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ルミナスへの再訪

「ねぇ、キリヤ。変わって」



「ダメだ。」



「………ケチ。」




食事を終えて再びルナにジャイアントホークスに変化して貰って出発してから俺とリアはこの下りの会話を何度も続けていた。



簡単に言うとポジションを入れ替えたのだ。

リアがジャイアントホークスをモフれないように後ろに座らせた。

ここだけの話だが俺も最初一度だけモフった事があったのだが触り心地はとても良いのだ。本当の所を言うとリアの気持ちが全く分からない訳では無い。

ただ、モフモフするのは今では無いのだ。



「ねぇ、キリヤ」



「ひゃぁいっ!!」



今度はリアのターゲットが俺に変わったようで後ろから抱き締めるように耳元で囁いて来た為流石の俺も変な声が出てしまった。



「前に座らしてくれないなら良い。キリヤで我慢する。」



「いや、俺はおもちゃじゃ無いんだぞぉいリアぁ!!」



もうリアを止める術は無かった。

後ろからがっちりとホールドされてしまっている。



「リア本当に落ち着おわぁぁぁぁっ!」



「リアだけズルい!そんなのさせないよ!」


これはルナによる必死の抵抗で、スピードを加速させたのだ。

それにより、俺たち二人はジャイアントホークスにつかまるので精一杯だった。

助かった……いや早くね??



「おい、ルナ流石にこの速度は振り落とされるって!」



「知らない!私の事すっぽかしてリアとイチャイチャするなんて!」



「怒ってる場合じゃねぇんだよぉぉ!!」



加速が増していく最中で俺とリアは必死にジャイアントホークスにしがみついていた。



「おい、ルナ!このままルミナス王国に突っ込む気か!?!?攻撃されるぞ!!」



気がついたら俺たちはルミナス王国に急接近していた。



「へ?そんな早く着く訳うわっ!!」



稲妻が迸った。

恐らくフィリアスのライディンだろう。



「飛ばしすぎなんだよぉぉ!!」




「ぎゃぁぁぁあああっ!!」




無惨にもライディンは俺たちに直撃してそのまま城の庭へと落下して行った。




「ぁぁぁぁっ!!」



俺たち3人は叫び声を上げながらチュドーンという大きな音を立てて落下した。



バタバタと多くの足音が聞こえ囲まれているようだ。

あまりにも勢い良く落下した為煙が舞って視界が悪い。



「皆の物下がれ!あんな高速で飛ぶジャイアントホークス等見たことない!変異種か何かかもしれん!」



この声はフィリアスだろうか?

あいつも立派に国の先頭に立って頑張り始めてるんだな…



などと感心していると隣でルナがフルフルと震えている。

どこか具合でも悪いのだろうか…

ライディンの直撃。あれだけの高さからの落下。身体に異変があっても何らおかしくは無い。



「ルナ?大丈夫か…」



「………って言うな。」



「……ルナ?」


何かボソボソっと呟いたのは分かったがどうし



「変異種って言うなぁぁぁぁっ!!!」



いかん!!フィリアスの馬鹿カッコつけてルナの地雷踏みやがった!!



「ハニャァァアァァァッ」



うがぁぁぁあっと手を上げて威嚇をするルナに対して、最早生きていると微塵も思っていなかったフィリアスは奇声を上げて腰を抜かした。



「おい!ルナ!落ち着けって!」



「にゃにゃにゃにゃんでお前ら生きて……キリヤ???」


「おう!フィリアス!久しぶりだな!」



「今日は何の要件があって来たんだ?」



フィリアスは腰を上げて軽く埃を払うと軽く咳払いをして、何事もなかったかのように振る舞った。



「足が震えてるぞ?ビビり王女。」


俺はフィリアスの足がガクガクと震えているのを見逃さなかった。こいつを見るとついつい弄りたくなってしまう。



「魔物が勢いよく追突しに来たと思ったら人間でしかも生きてて驚かぬ者などおらんわ!!全力で撃ち込んだんだぞ!!」




………ごもっともだ。



「……というかお前よくも全力でライディンを打ち込みやがったな!!ジャイアントホークス相手だとしてもやり過ぎだろ!」



「あんなエゲツない加速をするジャイアントホークスなんて聞いた事ないわ!!新たな新種の魔物かと思ったわ!それにこんなめちゃくちゃな帰還登場の仕方をする馬鹿がいるか!」



…それもごもっともだ。俺は何も言い返せなかった。



「全くあいも変わらず無茶苦茶な奴だ。まぁ良い。皆、此奴らは客人だ。解散して良いぞ。ありがとうな!」




俺たちはフィリアスに着いて行きルミナス城の中へと入って行った。

案内された広間にはユリアスもいた。

フィリアスだけだと頼りなかったから非常に助かる。



「………今フィリアスだけだと頼りなかったから兄上様がいて良かったって思わなかったか?」




「……いつの間に人の心が読めるようになったのか?!?」



「ぬぁぁ!!どいつもこいつも私が案内すると兄上様を見てホッとした顔を浮かべるんだ!!」



成程。そう感じたのは俺だけでは無いって事か…



「にしても、キリヤよ…アリエスはどうした?」


すると、ここで未だに内心機嫌の悪かったルナがニマァと口を引き攣らせて肩を少しずつ震わせた。



「……お、おいそこの獣人よ…まさかとは思うがアリエスは…」



「私たちが……食っちまった。」



「ハニャァァアァァァ!!?!?

にゃにゃにゃんて事をキリヤ貴様ぁぁぁぁっ!このような輩に媚び諂えおってぇぇ!!」



ふんがぁぁぁぁっと激昂してパンチをしに来たフィリアスを俺は片手で頭を抱えながら抑えた。

気がつくとユリアスも頭を抱えていた。



「フィリアス落ち着け。冷静にそんな訳無いだろ…」



「ふぇ??騙したな小娘ぇ!!」



「あなたの方がガキじゃ無いか!」



「ルナも落ち着け…話が進まないだろ。」


ルナとフィリアスはプィッと顔を背けた。



「リアも何か言ったらどうなの!?キリヤに対して失礼だと思わない??」



「え??特に無い。」


「特に無いのも失礼だと思わないんか!!」



「……だってあなた、キリヤの事大好き。それは共通点。照れ隠し。」



「ハワアワアワァァァ!、?!」


「……嘘でしょ??」



「キリヤのほっぺにチューしたってアリエス言ってた。強いて言うなら……可愛い?」



「……確かにそれなら可愛いかも。」


ここではリアに軍配が上がった。

フィリアスはその時のことを思い出して顔を真っ赤にして湯気を出し気を失ってしまった。

ルナはルナで俺に対して自分の都合の範囲内で好意を持つ人に対しては柔らかくなる傾向にある。



「それで、キリヤ。今日はどう言った要件でこの城を訪れた??」



ユリアスが頭を抱えながら話を切り出してくれた。


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