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ワープ魔法

「フフフフフハハハハハアーッハッハッハぁ遂に。遂に完成したかもしれない。」




「何があった!!??」


私たちは勢いよく扉を開けるとドーメルが不敵な笑みを浮かべながら魔法陣の前で高笑いしていた。



「遂に完成したのかもしれないのだよ。」




「何の話だ!??」


私たちは武器を構えて臨戦体制に入った。



「デイユドメール研究所の更なる発展に必要な最後のピース。ワープ魔法だ。」



「ワープ魔法…だと??そのような魔法今まで存在していなかったはずだ!貴様何をした?」




「なぁに私の加護の力を使って創造したまでだ。まぁフィフティーフィフティーってところでしょうねぇ。」




「加護…だと?」



「代々研究所長が譲り受ける加護。創造神の加護の力によって創り上げたまでですよ。」



「そんな加護がこの世の中にあったのか…凄いでは無いか!」



私がドーメルの方へと近づこうとするとクララが手で静止した。



「クララ??」



「今パラレルワールドにてワープ魔法の存在を確認して来ましたが、そのような魔法がある世界自体存在しませんでした。確かに創造神の加護は存在し、様々な世界線で文明の発達に役立つ加護となっていました。

だけど、私の事は誤魔化せません!もう一度問います!その訳の分からない術式は何ですか!?」



すると、ドーメルは深いため息をついた。



「先代はどの世界線でもルールを守っているのですか。それが新時代への妨げとなっているのも分かっているでしょうに。」



「ルール?ルールとは何だ?」



「創造神の加護とはその名の通り創造し新たな物を創り出す力。新たな物を作り出すためには、正確な理論やイメージ。ビジョンが必要なんです。」



クララの方を一瞥するとクララはコクリと頷いた。嘘では無いようだ。



「そして先代はその理論やイメージ、ビジョンの正確性が100%でない場合の力の使用を禁止していたのです。」



「そんな!!……」



「そんな事はない……とは言い切れないでしょう。我々はあなた方聖賢様とのお付き合いでパラレルワールドを知り正確性を100%にしていました。様々な世界線で創造を実現していたのです。

他のパラレルワールドで一度理論を100%にして創造したものは他のパラレルワールドでも理論は100%出来ている。故に安易に創造出来ます。」



「……その通りです。。」




「本来の創造神の加護とは存在しない物を創り上げる事に美があります。今まで先代が行って来たのは真似っこに他ありません。

本来は我々の創造力はパラレルワールドに干渉出来るのです。そして、存在しない物を造ったときに全世界線で造り得る物となる。私が今ここで新たなもしものパラレルワールドを増やしていくのです。

だからこそ、その忌々しい掟を私の代で変えなければならないのです。」



ドーメルの言っていることは一理あった。

未来を大きく変えるためには過去にそれだけの大きな変化をもたらさなければいけない。

あり得ない未来を創る為には不可能を可能にする必要性がある。



「それで?このワープ魔法とやらは、何処にワープ出来るんだ?」




「勿論キリヤ様の元へと繋がるようになっております。」




「じゃあ物は試しで行ってみるしかないね。」



私とクララは複雑な術式の施されている魔法陣に手を触れた。




「あ、そうだ。因みにさっきドーメルさんが言ってたフィフティーフィフティーって成功期待値の事だよね?失敗した時はどーするの?」



「それは……死にますね。」




「へ???」



私とクララの声が重なった。

時既に遅く魔法陣は発動してしまっている。



「いや実は創造神の力を得る代償として破壊神の力も混在しておりまして。創造に失敗した場合は創造しようとしたもの関わった物が未来永劫破壊され続けるんですよ。

つまり、どの世界戦でも破壊されたものは未来永劫作られることはありません。

それ故に先代は厳しいルールを設けていたようで。全く。研究に犠牲は付きものだと言うのに…まあ。キリヤ様がお二人の事覚えていてパージでも使えば。この失敗自体無かったことにすれば可能性はありますがね。」



「ちょちょちょちょっと待って!?!つまりこの魔法陣がフィフティーフィフティーって事は??」



「えぇ。50%で創造成功。この術式でどの世界線でもワープが使えるようになります。」



「逆を言うと…」



「50%で破壊成功。術式を起動したお二人は破壊され続けます。」



「それを早く言えぇぇえ!!」



私たちは魔法陣の中に吸い込まれて行った。




ーーーーー

「っていう事があったんだよぉ〜危うく死んじゃう所だったよぉ。パラレルワールドに干渉してくるなんて聞いた事なかったもん!」




「私たちには創造失敗した時にはどうしようも出来ん。破壊そのものを無かった事にするキリヤのパージしか頼れんのだ。」




「成る程ね。何となくの流れは理解した。つまり二人とも生きているって事は創造成功したって事なんだな。」





「仰る通りでございます。」




「この訳の分からない術式でワープ出来るようになるのであれば丁度よかった。これでウルガルム王国、ルミナス王国、デイユドメールを繋ごう。」




「成る程なそうすれば俺たちの国にもメリットがあるし、ルミナスもメリットが出来てくる。」



「……あれ??ドーメルさんとウルルさんがいなくなっちゃったよ??」



前途多難な状態から希望が見えてしまったが故に、つい気を逸らしてしまった。

ルナが気がつくまで誰も気が付かなかったとは。

今のドーメルは何をするか分からない。

そしてウルルさんが人質に取られるとなるとまた大変な事になる。



そのような不安を考えていると大きな地震が起こった。



「何だこの地震は?大きな歪みが出来たのか…??ガルム王??」



大きな歪みが起きるのは大きく歴史が変わった現代の筈だ。

原因を考えているとガルム王の顔が段々と青ざめて行った。



「この揺れ…闘技場の方だ…まさか闘技場を!!!」



今までにないスピードでガルム王は闘技場への方向へと走って行った。

ガルム王に続いて俺たちも闘技場への方向へと向かった。



「ワォォォォーーーン」



俺たちが闘技場へと向かっている途中でガルム王の悲痛とも感じる雄叫びが聞こえて来た。



「ガルム王!大丈うわっ!!」



闘技場へと着くと跡形も無くなっていてガルム王は膝を着き項垂れていた。



「ウルルぅ何故闘技場を丸ごとワープさせたのだぁ……」



そこには満足そうに微笑むウルルさんの姿があった。


「だって、ワープ魔法なんて物が出来てしまったら、簡単にルミナス王国に行けるようになって今までよりも一層あなた仕事をしなくなるじゃない?その分の仕事をやるのは誰?」



「だからと言って闘技場が無くなってしまっては…」



「大丈夫。デイユドメールにそのままワープしただけです。いつでも行けますから。」



「いや、それだとワシの魔力では足りなくて…」



「ただでさえ任務が溜まっているのに頻繁に闘技場へと行く用事ってありますか?その時は私が送ってあげますから。」




ニッコリと笑うウルルさんがこっちに来て出会った人の中で一番怖いかもしれない…。

何となーくイメージはしていたが攻撃特化のガルムと魔法補助のウルルのコンビ!みたいな感じなのだろう。

ガルム王からは迫力は感じるが魔力量自体は然程大きくは感じない。

これで、ガルム王の仕事をサボるポイントが一つなくなってしまったと言うわけだ。




「だがこれでルミナスにもウルガルムにもメリットが生まれた。互いの国の力自慢や漁師を派遣してデイユドメールの発展の力になれるだろう。」




「ユリアス!助かる。ありがとう!」




「……ですがそうなるとアステカ帝国が黙っていませんね。我々のみが利益を得ているとなると何かしらのアクションを起こす可能性もあります。」



「…となるとアステカ帝国にも行くしか無いのか。」


これはこれで先行きが不安になるが、避けては通れない道だった。



「今回のアステカ帝国への交渉。私が着いて行っても宜しいでしょうか?」




「ウルル??ワシを差し置いてキリヤ達と出掛けるなんて!!」



「ユリアスさんと貴方が行ったら間違いなく戦争になります!少しの間なので頼みますよ。ガルム」



ウルルさんの言っている事はあながち間違いでは無い。というより、面倒見きれん。



「では、明朝出発しましょう。ユリアスさんはワープ魔法で自国に戻って計画に向けた手配を一度お願いします。」



「ぐぬぅ…ユリアスは帰ってしまうのか。」



「……はぁ。ガルム。今日は自由にしてて良いですよ。明日からお留守番ですし、ウルガルム王国の人員の手配は私がやっておきますから。」



「本当か!流石ウルルだぁ。ワシの事を一番に理解してくれる!お前を選んで良かった!愛しているぞー!」



「褒めても何も出ませんから!!全く子供なんだから。」



子供のようにはしゃぐガルム王の愛してるという言葉にウルルさんは顔を真っ赤にしていた。

その様子を羨ましそうに見ていた姿があった事を俺は気が付かなかった。



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