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リヴァイアサン

「リアお疲れ様。体冷えたりとかしてないか?」



何も出来ずに歯痒かったキリヤはリアに出来る限りの気遣いをしたかったのだろう。

リアは少し考えると耳と頬を少し赤らめながら手と頭を胸の辺りトンッと付けた。



「じゃあ…ギュッてして」



俺のエルフ(嫁)が可愛すぎるんだがぁぁ!!

効果は抜群だぁ!!

クラスの連中も胸キュン過ぎて皆んな目線を斜め下に逸らしてるよリアさん。

キリヤは恥ずかしい気持ちを抑えてリアを軽く抱きしめて頭を撫でた。



「じゃあ、ご飯作ってくるね。」




ここからのリアの手際は大したものだった。

リアと出会ってからはほぼ毎日ルナとリアでご飯を作ってくれたから大変ありがたかった。



「お待たせ。イカもタコもマグロも刺身にした。イカとタコはカルパッチョ。唐揚げは三種類。後…自信無い…けど酢飯。キリヤから聞いた。」




「すっ寿司だぁぁ!!こんなにも豪華な飯久しぶりだぁぁぁぁっ!これが異世界の海で食う魚料理」



クラスメイトから歓声が上がった。

皆んな嬉しそうでよかった。

キリヤもお祭り騒ぎの様子を見て少し嬉しかった。



紬と朱理がリアに近づいて声をかけた。


「何から何まで感謝するリア…さん。」



「リアで良い、それに美味い飯食わす為体張る。嫁の役目。」




「いや、それに対してはアタシら何も突っ込まないわ。今のご時世それを男性の役割って言うと色々面倒だし。」



「別に良い…。それに…キリヤ嬉しそう。皆んな喜ぶ。そしたらキリヤ喜ぶ。私も幸せ。」



「ハジメも大切にしてくれる人たちに囲まれて少しは私も安心だな。」



「…よく分からない。貴方たちもキリヤ大切でしょ?」



リアの一言で紬と朱理は顔をボンっと赤らめた。

二人は嫌々そんな事は…と各々で言い訳じみた事を考え始めた。



「二人だけじゃ無い。皆そう。急にこっちの世界に連れてかれて、自分の命と天秤にかけられる。普通は自分の命。大切。でもそうじゃ無い時。助けてって言えば。皆キリヤ助けるとおもう。」



これが、恋愛云々の話では無いと分かった途端に二人の顔は急に冷めてきた。



「ただ、私の愛する旦那。トラブルメーカー。いつもトラブルと隣り合わせ。また何かトラブルに巻き込まれるかもしれない。もしもまた運命の巡り合わせで出会えれば。

…その時は…その時はキリヤを助けて欲しい!」



リアは二人に対して深々と頭を下げた。




「何を言ってるの?貴方たちがいてそんな事起こるわけ」




「私たち遥か過去旅した時。謎の仮面をした男に会った。私達の師匠含めキリヤも全く歯が立たなかった。」



「だが、それは遥か昔の話なんだろう?」



「そう……なんだけど。怖いの。仮面の男のキリヤを見る目。恐ろしい憎悪に溢れていた。今にもキリヤの事を殺しそうな目だった。

私達が過去に行けた。つまり過去から未来に来る可能性否定できない。

だから、もしもの時は。意地でも私がキリヤを守る。そしてキリヤの元いた世界に逃す。その時はキリヤを止めて欲しい。」



「それは構わないけど、リア。貴方そういう状況に陥っても絶対に自分の命を投げ出したりしちゃダメだからね。」



「……分かってる。それはキリヤが悲しむから。そんな事はさせない。」



「じゃあそろそろ作ってくれた料理を頂こうか。冷めると勿体無いしハジメも待っている。」




「おーい、リア!隣空いてるぞ!」



「当然。今日のキリヤの隣は私の特等席」



これからどんな困難が立ちはだかろうとも、リアはキリヤと共に歩いて守っていく。

キリヤの幼馴染と約束した事でより決意が固くなった。そんなような気がした。




「何話してたんだ?」



「女の子同士の秘密。それよりもキリヤ。あ〜ん」


キリヤは三人の話の内容についてはあまり興味が無かった。

それよりも今クラスメイトの目の前で見せつけるかのような、あーんをしてくる事に恥ずか死にそうなのである。

キリヤは目線を斜め下に逸らしながらパクりと咥えた。



「…美味い!」



「当然。私が作ったから。はい、これも」



リアはドヤ顔を一度決め、再びあーんの体制に入る。

クラスメイトがその都度箸を止めこちらを見てくる。

恥ずかし過ぎる。

その時海が大きく波打ち揺れ始めて雲行きも怪しく曇り始める。

何か来る!!

咄嗟にキリヤとリアは剣を構えた。

海から神々しく光る龍が出てきた。



「りっリヴァイアサンだぁぁぁぁっ!」



「いかにも。我が名は水の精霊リヴァイアサン。……え?」



クラスメイトが興奮の声を上げる。

喜んでる場合でも目を輝かせてる場合でもないぞ。

下手したら船自体沈められて

そのような事を考えた時背中に悪寒が走った。

これはクララが亜空間から戻りたての頃を錯覚させるような悪寒だった。

リアは一瞬にしていなくなると剣を振りリヴァイアサンのツノを一本へし折った。



「私の幸せの時間。邪魔した。生きる価値さえ与えない。次は首を落とす。」



リヴァイアサンはピンと背筋?を伸ばして滝汗をかいた。



「もっ申し訳ございませんでしたぁぁ!

良い匂いがしたからつい!!

悪気は無かったから食べないで!!」



「食べる価値さえ与えない。」



「リア?あいつ何て言ってるのか分かるのか?」



「え?皆んな聞こえないの?」



リヴァイアサンの声が聞き取れるのはリアだけだった。

だが、キリヤも頭をペコペコしているのを見て恐らく謝っているんだろうなと思っていた。



「何か謝ってそうな気がするし許してやれよ。」



「キリヤが許すなら許す。もう2度と邪魔をしないで。」



再び殺気を放ち威嚇するとリヴァイアサンは更に萎縮をしてしまった。



「申し訳ございません!申し訳ございません!!強力な精霊の加護あげるから!困った時に助けてにくるから許して〜」



リヴァイアサンは咆哮を出すとリアが水色に淡く光った。



「シルフィードとノームから寵愛されしエルフよ、汝にリヴァイアサンの加護を。」




リアの淡い光が無くなると共にリヴァイアサンは海の中へと潜っていった。



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