀想。
王子には逆らえないから……というか、逆らったら家になにをされるかわかったもんじゃないから、逆らえなくて困ってるみたいだね。
馬鹿に権力は持たせちゃだめだね! ほんとに!