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アリエスとお姉さま

「ん…んん…キリヤ…?」



アリエスは気を失って暫くしてから目を覚ました。

頭に温もりを感じ目を覚ましたので、キリヤが気を使って膝枕をしているのだと思ったのだろう。

目を擦って視界がクリアになるとそこにはフィリアスの姿があった。



「おばばひゃみゃいひゃい。」



おばば様と言おうとしたのをフィリアスは頬をつねって静止する。



「キリヤじゃなくて悪かったな。それにおばば様はやめろって言ったはずだ。そうだな…お姉様…とか。」




フィリアスは目線を逸らし少し頬を赤くしてポリポリと頬をかいた。

その姿に言うまでもなくアリエスはキュンとしてしまった。



「お姉…さま?」



フィリアスは膝枕をしている可愛い女の子からのお姉様で言うまでもなくキュンとしてしまう。



「その…悪かった。意地悪みたいな態度をとって。どう接して良いか分からなかったんだ。過去や現代のフィリアスとアリエスとの距離感でいるのは少し難しいだろ?年も近いし…

だから…その…なっ仲良くしてほしい!」



アリエスは内心それをおばば様が言うか!?と突っ込みたくもなったが、自分も含めて素直じゃなくて不器用な面がある事も分かっていた。



「わっ私もお姉様との距離感をどうして良いかずっと分からなかった。いつまで一緒にいられるかも分からないし…別れだって寂しく」



「へ?私帰らないぞ?」




「え?だって国は…」



「問題無い。要だっているし、よーきゃといーんちょーもいる。あの3人だって中々に強いからな。」



「いや…でも…」




「これはもう決めた事だ。それにアリエス。自分に何か異変を感じないか?」




「何を急に脅かそうとして!」




「恐らくこの世界線で自害した私はアリエスに魔法は教えても聖女の加護を引き継いで無い。それは今ここにいる私がこの世界線に来ても何も問題が起こらないようにしたんだろう。」



「問題?」




「本来の聖女の加護である一子相伝の不老不死と様々な魔法の使用。それが二人もいたら矛盾が生じてしまうだろう。異世界から来た紬とやらの聖女の加護は多分別の概念があるんだと思う。」



「成程。聖女の加護の本当の力についてはキリヤから聞いていたが……と言うことはつまり?」




「あぁ。私は聖女の加護に正式に目覚めたから不老不死だ。だが、アリエス。お前は普通に死んでしまう。だから魔族との戦いでも死を感じた。だが許せ。私もキリヤと結婚したい。」



「かっ…返せぇぇぇ!!」



アリエスとフィリアスは取っ組み合いの喧嘩を始めた。



「返せとはなんだ!引き継ぐのも私の自由だ!」



「そもそもお姉様の聖女の加護は国が崩壊していた世界線の私から引き継いだものでしょうが!!それなら実質私の物だ!!」





「……ちょっと待て!つまりこの聖女の加護とやらは辿っていくと誰から引き継いだ物になるんだ?」



「それは……確かに。お姉様以前の聖女の加護を持つ者なんて直近にルミナスにいましたっけ?」



フィリアスとアリエスは聖女の加護のルートについて全くの心当たりが無かったのだ。



「まぁそれは後ほど考えましょう。それよりお姉様。キリヤと結婚したい。帰らないって伝えたんですか?」




「……まだ。」



フィリアスは口を尖らせてそっぽを向いた。



「はぁぁぁ全く。知ってはいましたがどうしてこうも不器用なんですかねぇ?キリヤの鈍さは私の知る人間の中でダントツですよ?分かってくれるなんて思っていたら大間違いです。そんなんじゃいつまで経ってもキリヤとの距離は変わらないですよ?」




「うっうるさい!!アリエスだって最初は情緒不安定でキリヤの事さえ信頼しきれずにルナやリアに迷惑かけて暴走してたではないか!

なのにあんな急に自ら誘うなんて…」




ここでフィリアスが少量の鼻血を出す。




「は……?えっと何でそれを…もしかして記憶を…」



アリエスは顔を赤くしながら肩を振るわせる。

フィリアスは口を尖らせながらアリエスが寝ている間に記憶を覗いた事を暴露した。



「ハニャァァア!!この破廉恥!変態!ムッツリスケベ!!」




「何という表現をするのだ!仕方ないだろう!私だってキリヤと別れた後みんなとどんな事があったか知りたかったんだ!ズルイじゃないか、私だけ仲間外れなんて!なのにみんなその…きっキリヤの事好き放題しおって!!」



「私たちはお互いの気持ちを伝え合っている中です!何も言わずに仲間に入れて貰えるなんて勘違いしないで下さい!……あれ?そういえばキリヤは??」




「そういえば見当たらないな…もしや私の入浴中の映像を見て私との交流を恥ずかしがったのでは無いか」



フヒヒとフィリアスは笑うがアリエスとフィリアス互いにキリヤの事はよく知っている。

そんな事はあり得ないなという結論に至る。

他の女の入浴姿を見て気絶したなど口が裂けても言えないだろう。



「部屋に戻ったのでしょう。ちょうど良いから、キリヤに伝えに行きましょう。」



「いっいや待て心の準備がぁぁぁぁっ」




アリエスは抵抗するフィリアスをズルズルと引きずって行った。



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