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ルミナス・フィリアス

「父上!フィリアス只今帰りました!」



フィリアスが元気良く扉を開けると大きな椅子に王様らしき人が座っていた。


アステカの王と比べてもすごく優しそうな顔立ちだ。




「おぉ、フィリアス、帰ったか。」




「フィッフィリアスなんでお前が…」



王様とは別に側にもう一人20過ぎぐらいだろうか男性の人がいた。




「それでフィリアス、そちらの方は」



「私森に調査に向かった際にゴブリンのキングゴブリンの群れに囲まれてしまいまして、その時に助けてくれた旅のものキリヤ様をお連れしました。」




フィリアスが俺の事を紹介すると王様はそうかそうかありがとうとニコニコしている一方でもう一人の男性は舌打ちをしてこちらを睨みつけている。



「どうせ褒美かなんかが目的だろ、うちゃそんな余裕はねぇぞー」



「兄上様!キリヤ様に関しましては先程もお伝えした通り旅の者、固定の土地や財産等には興味が無い模様、しかし今後旅をするに当たってしっかりとした武器を所望しているとの事なのです。父上様いかが致しましょう?」



「ふむ、キリヤ殿この度の活躍大変大義であった。その欲の無さといいお主に相応しい武器を用意しよう。」



「有り難く頂戴致します。」



俺は跪きフィリアスに教わった通りに挨拶を終えた。



「武器は武器庫にあるものを好きなだけ持っていくが良い。」




兵士に武器庫に案内された俺は一番かっちょいい物を探した。



「どれも、普通の剣ばかりだなぁ」



王国の武器庫なだけあって、切れ味の良さそうな丈夫な剣ばかりだった。



「ん??これは??」



武器庫の中に古びた宝箱があった。


鍵がかかっているものの鍵穴はない。



「これ、どうやって開けるんだ??」



「おーい、キリヤーそう言えば武器庫の中の宝箱の鍵は開け方が不明で無理に開けようとすると体に激痛が…」



フィリアスが入って来た時にはもう既にいじっていた。


すると鍵がパリンと壊れて宝箱が空いた。



「これは…」



宝箱の中にはメッセージが一通と剣が一本入っていた。



「この宝箱を開けてしまうとは…で、この数字の羅列は何??メッセージにしては複雑過ぎるし解読出来ない…ここは解析班に…」




「いや、フィリアス。これは…俺と同じ異世界人からのメッセージだ。」



「何?じゃあキリヤにはこれが読めるのか??」



正直言って凄くめんどくさかった。


メッセージの数字の羅列。


これはガラケー入力の際のあいうえおでメッセージが書かれている。


つまり過去にこの世界に来た異世界人がいたと言う事だ。



「じゃあ解読するぞ」



「 時の勇者に選ばれしもの汝の力にて世界の平和を取り戻すべし だとよ。」


何故俺がこのタイミングでこの剣を手に入れたのかは分からなかったがこれを使うべきな気がした…それに…




「キリヤは使命とか嫌がりそうだけどどうする??」



「これにするよ。使命が嫌とかで武器選び間違えてガキ一人守れなかったら本末転倒だろ?」



フィリアスは嬉しそうな顔をして頷いた。




「それじゃあ向かうか。」



フィリアスと俺は再びあの丘の下へと向かって行った。




「そういえばフィリアスは何であんな所にいたんだ??」



俺は素朴な疑問をフィリアスに聞いてなかった、国のこと、今のアステカ帝国の事など聞きたい事は盛りだくさんだ。


「私はその…国境付近に異変がないかなどを調べに出たの。」


国の王女様が一人で護衛も無しに、おかしな話だ。



「実は数年前からアステカ王国含めて全部の種族や国が国交を断絶し始めたの。それによって国境付近の秩序や魔物の討伐協力体制なども無くなり…」


何か聞くだけでもとても怪しく嫌な予感がする。



「国境付近に異変がないか調べに行ったと。」



フィリアスは首を縦に振り頷いた。



「それでも護衛無しはあんまりじゃないか?」



「兄上様が不要だと。私は聖女の加護スキルを持っているの。聖女の加護とはその名の通り聖女様からの加護があり、運命の巡り合わせで生き残ったり、潜在的な魔力が高かったり無詠唱で魔法が使えたりと色々とあって、過去の歴史振り返っても国の中心になっている人物ばかりなの。」



フィリアスの兄貴の反応はこういう事だったのか。



「まだ、私の力は弱くスキルとしても発動条件を満たしてないのか常に発動している訳では無いからさ…キリヤが助けてくれなかったら私は…」



怯えたように身体が震えるフィリアスの頭を撫でて大丈夫大丈夫と伝えてあげた。




「時の勇者に聖女の加護、協力すれば何とかなる気がするだろ?」



フィリアスはうんと頷くと落ち着きを取り戻した。



「着いたか。フィリアス覚悟は良いか?」




「もちろん、何があっても受け止める。受け止めなければならないんだ。」


「そうか。じゃあ行くぞ!」





俺は彼女の願い夢の為、それを叶える為に現代に戻りたいと心から願う。


すると俺の足元に魔法陣が出て周囲から光が出る。


目の前が真っ白になり目を開けると、衝撃の光景が広がっていた。




「キリヤ…お前は100年後の世界はルミナス王国は滅びていたと言っていたよな…」



フィリアスの体は震え上がっていた。


確かにそのはずだった。そして俺は魔物に殺されかけて過去に戻りたいと願った。なのに…



「何でこんな事になっているんだ…」



ルミナス王国の方を見てみると魔物の大群が押し寄せて炎が燃え広がっている。


壊滅状態と言っても良い。



「現代の歴史が変わってるのか…うっ…何だ…体がっがぁあ」




俺が100年前にタイムトリップした時と歴史が変わっている。そう認識した時体が軋むような激痛が走った。




「キリヤ、お前それは急激なステータスの向上に身体が追い付いてない証拠…何がどうしたんだ?」



たまらずにステータスをオープンしてみる



「ミノタウロスを撃破、キマイラを撃破、ブラックドラゴンを撃破、コカトリスを撃破…………」



「何だこれは…がぁぁっ」




倒した事もない何ならコカトリス何かは遭遇すらしてない、その4体だけでなく遭遇すらしてない多くの敵の撃破履歴がドンドンと増えていく。




「はぁはぁ…何だったんだこれは。」



暫くして痛みが無くなり近くの岩に手をつく。


するとバコッと音がして岩を破壊してしまった。


フィリアスもギョッとしている。



「何だよ…これじゃ誰が化け物だかわかんねぇよ。



初めて俺は自分の力に恐怖を感じた。


フィリアスを見るとフィリアスも怯えている



「大丈夫だ、キリヤ。まだ体が慣れてないだけですぐにそう言った感覚も取り戻す。それよりも問題は…」



悲しそうな顔でルミナス王国を見るフィリアス。


それはそうだ。100年後の自分の国の惨劇を目の当たりにしているのだから。



「私は目で見たものと感じた事でしか物事を信じられない。だけど、キリヤの様子を見るとこれが現実だと想定するしか無いよな…。」


ここでフィリアスが考えながらふと話を始めた。


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